ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

幽霊たち

2008-12-29 21:51:09 | Weblog
ポール・オースター著、柴田 元幸訳、新潮文庫。

この本の登場人物の名前には、なぜか「色」が使われている。
ホワイト、ブラック、ブルー、ブラウン。
色から受ける印象には、ある程度、共通性があるのだろうか。

ある閉じた世界の中で、どんどん追いつめられていくブルーの心情は、
なんだか企業の中で働き詰めて、ノイローゼになっていくサラリーマンのようだった。
「孤独とはどんなことなのか」ということについて、とても納得できる語り方だった。

孤独な「生」に対置されているのは、孤独ではないように見える「死」。
今回も、とても面白い読み物だった。

通勤の電車の中で読み終わってしまったので、
残りの時間は、ボーッと窓の外を眺めながら帰って来た。
ふと、思い出したのは、昔観た映画「白い恐怖」。
ちょうど同時期のアメリカを舞台としている。そして色。

「白い恐怖」は、ヒッチコック監督の映画で、白黒映画だ。
イングリッド・バーグマンとグレゴリー・ペックが共演している。
私が一番好きなシーンは、精神科医を演じるバーグマンが
居眠りから目覚めた患者のグレゴリー・ペックに「Who are you?」と聞くシーン。

ううむ。久しぶりに「白い恐怖」が観たくなった。