ポール・オースター著、 柴田 元幸訳、新潮社刊。
この人は、なんでこんなに人間を描けるのだろう。
悲しみや、希望や、すべてがないまぜになった心の世界を、
どうしてこんなに深い息を吐き出すかのように、言葉にできるのだろう。
ポール・オースターは、私の大好きな作家。
アメリカ本国よりも、日本やヨーロッパでの評価が高いということだけれど、それにも納得。
最近のハリウッド映画を観ている限りでは、なんとなくそんな気がする。
『幻影の書』は、飛行機事故で妻と2人の子どもを失った男性が語り手になっている。
家族を失った悲しみが書かれたあと、
物語は、語り手である男性が一人の無声映画時代のスターにスクリーンで出会い、
その人の伝記を書き、そして物語は静かに展開していく。
実際にいる人物、スクリーンの中の人物、多くの人生がそこには描かれている。
まさに行間を読み、広がっていく文章。
それは深い洞察と愛情によって書かれている世界で、
人間という存在自体に向けられた、著者のあたたかい視線を感じることができる。
描かれるのはアメリカ的な「パワー」の人間像ではなく、
特定の宗教などという枠を超えた、存在自体に対する祈りに満ちた命の姿。
以前、イヌのお話『ティンブクトゥ』も徹夜して、一気に読み通した。
ティンブクトゥとは、「地の果て」という意味らしい。
この本のラストシーンは、一生私の胸に残るだろう。
いつも「希望」というものを考えさせられる。
この人は、なんでこんなに人間を描けるのだろう。
悲しみや、希望や、すべてがないまぜになった心の世界を、
どうしてこんなに深い息を吐き出すかのように、言葉にできるのだろう。
ポール・オースターは、私の大好きな作家。
アメリカ本国よりも、日本やヨーロッパでの評価が高いということだけれど、それにも納得。
最近のハリウッド映画を観ている限りでは、なんとなくそんな気がする。
『幻影の書』は、飛行機事故で妻と2人の子どもを失った男性が語り手になっている。
家族を失った悲しみが書かれたあと、
物語は、語り手である男性が一人の無声映画時代のスターにスクリーンで出会い、
その人の伝記を書き、そして物語は静かに展開していく。
実際にいる人物、スクリーンの中の人物、多くの人生がそこには描かれている。
まさに行間を読み、広がっていく文章。
それは深い洞察と愛情によって書かれている世界で、
人間という存在自体に向けられた、著者のあたたかい視線を感じることができる。
描かれるのはアメリカ的な「パワー」の人間像ではなく、
特定の宗教などという枠を超えた、存在自体に対する祈りに満ちた命の姿。
以前、イヌのお話『ティンブクトゥ』も徹夜して、一気に読み通した。
ティンブクトゥとは、「地の果て」という意味らしい。
この本のラストシーンは、一生私の胸に残るだろう。
いつも「希望」というものを考えさせられる。