想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

野茨の実、ローズヒップ

2010-12-15 02:18:16 | Weblog
敷地境界線を縁どるように、小川が流れている。沢ともいうが、
小川と呼んでいる。
雑木の森は浸透した雨水が蓄えられ、そこかしこで泉がわいてくる。
水源の泉はすぐ目と鼻の先で、沢はすこしづつ川の体をなして、
土地を区切り、流れを早くしていく。
我が家の裏庭は、その流れを借景にしているのである。

そこあたりに白い小さな花をつけている木を発見したのは開墾中の
頃だ。都会から来たばかりで花の名もよく知らない、木のこと
など全くもって無知であった。
いまだってそんなには知らないが、その白い花はあまりに可憐で、
すぐに目にとまった。調べてノイバラであることを知った。

鋭く長い棘があるので広い方へ移植したくともできないままだったが
家を建て、周辺の木々を間引きしたり、下草を刈ったり手入れを
重ねているうちに、ノイバラも居心地がよくなったのか年々花を増やし、
秋には毎年たくさんの赤い実をつけてくれるようになった。


ローズヒップはビタミンCが豊富で美容にいいのでハーブティーとして
食されているが、ノイバラの実はよく似ていて同じバラ科でも野性味が
強く、効能(利尿、下剤等)は別である。
花瓶にさして眺め、愛でながら、通販で買ったほうのローズヒップティー
を取り出して、お茶を煎れた。
酸っぱい味、おいひー…と言ってみたいが…。

あまりおいしいものではないのに、女人は美容にいいというフレーズに
めっぽう弱い。わたしもオンナという自覚がまだ強かった頃、宣伝に
つられて大量に買い込んだわけである。そして友人知人にもどうぞ召し
上がれと盛んにやってみたが…、酸っぱい味のせいか、お代わりをする
人はほぼいないのであった。欲しがる人もいないのであった。

当人からして毎度、どれにしようかなと迷ったあげくカモミールやミントや
ジャスミン、ローズ、レモングラスなどの競争相手に目が移ることとなり、
大量買いの赤い実の袋が食糧棚の隅で余されることとなった。

賞味期限も切れているけれど、乾燥した実だもの、飲めなくはないと
なんだか気の毒な気もしたり、うしろめたい気もしたりで飲んでいる。
美容のためと思っていないことは言うまでもない。
罪滅ぼしの気分である。

追記:ノイバラの実は薬草として販売されているが、素人が調合する
のは危険かもしれない、かなり強い効能である由。
山に入れば、繁殖力旺盛なノイバラなのでわりにみつけやすい。
「効く」という言葉に弱い人は、どれどれと誘惑されるかもしれんが
山菜、薬草の類、はモチヤハモチヤ、主義がいいと思うしだい、
なにせ我々は、自然から遠く離れてしまって、生きもののカンが鈍って
いるのである。親分みたいに、ペッとすばやく察知して吐き出したり
できる人しかおすすめできない、念のため。老婆心。
コメント
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