Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

反田恭平 ピアノ・リサイタル 2022@愛知県芸術劇場

2022-07-24 14:00:00 | コンサート
Aプロを聴くべく、愛知県芸術劇場へ。とても良い響きのホールでピアノの音がとても美しく響いていた。今日はSteinwayのピアノ。そしてここはヤマハが音響を担当しているらしい。ちょっと見直した(すみません)。
 
今日はプログラムに変更があり、ショパンのソナタ2番に加え、前回同様シューベルトのソナタ20番が演奏された。一方で、バッハ=ブゾーニのシャコンヌが聴けなかったのは、本当に残念。
 
ショパンのソナタもシューベルトのソナタも弱音が本当に美しく感じられる。それを可能にする、この筋肉の動きよ。脳が出したい音を知っていて、筋肉を適切にコントロールしてその音を出す。。。全てができてのこの音。どうやったら鍛えられるのか、是非伝授していただきたい。。。確か、筋肉だけではダメで、脂肪も必要だといっていた。ボテロを見た直後だからか、筋肉+脂肪の美しさを考えずにはいられない。
 
今日のシューベルトはちょっとテンポ早目で「疾走する」感じであった。個人的には21番が「疾走する」感じなので、是非、今日のような感じで21番を演奏していただきたいな。。。と。
 
今日もアンコールを4曲演奏してくださった。いつまでも聴きたい思いはあるが、しかし、これだけハードスケジュールで8つのリサイタルをこなしてこられた反田さん、無理はしないでください、とも言いたい。
 
そうそう、いつも問題になる、演奏中の雑音。。。気にならないわけではないけれど、ヨーロッパに比べたら、遥かにお行儀よい日本の聴衆。いや、お行儀が良すぎるから小さなことも気になるのかもしれない。一方で、とても目立っておられる方がいらしたことは事実。反田さんも気づいて、背中が怒っていたな(勝手な解釈だが)。何か良い方法があれば良いが。
 

スタニスラフ・ブーニン 「再会」コンサート

2022-07-18 15:00:00 | コンサート
何十年振りだろう、三軒茶屋の昭和女子大学人見記念講堂へ行ったのは。
スタニスラフ・ブーニンの「再会」コンサート。9年半振りのコンサートだと言う。なるほど9年前に帰国して以来ブーニンの名前を聞かないはずだ。どこかで怪我をしていたとか病気をしていたとか、いろいろな噂は耳にしたような記憶はあったが。
 
前半は朝岡聡がブーニンと「浜辺の歌」の合奏&インタビュー。後半はブーニンによるシューマン「色とりどりの小品 作品99」の演奏。
後半、演奏のために舞台に現れるブーニン。引き摺る足が痛々しい。靴も左足は特別なものを履いているようだ。前半、緞帳を下げ、椅子に座った状態で現れた理由がわかった。しかし、残念ながら、演奏も痛々しいものだった。
 
人見記念講堂は、座席が新しいものに入れ替えられていた。ホロビッツの2回目の来日(最後の来日)もここだったはず。あの壁にホロビッツが「帰る〜!!」と蝉のように張り付いたこととおじさま方の興奮を今でも昨日のことのように思い出す。
音響におそらく問題があるわけではないのだろうが、ブーニンがリヒテルばりのスピードで弾いて、弾ききれずに音が濁っている、そんなように聞こえた。また何曲目だったか最後を外して弾き直したようにも見受けられた、。。あの衝撃的な猫のワルツと同じことを55歳がやるとこうなってしまうのかと、我が身を振り返るのであった。
 
なぜ今日ここにきたのだろう?
1985年にFM放送で感じた「何か」がそこに在って欲しかったからだろうか(去年のコンクールはYouTube配信だったが、当時はFM放送だった)。シューマンの中に聞こえる葬送行進曲のリズムとヴェルディの「レクイエム」のようなメロディが頭の中をぐるぐると巡った。
そして「浜辺の歌」をググったら、意味深に思えなくもない。
しかーし、やらねばならぬことは果てしなくあるので、これ以上考えることはやめる。
 
 
そうそう、一時期演奏会では、1000円、2000円もするプログラムが売られていたけれど、最近は無料のこうしたプログラムが主流なのかしら?共にB5(くらい?)の見開き3ページ構成。

反田恭平 ピアノ・リサイタル 2022@名取市文化会館

2022-07-17 14:00:00 | コンサート
反田さんのピアノを聴きに名取市文化会館へ。
なぜ、そんな遠くまで、というと、今回のBプロには我が最愛のシューベルトの3つの遺作ピアノソナタのうちの1曲(20番)が入っていたから。週末とバッティングしている中で一番近い(近くないけど)のが名取市の回だった、という。
 
反田さんはショパンコンクールで使われたというShigeru Kawaiのピアノを遥々ワルシャワから運び込んだとか。ピアノが舞台の上でピカピカに光っている。
席は今回も最前列で、ちょっと心配だったけれど、京都の時のようにピアノが今にもステージから落ちそう、というのとはだいぶん違って、悪くない。第四楽章のテーマが、最後に戻ってきた時、とても優しい音がして、ああ、これを弾くためにこのピアノを使ったのかな、と勝手に納得。
ああ、シューベルトの遺作のソナタって、本当に切なくも美しい。透き通った秋の日のようではないか。。。他の2曲もぜひ演奏していただきたいし、将来にわたって演奏し続けていただきたい。あとはベートーベンのlast three sonatasも。
それにしても、曲間に指をバキバキするピアニストって、他に知らない。気持ちはわからなくもないが。。。
 
前日、宮崎で演奏をして、今日は宮城(音だけでなく会場でも韻を踏むのか?)。恐ろしく疲れているに違いないが、アンコールを5曲演奏してくださった上に、自著とCDのプロモーション。反田さんは本物の、生まれながらのビジネスパーソンだと信じて疑わない。
 

エフゲニー・キーシン リサイタル@カーネギーホール

2022-05-20 20:00:00 | コンサート

カーネギーホールでキーシンを聴いた。
昨年亡くなられたカントール先生へ捧げられた演奏会。

ニューヨークは大変な雨と渋滞で、カーネギーホール到着は開演10分前。
しかし、皆同じ状況なので、ホールの前は人だかり。
無事席に着くも、なかなか始まらない。
10分以上遅れて、キーシン登場。

J. S. BACH Toccata and Fugue in D Minor, BWV 565 (arr. Tausig)
MOZART Adagio in B Minor, K. 540
追悼だから?なんだか悲しくて美しい。

BEETHOVEN Piano Sonata No. 31 in A-flat Major, Op. 110
全体的に、ゆっくり、切々と歌われる。
このスピードなら、私でも弾けるんじゃない?と思わせられるような。
でも加速度という妙薬なしで音楽として聴かせる強さ。
これはもう、涙なしでは聴けない、
切なくて、美しくて。
最後短調から長調に変わり、
ああ、美しさに哀しみは不要なのか、と思わせられる。

CHOPIN Mazurka in B-flat Major, Op. 7, No. 1
CHOPIN Mazurka in G Minor, Op. 24, No. 1
CHOPIN Mazurka in C Major, Op. 24, No. 2
CHOPIN Mazurka in C Minor, Op. 30, No. 1
CHOPIN Mazurka in B Minor, Op. 30, No. 2
CHOPIN Mazurka in C Major, Op. 33, No. 3
CHOPIN Mazurka in B Minor, Op. 33, No. 4
CHOPIN Andante spianato and Grande polonaise brillante, Op. 22
子供が発表会で弾くようなマズルカに始まり、最後はまさにbrilliant!
この辺りもカントール先生への感謝やさまざまな想いが込められているのかな、
と勝手に想像。

アンコールも4曲。
キーシンのアンコール発表はほぼ聞き取れた試しがなく。
1曲目はBachあたりだと思うけれどC minorの曲。
2曲目はソナチネアルバムとかにあるソナタ。
3曲目は英雄ポロネーズ
4曲目は別れのワルツ

素晴らしい演奏会でした。
久しぶりに、演奏そのものに泣かされました。
感謝。

 


反田恭平&Friend@京都コンサートホール

2022-05-15 15:00:00 | コンサート

反田さんとJNOコンサート@京都コンサートホール。

今回は最前列ほぼ中央。
舞台が狭いのか、舞台の端と演奏者の位置が近く、
ピアノに至ってはあと30cmで落ちる。
ここで地震が来たら間違いなく飛んできたピアノに押し潰される、
と恐ろしくなる。ピアノの音量もほぼ騒音レベル。

今日も希望者による指揮。
一人の方は反田さんに指揮をしたことがあるのか?
と尋ねられるほど、基本に忠実な美しい指揮だった。
入りの早いヴィオラに視線を飛ばした自分を反省する。
そういうコーナーじゃない。。。

反田さんのショパン、今日は音楽しりとりの種明かしがあった一方、
務川さんとのハンガリー舞曲への言及はなし。
個人的には今日の方が、調違いの違和感あったけれど。
ホールの音響が良いからだろうか?

シューマンも前回より楽しめた。
やはりホールの音響なのか、JNOの慣れなのか。

今日の収穫は、このホールの残響がとても美しいということ。
最前列の席でもこんなに残響が美しいなんて!流石、永田音響設計。
 
最後、ソリストやオーケストラを讃える場面、
普段の演奏会はどういう順番で讃えていただろうか?
務川さん(&ステマネ)がタイミングを図りかねていたのが
微笑ましいというか。
いつかこんなだったことを懐かしく思い出すだろうか。
 
【追記】
指揮者は「靴」なのだそうである。
https://biz-journal.jp/2022/05/post_295586.html
この日の反田さんは、ケンジントン・ラインダービーとお見受けしました。

 


反田恭平&Friend

2022-05-08 17:00:00 | コンサート
10連休最終日、反田さん&JNOの演奏会@サントリーホールへ。
 
印象に残ったのは
 
・ショパンのラルゴから英雄ポロネーズへの音楽しりとり
 
・オケでの演奏の後、反田さんと務川さんがピアノ連弾によるハンガリー舞曲第五番を演奏するところで、反田さんの「調(音が、と言ったのかな?)が違うけど驚かないでね」というコメント
 
今年年始のウィーンフィル、ニューイヤーコンサート生中継でのコメント、婦人画報でのインタビューでのコメントも含めて、反田さんの音楽の見方(捉え方)を垣間見る気がする。紫外線が見える昆虫が花を見るときのように、と例えたら良いのだろうか、一般的な人の音楽の捉え方と違うのではないのかな(ってあたくしの方が違うのかしら?)。多分、驚く人はそんなにいないと思うよ、と突っ込みたくなる。
 
・務川慧悟さんのアンコール、ラヴェル 道化師の朝の歌
 
コンチェルトは伸び代たくさん(特に指揮を含めたオケが)な感じだったけれど、ラヴェルは良かった。
 
連休最終日に良い時間でした。
来週の京都はどんな進化があるのか楽しみ♪

新日本フィルハーモニー交響楽団 すみだクラシックへの扉第4回 指揮:佐渡裕 ピアノ:反田恭平

2022-01-22 14:00:00 | コンサート
2022年1月22日(土)14:00 すみだトリフォニーホール 
新日本フィルハーモニー交響楽団 すみだクラシックへの扉第4回
指揮:佐渡裕 ピアノ:反田恭平
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 op. 73 「皇帝」
 
六本木からタクシーを飛ばすも、到着は開演3分前。その上スマホ上の電子チケットが開かない。紙のチケットを発券していただく。
演奏者変更の通知を佐渡さんのtwitterで知って入手した3階席まで、食後のお腹を抱えて走る。
 
 
幸いなことに、オケメンバーはまだ席についておらず、佐渡さんのお話中。
息を整え、いざ本番。
 
思ったより華奢な印象の反田さん。オーケストラが演奏している間、心持ち体を指揮者の側に向けている。
凱旋公演、N響との協奏曲演奏、そのほかメディアに出ずっぱり。とはいえ、抜かりなく演奏されるはず、という期待通りのテクニックと美音。
 
それにしても、「皇帝」なんていつも聴いている、と思ったけれど、第3楽章に入る前のホルンはしんどそうだなとか、最後のティンパニもアマチュアだったら死ぬな、などとこちらが緊張するなんて、普段全然ちゃんと聴いていない証拠。
 
アンコールのショパンのマズルカOp56. No.2(だったと思う)は普段の演奏とは少し異なるような印象。正直、あまり気乗りしていない演奏のようにも聴こえなくもなく。
 
また、いつか。できれば、海外で。

Marc-André Hamelin Piano Recital@武蔵野市民文化会館

2018-06-25 19:00:00 | コンサート

Bach/Busoni: Chaconne
Feinberg: Piano Sonata No.3 Op.3
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Schumann: fantasie in C Major

彼の演奏を聴いたのは、もう9年も前のこと。ロンドンのWigmore hall。聴衆が立てた奇妙な音で音楽が中断されたことを、再現部で再現した。彼の頭の中で音楽はどう存在しているのかと思った、強烈な思い出。。。

ピアノ弾きの知人らがこぞって集まるという。負けじとチケットを入手するも、かなり後方。。。と思いきや、結構良い感じ。前過ぎず、後ろ過ぎず。なんとピアニストの手元も少し見える。

前半はテクニックを楽しむ。Feinbergは開いた口が塞がらない。なんと、なんと素晴らしいテクニックなのだろう。

後半は響きを楽しむ。Schumannは、細部まで神経の行き届いた音、まるでステレオグラムが目の前で結像するような、そんな印象。みんな、こんな風に弾こうとは思うけれど、でも実際には、一つに集中すると他が疎かになるもの、ところが彼の演奏は、すべてがwell-controlled。
あー、こんな風に仕事をmanageできたら、どんなに良いだろう。

武蔵野市民文化会館。素晴らしいホール。音響もオペレーションも。Merci beaucoup!


ブルックナー 交響曲第7番

2018-04-08 14:00:00 | コンサート

今日は所属するオケの演奏会。演目は、ワーグナーの「ジークフリート牧歌」とブルックナーの交響曲第7番。

ブルックナーの交響曲第7番の解説を書くように頼まれて、書いたのだけれど、「ですます調」でないということで一旦ボツに。少々心残りなので、ボツになった原稿を備忘録としてここに。

アントン・ブルックナー 交響曲第7番ホ長調

音楽室で肖像画を見た記憶がない。授業中に鑑賞した記憶もない。ブルックナーの交響曲は授業時間に収まりきらないくらい長くて、しつこいから当然か。結果、彼は無名で一般的には不人気な部類の作曲家に属することとなった。が、今日初めてこの曲を聞くあなたも、心配は要らない。ブルックナー史上初めて初演が成功した曲だ。

第一楽章、有名な原始霧(弦のトレモロ)の中から最初の主題が立ち現れる。宇宙の広がりを感じ、その心地良さに続く第二、第三の主題で気を失うかもしれないが、曲のフィナーレかと聞きまごう大音量によって必ずや目覚めるであろう。ここで慌てて拍手されないことをお勧めする。

第二楽章、184小節以降がワーグナーへの葬送音楽と言われる。楽章全体が「英雄の生涯」に聞こえなくもない。荘厳な主要主題 に始まり、その2回目の再現部、繰り返されるヴァイオリンの分散和音は、まるで幾度失敗しても 神を指向する英雄の姿。ついにシンバルの音と共に壁を打ち破る、がそこに聞こえてくるのはワーグナーチューバとホルンによる葬送曲。

第三楽章、スケルツォ。これを物足りない、と感じたなら、あなたにとってブルックナーは既に特別な人だ。

フィナーレはラッタ(付点8分音符+16分音符)のリズム。第一楽章の最初のモチーフが、リズムを変えるだけでこんなに愉快に。そして後にはテンポを変えるだけで重厚に。 展開部ではこのラッタによる「ゴシック様式教会建築」が突如眼前に現れる。ラッタによるヴァリエーション、ブルックナーらしくなくあっさり目なのは、 管楽器奏者を昇天させてはならない、昇天するのはワーグナーだけで十分という彼の心遣いだろうか。

 

参考文献:ENCYCLOPAEDIA BRITANICA, Wikipedia


How do you do?

2011-10-18 19:00:00 | コンサート

友人のピアニストから、コンサートのお誘いをいただいた。なんと、当日のお誘い。イタリア人で普段はイタリアを中心に活躍する彼女、この機会を逃すのは惜しい、と会社の帰りにそのまま伺った。

ところが、これが間違いの元であった。なんと、そのコンサートはプライベートコンサート。主催者のマダムのご自宅での極めてプライベートなコンサートだったのである。出席者、ロングドレスではないけれど、皆さんイブニング用のショートドレスに着替えていらっしゃる。。。

外からは普通の家にしか見えないのだけれど、一歩足を踏み入れると、お手伝いさんが複数、壁にはタペストリーが掛かり、お部屋の中には、古い絵画、銀器、陶器。。。やっぱりロンドンにはいくらもお金持ちっていらっしゃるのね、と感嘆。

そして勿論、挨拶はNice to meet youではないのである。あの、マイ・フェア・レディの「How (pause) do you do ... (smile) ...」。相当場違いな私。

ああ、大失敗。なぜこういう日に限ってパンツスーツなんだろう。深く反省。

マダム所有の1920年代製造のスタインウェイで、友人がバッハ、リスト、ショパン、ドビュッシーを弾く。彼女はとても小柄なのだけれど、いつもパワフル。でも、今日はショパンの英雄ポロネーズが印象に残った。ちょっと優しい、歌う英雄。

帰り際、マダムに今日の非礼を詫びると、明日、別のコンサートがあるから、いらっしゃい、と再びお誘いを受ける。

明日こそリベンジ!