習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『決戦は日曜日』

2023-05-24 06:34:00 | 映画
2022年の1月に公開された映画だ。一応はコメディのスタイルを取っているが、決してふざけた話ではない。それどころか、ここに描かれることは本気で考える必要があり、政治に無関心な人たちをちゃんと選挙に導くような映画になっている。笑いながら気がつくと真面目な話になるのがいい。彼女には選挙に当選した以上、この国の腐った政治を変えて欲しい。真剣に戦う覚悟が描かれるラストは心地よい。 それまで政治とか選挙と . . . 本文を読む
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『宇宙人のあいつ』

2023-05-23 08:32:00 | 映画
中村倫也主演で、彼が地球人になりすましてきた宇宙人を演じるのだが、彼以上に彼が次男坊として潜むこの家族の長女・伊藤沙莉、長男・日村勇紀、三男・柄本時生のほうが宇宙人っぽい。どちらかというと中村倫也はただの地球人にしか見えないし。もうこのキャスティングだけでこの作品は成功したもの、と思わされた。それだけに映画自身のハードルは高くなったのではないか。 映画はこのキャスティングの凄さを超えられない。な . . . 本文を読む
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『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』

2023-05-22 20:41:00 | 映画
こういうバカバカしい映画は劇場で見るに限る。イベント映画なのだ。だからTVで見ても迫力は伝わらない。それにお話なんかどうでもいい。ただただありえないようなスタントを大スクリーンで見たいと思う。それだけ。これでなんと10作目になる。そして今回が完結編という評判だった。これまで何度となく映画館で予告編を見せつけられてきた。(うんざりするほどに)でも確かにこれは「すごい迫力だ!」と圧倒された。ありえない . . . 本文を読む
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村上龍『ユーチューバー』

2023-05-22 16:28:58 | その他
『MISSING 失われているもの』に続く村上龍の新作なのだが、なんだかパワーダウンした気がする。カンブリア宮殿でも最近は小池栄子のアシスタントのようなポジションに甘んじているし。大丈夫か、村上翁。70代の作家と(村上龍自身がモデルになっている)彼に関わる40代の男の話だ。男は仕事を辞めて、ユーチューバーになる。作家にインタビューを申し込む。それを配信することユーチューバーとしての活動を始める。コ . . . 本文を読む
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『最後まで行く』

2023-05-22 15:37:08 | 映画
日曜の朝、あまり何も考えたくないからノーテンキな『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』を見ようかとも思ったけど、まずこっちから見ることにした。一番見たい映画を優先する。しかも今朝『ボクらの時代』にこの映画を作った3人が出ていて、お話をしていたのを見てしまったから、さっそく見に行くことにした。 なんと監督の藤井道人より主演の岡田准一の方が6つも年上で、綾野剛だって5つ上なのだ。鼎談から伺える3 . . . 本文を読む
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村上しきこ『あえてよかった』

2023-05-22 15:27:20 | その他
58歳。無職。妻を失い、死にたい。そう思っている。同世代が主人公で、置かれた境遇が似ているから過剰に感情移入してしまう。いや、僕の妻は死んでないし、僕は彼と違って死にたくはないけど。まぁ無職というのは同じということね。そんなことはともかくとして、要するにこれは、新しいステージに立ち今まで見えなかったものが見えてくることを描く作品なのだ。そこが自分と似ているところですね。(彼はすぐ働くけど、僕は今は . . . 本文を読む
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『アカーサ 僕たちの家』

2023-05-22 15:18:10 | 映画
これはなんとルーマニア映画だ。とても珍しい。珍しいからではなく、この映画の設定が、わからないと思った。しかも、これはドキュメンタリーである。特異な設定のフィクションではない。ここはどこなのかとずっと思いながら見ていた。なんとも不思議な映画なのだ。 冒頭のシーン。川遊びしている子どもたち。彼らは広々としている自然の中にいる。カメラが引いていく。グングン引いていくと、道を隔てた向こうは大都会で、こち . . . 本文を読む
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野々井透『棕櫚を燃やす』

2023-05-22 15:15:06 | その他
父が後1年で亡くなる。定年まで後1年だった。いや、定年とかはどうでもいい。父が亡くなるそのことがただひたすらショックだった、はずだ。お話はすべてを受け取った後の3人のお話。 事実を受け入れ、それまでの日々を一緒に過ごす姉妹が主人公。ふたりの母は長女が5歳の時に亡くなったから、それからもう30年になる。姉は34歳、妹は29歳。東京の庭付き一軒家に三人で暮らしている。ずっと3人で暮らしてきた。たぶん . . . 本文を読む
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『トーベ』

2023-05-22 15:05:37 | 映画
トーベ・ヤンソンの伝記映画。だが、ムーミン秘話ではない。ここには彼女が何を求めて、何をして、何が出来なかったのかが描かれている。もちろんそこにはムーミンだって大事な要素だけど、それだけではない。   1944年フィンランドのヘルシンキ。戦争が終わり、自由な時代がやってくる。そんな時代を背景に、画家として、ひとりの女として、彼女はそこにいる。好きになった女性がいる。彼女への想いが描かれ . . . 本文を読む
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滝口悠生『ラーメンカレー』

2023-05-22 08:34:00 | その他
ロンドンに友人の結婚式に行く夫婦。ついでにペルージャの妻の旧友のところにも行き、2日間を過ごした3年前の旅を思う。お話は結婚式ではなく、この「ついでに」のペルージャの旅を描く5つの短編連作。これが前半だが、繋がっているから5つでひとつの中編小説。夫の視点からのエピソードと妻の視点からのエピソードが交互に描かれる。内容は先に書いたが結婚式の話ではなく、旅の後半、ペルージャ行きの旅の話。しかも、小説の . . . 本文を読む
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三浦しをん『好きになってしまいました。』

2023-05-21 18:56:00 | その他
たわいないエッセイ集だけど、読んでいたらなかなか楽しい。別にここに感想をしたためる程ではないけど、なんだかうれしいから書いている。こういうさらりとしたこだわり方が好き。エッセイだからと手を抜くのは嫌いだが、へんに力を入れられても困る。負担にならず、読みながす、だけどなんかいい気分にさせてくれる。それがいい。  「日常の中の美」を扱った1章は化粧品会社の会報誌連載なので、少し遠慮気味で、 . . . 本文を読む
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『帰れない山』

2023-05-20 11:44:00 | 映画
これは2時間半に及ぶ長編である。(こんな地味な映画なのに)タイトル通り山を舞台にしたドラマ。壮大な風景を背景にした映画なのだけど、何故かスタンダード・サイズ。シネマスコープの大画面で雄大な自然を見せるべきところなのに。もちろんそこには作り手の意図がある。山を介したふたりの男の友情を淡々と描く。12歳の出会いからの日々。31歳の再会。その後、父の意志を受け止め山小屋を建てる為にふたりで過ごした時間が . . . 本文を読む
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『私、オルガ・ヘプナロヴァー』

2023-05-20 09:07:00 | 映画
とんでもない女が主人公。オルガ・ヘプナロヴァー。チェコスロバキア最後の女性死刑囚として、23歳にして絞首刑に処された。彼女は1973年、プラハの中心地で路面電車を待つ群衆にトラックで突っ込み、8人を死亡させ12人が負傷するという事故を起こした犯人。なぜ、彼女がそんな狂気に至ったのか。モノクロで、描かれる無口でクールな映画だ。いらぬ一切説明はしない。だが、映画はきちんと順を追ってオルガが犯行に至るま . . . 本文を読む
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『台北暮色』

2023-05-18 11:50:34 | 映画
このタイトルはあまりに安易だ。明らかに小津安二郎の『東京暮色』を意識している。あれは小津映画としてはあまり出来のよくない作品である。(と、僕は思う)だから、あの映画を意識するこのタイトルは不吉だ。有馬稲子は一番美しいと思うけど。原題は『強尼・凱克』、英語タイトルは『 Missing Johnny』。だから2017年・第18回東京フィルメックスのコンペティション部門に出品された時には「ジョニーは行方 . . . 本文を読む
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『エア AIR』

2023-05-18 11:37:32 | 映画
ベン・アフレック監督、マット・デイモン主演による最新作。GWに劇場公開した作品が早くもAmazonプライム・ビデオで配信がスタートした。いいのか、これで、と心配になる。それでなくとも来月から映画料金が値上がりして2000円になるのに、配信で家ですぐ見られるのでは、誰も劇場に行かなくなるのではないかと心配になる。 まぁ、それはさておき、この映画である。『グッド・ウィル・ハンティング』の脚本、主演コ . . . 本文を読む
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