宇宙人とカラス

　「カラスの死骸は何故か見つからない」
　そんな都市伝説めいた噂があるが、あきらかに噂で、俺は３６年間生きてきて今日で２羽目のカラスの死骸に遭遇した。

　カラスの死骸を見ないのは単なる確率の問題なのだろう。
　カラスは他の鳥に比べて体がでかいからやたらと目につくが、鳩やスズメなどに比べればカラスの個体数はあきらかに少ない。
　カラスを襲う天敵はほぼいない上に、道路を横断する猫などと違い、空を自由に飛ぶカラスの交通事故に遭う確率は低い。そのうえ用心深いから、成長したカラスが思わぬ事故で命を落とすような確率は当然少ないだろう。
　寿命や病気で死ぬカラスなら弱っているはずだろうから、自分のねぐらの、林など人目につきにくいところで死ぬ事が多いだろう。

　絶対数がさほど多くなく、事故で死ぬ確率も低く、人目につきにくいような場所で死ぬ事が多いなら、カラスの死骸を街で見かける確率も少なくなるはずだ。
　とは言ったものの、ネットを検索するとカラスの死骸の目撃情報は以外に多い。なんだ、やっぱりカラスも普通に死んでるんじゃんと思う。