想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

わけもなく‥‥否、わけあって

2024-06-27 02:15:29 | Weblog
ストレッチポールに首を乗せていると
しばし考えごとをしてしまう。
首の凝りがほぐれていくと気持ちも
ほぐれていくのか、予想外のことが
思い浮かんでくる。

座って静かに考えればいいのだが、
落ち着きなく次々と用事を片付けて
働きつづけて疲れてようやく止まる。
そのあいだ気づかなかった思いがけない
気持ちがポール上の頭を置くと、ふと
湧いてくるのだ。



自分の気持ちは自分でわかっていると
思いがちだがそうでもない。
思いが強いときほど感情に表れない。

都知事候補者の会見でのことだ。
その一人が原発について賛否を問われて、
賛成、私は日本の科学者を信じています
からと答えた。その一言。
日本の科学者は優秀なので信じるという
一言がわたしの胸の奥に突き刺さった。



この人は無知を曝け出しているのか、それとも‥
知ったつもりになった驕りなのか、それとも
よくいる政治屋候補なのか?

小池候補と蓮舫候補を追随する石丸伸二氏
安芸高田市で市議会にて恥を知れと一喝した
市長として有名になった。
YouTubeでの市議議会動画をよく見ていたが
どういう思想、価値観なのかはわからなかった。
爽やかで実直な人柄、およそ政治の場では
みかけない印象で一躍、人気者になった。

けれども言葉には行動の裏付けがいる。
腐敗臭しかない現職が嫌だからといって
新しければいいわけではない。
石丸氏に期待していたからではなく
ふいを突かれ、傷を抉られたようだ。
2011.3.11後の福島を記憶していないのかと。
無知か?と思ったのはあの悲惨と絶望は他人事か。

確かに人災ともいうしかない余地、原因はあった。
明らかにされたにもかかわらず政府も東電も
認めないままである。
彼らは原発神話を作り上げ事故対策をするどころか
防潮堤工事の設計を低くし採算を優先した。
さらに津波の高さは予測不能だったと言い逃れし
無実を主張した。

石丸氏は日本の科学者を信じると言う。
科学者は確かにいた。人間の手に余る原発の危険性を
ずいぶん前から示唆しつづけた人物が大学の隅で、
地道な研究者として倦むことなく発信していた。
京大助教授小出裕章氏の名は3.11の地震以後ようやく
広く知られるようになったまでだ。

事故の収束にあたった御用学者はそのまま
「直ちに健康に被害はない」と連呼する政府と
同調していた。
人々は混乱のなか、信じられる何をも無くし
ある人は自死を選び、ある人は喪った家族を
探すこともできず故郷から遠ざけられた。

海を喪った漁師は試験操業からようやく本当の
漁が再開できるかと思いきや汚染水海洋放出に
翻弄され「常磐もの」の誇りが泣いている。
それを言えば風評被害とまたぞろ反論される。
いったい誰の罪なのか。

今もそのまま、何も変わっていないのだ。
「溶け落ちた炉心が今、どこにあるかも分からず、
今、生きている人たちが死んだ後も収束できない」
と小出氏は現在も警鐘を鳴らし続けている。
しかしエネルギー政策には原発再稼働が含まれ、
老朽原発の耐用年数引き上げを認める政府に
物言う科学者はいないし、原子力規制委員会に
独立性など期待できようもない。
日本の今の政治と同じだ。



ストレッチポールに頭を乗せたまま
涙が溢れた。
政治家は科学者を信じるのではなく事実認識を
するために科学の力を借り、自分の目と耳と
足で確認すべきだ。
石丸氏は福島へ足を運んだことがあるだろうか。
能登半島地震で志賀原発の変圧器が破損した
ことは知っているのだろうか。

つい先日、東電から原発事故の追加補償の
書類が届いた。自主避難者に10万円、
先に渡した分を差し引いて支払うとあった。
覚えていないが4万円支払い済みなので
6万円と印字済みだった。
唐突に追加補償するからと電話があり、
次に封書。電話の声は淡々と事務的で
住所変更はないかと尋ねた。
今もそこに住んでいるかと。

はい、時々恨めしく森の木を眺めながら
山菜採りもせず木の実も眺めるだけです。
近ごろはあちこち木が伐られ
森が無くなり、黒い海ができつつあります。
誰を恨めばいいのか、どうしてこんなに
悲しいのか。

信じてはいけない。
信じることが良いことだとなぜ思うのか。
おのれの欲を差し引いて、
まっさらだといえるほどの確信なら
手を離すこともできよう。










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