Parisが美しい街であることは、誰もが認めるところだろう。しかし、高所からの眺めは、特筆すべきものがない、というのが私の感想だが、どうだろう?
今回、シャイヨー宮とサクレクールの2箇所からParis市内を眺める機会があった。シャイヨー宮は夕暮れ時、サクレクールはとても良く晴れた昼間だった。いずれも、「高いところに上っている」という爽快感はあったものの、Parisの街や建物が特に美しく見えるわけではないように感じた。一つには、Lyonやイタリアなど南の街は建物を作る石材の色が黄色、屋根は茶褐色と暖かい感じがするが、Parisの街並みはグレーと屋根の青銀色のため、高所から見たときに少し暗い印象になってしまうのではないだろうか。
これに対して、夜、セーヌ川に掛かる橋から見るParisは本当に美しい。建物がナトリウムランプでぼおっと照らされ(ナトリウムランプのオレンジ色は少し蝋燭の明かりの色と似ていて、これが石材のグレーを照らし、銅~金色に光る)、建物の素晴らしい装飾が影を作り、えもいわれぬ美しさだ。Parisを見るには、夜、少しだけ距離を置いたところから-セーヌ川に掛かる橋やホテルの部屋から河岸や広場を見つめる等-鑑賞するのが一番美しいのかもしれない。