Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

マラ4&マラ5 by ゲルギエフ@ロイヤルアルバートホール、ロンドン

2010-08-05 23:30:00 | コンサート

今日のプロムスはゲルギエフ指揮、World Orchestra for Peaceの演奏で、マラ4とマラ5。

マラ4は、オケで弾いたことがあるので、馴染み深い。音楽も香りなどと同じで、その曲を聴いていた頃のことがたちどころに思い出されたりする。

マラ4はとても穏やかで、まるで幸せな家庭を曲にしたようだと思う。こんな風な平穏な人生を送れたらどんなにか幸せだろう。

ソプラノはカミラ・ティリング。私の中でマラ4のソプラノは、透明な、節回しのない声なので、ちょっとイメージと合わなかった。でも、これだけ広い会場に声を届かせるのは凄い。

そして、今日本当に素晴らしかったのはマラ5。最初のトランペットで完全に参ってしまった。トランペット、上手い!ロイヤルアルバートホールの音響はほめられたものではないが、金管だからか、他の楽器に比べて、音が容れ物に負けないのだろうか。鋭い音から柔らかい音まで自由自在、フレージングも素敵で惚れ惚れしてしまった。

曲として4番も平穏で悪くないけれど、やっぱり5番を聴いてしまうと、より複雑になったこちらが心地よい。ウィーンに居たことの影響なのだろうが、このワルツ感もたまらない。こういうリズム感というのは、その場に住んだら体得できるのだろうか-ウィーンへ行きたい気分だ。

第4楽章といえば、ヴィスコンティの「ベニスに死す」。この曲とあの少し濁った色のベニスの海は完全にオーバーラップする-ヴィスコンティの美的感覚の鋭さに脱帽。

トランペット、ホルン等にとどまらず、オケ全体がゲルギエフの指揮にきちんと応えた素晴らしい演奏だった。思わず友人に「素晴らしかった!」と電話をしてしまった(相手は相当迷惑だ-ごめんなさい)。

ああ、ますます9月のGustavoのマラ6が楽しみである。