想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

オリーブの木を思う

2023-11-29 17:11:12 | Weblog
いつもなら12月初旬に降り始める雪が
今年は11月24日深夜から朝にかけて降った。


早朝、裏庭からの景色。
クマザサが雪で覆われている。
陽が昇ると消えてしまうから
ガウンを羽織ってサンダルで庭に出た。
写真を撮る。
だって初雪だもの。



秋が終わりひんやりとした初冬の空気。
数日前、雪粒が飛んでいた。早いな、
秋はまだいるのに、と思ったが‥降った。

では、いつもどおりに秋が過ぎた証を。




先週は都内でパレスチナ人を支援し
イスラエルに抗議する集会のチラシを受け取った。
労働組合の団体幾つかが共同主催になっていた。
週末は行けないけれども署名とカンパをし、
少し話をした。

オリーブの木を燃やしたらしいね、
根っこに薬剤を入れて枯らすんだ。
侵入して土地を奪うっていうのが今時
許されるってのがね、
暴力だね、暴力がのさばって止まんない。
オリーブは収穫時期なんだよ。

日本なら田んぼを盗られるってことよね、
稲が実ってるのを、踏みつけて。
火を放って燃やされる、同じ人間同士で
言葉じゃなくて武器を使って。



ペンで闘う人がいなくなったのか。
サイード、マフムード・ダルウィーシュが
生きていたらと思う。

「ホロコーストを利用するのを止めてほしい
とイスラエルのユダヤ人に願うのであれば
私たち(パレスチナ人)もまたホロコースト
などなかったとか、非難し敵視する愚昧な
状態を脱しなければならない。

どのような社会にも公正と不正の抗争、
無知と知識の抗争、
自由と圧政の抗争があるのだ。
単に教えられたからといって片方の側に
つくべきではなく、その状況のすべての
側面について、なにが正しいのか、
なにが正当なのかを注意深く選択し
判断を下すべきである。

自分自身のために批判的に思考する仕方を
学ぶこと、そして自分自身のために、
ものごとの意味を理解する仕方を学ぶこと。」

サイードのこれら言葉はピアニストで指揮者の
バレンホイムがヴァーグナーの曲を指揮した
ことに関して、簡単にいえば芸術作品を人格の
善し悪しで色分けしたり線引きする短絡と
危うさを述べることでパレスチナとイスラエル
の相互理解への糸口を提示したものだ。

当然、サイードはバレンホイムの真意を
理解しているが、メディアや大衆の多くは
罵詈雑言と当惑で受け止めた。それは、
反ユダヤ主義のヴァーグナーは演奏しては
ならないという合意を前提にしている。
果たしてそうかと考える人がいたにしても
密かに自分の胸のうちに留めおくのが
無難、そこから踏み出せない社会だ。



ハマスの拠点だから爆撃したとイスラエルが
主張するシファ病院は、新生児が数十名いた。
ガザだけでなく、オリーブ畑も家も兵士ではない
イスラエルの一般人が暴徒化し、襲っている。
その陰に欧米列強、帝国主義の悪の沼が見える。

「時の前に歴史は決して止まったままでいることはない。
歴史のなかではなに一つ変化をまぬがれず、
歴史のなかではなに一つ理性を超えることはなく、
また理解や検討や影響の対象になり得ないものも
ないのである」とサイードはいう。
この言葉を真実にするにはどうしなければならないか。

サイードの言葉をもう一度書いておこう。
知ること、批判的に思考し考えること。
理解する仕方を学べ、という。
人が並ぶところに集まり、人が指さす方を見て
人が言うことを後追いして言い、最後に
「知らんけど」と笑ってごまかし考えない。
大阪人のシャレでは済まされないいまや全国的。
こんなのは軽薄なTVの中だけでいい。
現実世界は、悪を悪とも思わない人間が
頂点に立ち、救いを待つ人々を見下し、
多くの人が希望を、自分の魂をなくしかけている。


今年のさいごのバラが寒空のした咲いていた。
一重のカクテル。

******************
近ごろ、ちょっとうれしかったこと。
「神文伝」先代旧事本紀大成経伝(五)
また注文が増えていますよと取次から連絡。
半年過ぎると返本の嵐とは出版社あるある
なのだがいまのところ嵐には遇わずに
済んでいての連絡だったから。

神文伝の四七文字の最後は
悪・攻・絶、そして欲・我・削(あせえほれけ)
人間が生み為す貪欲と悪事を攻め、絶てとある。
言葉巧みに隠された我欲、貪欲、放埒の三毒を
見抜き、絶てと教える。
これが平和への道だ。
千三百年遡ろうとも悪の原因は今と同じである。














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