Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

アニバーサリー-スティーブン・イッサーリス@ウィグモアホール、ロンドン

2010-06-06 23:00:00 | コンサート

イッサーリスのチェロ、デーネシュ・ヴァーリョン(?)のピアノ。アニバーサリーシリーズを続けている彼、今回は、

Barber (生誕100年): Cello Sonata in C minor Op.6

Chopin (生誕200年): Cello Sonata in G minor Op.65

Schumann (生誕200年): Violin Sonata No.3 in A minor arr. Isserlis

von Dohnanyi (没後50年-指揮者のドホナーニの祖父): Cello Sonata in B flat minor Op.8

前半は特にメロディの美しい曲、後半は技術的に気が狂いそうなほど難しい曲(前半も難しいが輪をかけて)。流石、ご当地ウィグモアホールでの演奏会、気合が入ったプログラムだ。これだけの曲を準備するのは相当大変だったことだろう。

チェロ弾きの友人がイッサーリスはガット弦しか使わないので、とにかく演奏は前で聴け!とアドヴァイスしてくれたので、かぶりつきで。確かに音量は控えめである。後ろの席ではどのように聴こえていたのだろうか。特に前半の2曲にはこのガット弦を張ったストラドは極めて良く合っていたように思う。ショパンを大音量で弾ききるのは、今風かもしれないが、この演奏の方がショパン-美的感覚に優れた人-を納得させられるのではないかと感じた。

イッサーリスの演奏フォームは非常に美しかった。古典的な正統派なのだろうか。先日、プロのチェリストにチェロの演奏方法を教えていただく機会があったが、弓の持ち方(主に中指で弓を支え、人差し指はコントロール用)など、彼の指導と一致していて感動した(当たり前、と思われるかもしれないが、プロでもかなり違ったフォームの人がいる)。弓のすばやい動きは、右手首を柔軟にして、まるでマンドリンのトレモロをするかの如く素早く動かす。

ピアニストのヴァーリョンも相当実力がありそうだ。ショパンなど、本当に美しいし、後半も難しい掛け合いを見事に弾ききっていた。彼にも拍手!

後半は、素人から観ても技術的に非常に高度だということが良く分かる。シューマンはイッサーリスの編曲、とのことではあるが、楽譜は市販のヴァイオリンソナタのものを使用していた(おそらく書き込みはあるのだろうが)。最後のスケールをチェロで弾くなんて、気が遠くなりそう。

こういう激しい動きのある曲の場合は、もう少し鳴らしやすい弦を使ったほうがいいのでは?とは思うが(時々音がかすれていたので)、それでもイッサーリスはガット弦にこだわるのだろうな。確かに3弦、4弦の開放弦の音は美しいが。。。

演奏家が一生懸命に取り組み、またそれなりの成果を上げた、良い演奏会を聞かせてもらった。来シーズン、スティーブンはジョシュたちとウィグモアホールに戻ってくる。今から楽しみである。


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