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<リアル ボクシング ルポ>祝 ご結婚! 富樫直美・前WBC世界女子ライト・フライ級チャンピオン

2012-09-23 00:35:55 | スポーツ

Dscf8449 にこにこ笑顔の、富樫直美(写真・中央)。まるで、巨大な背後霊の如く、彼女の真後ろに立つのは、今まで所属していたワタナベ・ジムの会長、渡辺均。

 そして、富樫へ挨拶と引退へのはなむけの言葉を、マイクを手に贈っているのは、同じジムのWBA世界スーパー・フェザー級チャンピオンの内山高志(写真・右)だ。

 これは、9月10日、後楽園ホールのリング上で行われた、彼女の「引退式」のひとコマ。防衛7度も果たした富樫が、女性とはいえ、いかに小さな体でベルトを守り続けてきたかが、わかるだろう。

 この笑顔が示すように、富樫に終始、涙も、感極まって・・・も、無かった。

 すでに書いたように、やっぱりさばさばしていた。明るかった。

 実はと、檀上で明かした”秘話”も、やっぱりと思った。

 「最後になった試合の前に、実はこの試合に勝っても負けても、これを最後の試合にしたいと申し入れて、メキシコに旅立ったんです」

 式のあと、聞いた。

 公表は出来なかった?

 「だって、それ事前に言ってしまったら、周りの人の試合に対する見方が違ってくるでしょう? それが、とても嫌だったんです」

 リング上には、内山などジム選手のほかに、勤める病院の親しい看護師や医師や、彼女がその手でこの世に生を受けさせた子供たちが、身長と同じくらいの大きな花束を持って現れた。

 ヒザを折って、子供と同じ目線の高さで花束を、それもとびっきりの笑顔で受け取る富樫。いかにも、富樫らしいと痛感した。

 けじめの10ゴングを聞く富樫に、万感の思いらしきものは、チラッとも無し。むしろ、直前に別れのセレモニーに現れた江畑佳代子(東洋・太平洋女子ライト・フライ級2位)の方が、万感胸に迫る表情をしていた。

 あまりにも想像通りだったが、式後、祝福の嵐が過ぎ去ったあと、待ち続けて、そして聞いた。

 お母さんやお兄さん、そして、9月23日に挙式する旦那さんは、来てたの?

 「いえ。母には、今日、引退式があるんだよとは、言っておいたけれど・・・。主人?お店の仕事があるから」

 今年元旦入籍。すでに新婚生活を送って9か月。失礼だけれど、妊娠の兆候は?

 とたんに、笑って

 「それ、さっきも皆さんにも聞かれたんですけれど、まったくありません」

 周りが、万感。本人、「あっけら感」。

 ボクシングとも、キッパリ別れを、彼女自身がココロのなかで、敗戦直後に決めていたということか・・・・・。

 なかなか試合が決まらず、何度か流れたりもした。男子に比べて決して恵まれない、ファイトマネー。そんな、不満からでは無い。

 あの昨年の3・11で、それまで抱いていた人生観が崩れ落ち、変わったと、言っていた。

 ヒトの命が、それも約3万人もの命が一瞬にして亡くなる現実を目の前に突き付けられた。深く、考えた。ひとの命の、あまりの、はかなさ。自分は毎日、その新たな生まれ来る命と向かい合っている。いま、自分の求める幸せって、何だろう?

 決して結婚を急いだわけではないけれど・・・37歳だもん。

 もし、あの3・11が無かったら?

 かねてより、ジム仲間としても知り合いだったとはいえ、この結婚の今は、無かったかもしれない?

 「んん~・・・・・・・」

 はっきりとした答えは、返ってこなかった。

 助産師の仕事もあるが、これからは、1人の妻として、母として、貴い命を防衛し続け、しっかりと生きていくようだ。

 とはいえ、元世界チャンピオン。駄文ならぬ、ダメ押しの駄問として、挙式前夜、たった1つ、お祝いを述べたあと聞いた。

 子供が産まれて、子育てをして。やがて子供が自分の手を離れて、ひと段落したころ、コレは?と感じる良い女子ボクサーがいたとしたら、指導者やトレーナーをしてみたいと、思いません?

 「まったく、思いません」

 一瞬の逡巡もなく、キッパリと答えが返ってきた。・・・・・・・・。

 滝田さんの良き妻、やがて生まれ来る子の良き母になってください。あなたなら、間違いなくなれます!

 挙式、おめでとうございます!


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