スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

オンディーヌ

2016年03月15日 | 雑感
ドイツの森でひとりの騎士(ハンス)が水の精・オンディーヌに恋をするが、愛しきれずに裏切ることとなる。

結局王女(ベルタ)を選んだ騎士は、結婚式の朝に自らを悔いつつ死んでゆく。


フランスの作家・ジロドゥ(1882~1994)の描いた、誰も幸せにならずという悲しい戯曲 『 オンディーヌ 』 。 

水の精・オンディーヌの無垢な美しさと、騎士・ハンスの人間の弱さと悲しさが際立った物語だ。

       
             水の精・オンディーヌ

オンディーヌが劇中で語っているように、気が変わったり、忘れたり、諦めたりするのは人間、
都合のいいように、真実に耐えられない時は嘘で通したりするのも人間だけだ。
 

訳者・二木麻里のあとがき(解説)が胸に突き刺さる。

 『 結局わたしたちは、ハンスのように生きるしかないのだろうか。自己をあざむき、自己から逃れ、
   もっとも深く愛した相手に、もっともむごい仕方で報いる、そのような生である。』


所詮 人間なんて そういうことなのかも知れませんね。 

いやいや スノーマン お前だけだ !  なんていう声も聞こえてきました。