スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

≪軍歌≫ という旅

2015年07月11日 | 雑感
読書での≪童謡・唱歌の旅≫を続けていたら、どうしてもその時代に切り離せないものが出てきた。

明治・大正・昭和の時代 といえば日清・日露・日中・太平洋 戦争。 そう≪軍 歌≫である。

死をも恐れぬ勇ましさの一方、哀感を秘めた詩とメロディー。 軍歌とは「軍事に役立つ歌」をいうのだそうだ。

軍歌といえるものは、古事記・日本書記の時代からあったようですが、1894年日清戦争勃発以後
軍歌制作が急ピッチで進められ、その歴史はおよそ60年。1万曲も下らないという軍歌が生み出されたという。


国家のみならず民衆・新聞各社もそれに同調し、時代は戦時一色となってゆく。

   

明治天皇自ら軍歌を作ったといわれ、滝廉太郎・夏目漱石・森鴎外・島崎藤村など錚々たる人物までもが。

新聞各社も先陣を争い、読売新聞の懸賞軍歌の募集では、日に数百もの応募があったようです。

毎日新聞では軍歌歌詞募集には、実に当時のホワイトカラー1年分の年収にあたる大金(懸賞金)を出したという。
選者は菊池寛や北原白秋などが名を連ね、両名が推薦したあの 『露営の歌』 がヒットした。
( ♪ 勝って来るぞと勇ましく誓って故郷(くに)を出たからは~♪) 古関裕而作曲

続いて毎日新聞に水をあけられてしまった朝日新聞が、負けじと今度はそれ以上の懸賞金をつぎ込んで
応戦したというではないか。

あの美しい童謡・唱歌の作詞作曲をした北原白秋や西条八十・山田耕作・中山晋平までもが ・・・・。

例をあげればきりがない。

  ● 唱歌『むすんでひらいて』の元曲メロディーはあの思想家ルソーの作曲だそうですが、
    この曲を軍歌にしてしまえとそんな時代(日清戦争)だったようです。 
    (見渡せば 寄せて来る 敵の大軍 面白や~ ♪)  軍歌≪進軍追撃≫

  ● 西条八十の作った『二輪の桜』( ♪ 君と僕とは 二輪の桜 おなじ部隊の枝に咲く♪)
    後に替え歌『同期の桜』(♪ 貴様と俺とは同期の桜 同じ兵学校の庭に咲く♪)として大ヒット曲となる。

≪音楽は軍需品なり≫のもと、キリスト教の讃美歌・浪花節・漫才まで様々な音の文化もまた例外ではなく
軍歌と化していったとのこと。 一方≪ジャズは阿片毒物だ≫などと米英音楽が排除されたは言うまでもない。


日本の軍歌に影響を与えたといわれる1792年・フランス革命時に作られた≪ラ・マルセイエーズ≫。
      フランス国歌(ラ・マルセイエーズ)
日本の軍歌も北朝鮮など世界各地で替え歌で歌われているようだ。 人間・戦いの好きな動物のようです。

下右を是非クリックしてみて下さい。 当ブログで紹介するのはこれで三度目です。 
この地球がいかに戦いの歴史であるかがひと目でわかる。 世界の戦争ビジュアル


いま国会では安保法制なるものを連日議論しているが、与野党の論議を聞いていても正直さっぱり解らない。
この法案、国民に解らなく作ってある?ので、解らないのが当然のような気がする。


 ≪ ひとたび民衆と企業と当局の「利益共同体」ができてしまうと、「これではまずい」と思っても
   誰も止められずに最後まで突き進んでしまう。・・・その結果として悲惨な結果を迎えてしまった。
   この事実は心に留めておいてよいように思う ≫
 と。
                             辻田真佐憲著 『日本の軍歌』(国民的音楽の歴史)より抜粋
                             著者は20年来世界の軍歌を収集・研究する軍歌研究者だ。

解らないではすまされないようですね。