ま

　鋼の錬金術師で有名になった「なにかを手に入れれば、何かを失う」は概念である。実在ではない。
　たしかに、初体験を得れば、童貞を失うが、初体験も童貞も、ふくらんだ自意識故の妄想である。肉体的にナニがドレだけ違うんだか。男であるなら、初体験以前も以後も肉体的にはたいした違いはない。ただ精子を排出しただけの事だ。

　買い物をすれば金が減る。
　値段や金なんてもの自体が概念以外のナニモノでもない。単なる取引で、取り替えっこだ。取り替えっこを、もっともらしく言えば、何かを得れば何かを失うだけど、だからなんだ。

　空気を吸えば空気は減る。水を飲みゃ水は減るが、空気も水も循環する。

　自分を、循環する環境のひとつとして見れば、なにかを得てなにかを失うわけでなく、単に資源を循環させているにすぎない。自意識過剰だから、なにかを得るとなにかを失うよなとつい思ってしまう。
　取り替えっこではない。回しているだけだ。

こうやって

　国は弱体化する。

太らないコツ 4

　なんてこと、まるで優しげにオジさんである俺が語る理由は、デブ呼ばわりされたくないからである。
　俺以外の周りの人間が全部俺よりデブなら、俺はデブではない。
　他人に優しくなろう。
　マジで笑顔で、太っていても全然 OK だよとか、善人ぶろう。デブを日本の公認体形にするのだ。デブにあらずんば人にあらずと日本中をデブ化させるのだ。
　丸いと安心だよねとかおだてて木に登らせるのだ。
　そんでもって、自分は少しの努力で、少しだけ他人より痩せていりゃいいのだ、これって楽じゃない？

太らないコツ 3

　妖怪化が嫌なら、太らない為の肉体改造の前に、まず精神改造が必要だろう。
　ダイエットそのものを目標とすると精神か肉体が蝕まれる。
　やるなら楽しまねばならない。
　楽しくない事、やりたくない事を無理矢理にすると、精神か身体か、弱い方から先にぶっ壊れる。
　ダイエットを楽しめる精神力がないなら、デブに甘んじててもいいんじゃないの？

太らないコツ ２

　体重なんて、ある程度までは数字の問題だ。
　まず、体重計にのらない。自分の体重が分からなければ気に病むこともない。

　また、他人と比べるから、太ってるとか痩せてるとか気になるのだ。
　もう、誰とも会わない。家から一歩も出ないで、テレビも見ない。外界をいっさいシャット・アウトすれば、基準は自分だけだ。自分だけなら、基準も標準も自分だけだ。

　理想の自分像があるから、太ったとか気にしてしまう。
　家中の鏡をぶち壊す。自分が映りそうな物の側には寄らない。家から一歩も出ずに、雨戸も閉めて真っ暗闇な状態にしておくのがベストである。食事も出前か生協の宅配で済ませばいい。

　脂肪がつきやすいのは、特に腹回りである。
　常に、寝ている時以外はブリッジの姿勢でいる。腹筋や腹回りがのびきっていれば、たるみを自覚する事もない。移動もブリッジでサササと移動するのだ。

　では、まとめよう。

１、体重計にはのらない。

２、家に閉じこもる。

３、家中の鏡をぶち壊す。

４、雨戸を閉め切って、真っ暗闇で生活する。

５、移動する時もブリッジ。

　う～ん、まるで妖怪のようだ。
　だが、こんくらいしなきゃ確実に太ってしまう。太りたくないなら妖怪化もやもえないだろう。