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映画・演劇のレビュー

『キラー・ヴァージン・ロード』

2009-09-27 17:55:48 | 映画
 あまり評判がよくないし、全然期待もしないで見たのだが、正直言って最初はこけそうになった。こりゃぁなんじゃぁ、と思う。下手糞なミュージカルもどきで、歌うし踊る。でも、それがなんかサマになってないし、なんかダサいです。(今時「ダサい」なんて誰も言わんなぁ)このままずっと行くんならいやだなぁ、と思ったが、さすがにダサ・ミュージカルは治まって、普通のバカコメディーになり、ほっとする。

 上野樹里はまるでバカ女を天然で演じる。頭悪そうで、見ていて可哀相になる。彼女とバディーを組む木村佳乃は怖い顔で死にたい女をハイテンションに演じる。「予測不可能」とチラシに書いてあるが、そりゃこんないい加減な話を誰が予測しようか。不可能ではなく、予測する気にもならない、ということだ。

 死体を道連れにして、あっちこっちをフラフラする24時間くらいの話だが、こんなにも死体を粗末にしていいのか? いくらコメディーとはいえもう少し大事にしてあげても罰は当たらないと思う。まぁ、映画なんで、ほんとにトランクの中に死体を入れてドタバタしてるわけではないから、形だけなんでいいけど。

 初監督の岸谷五朗は自分は出演しないでちゃんと監督に徹したのは偉いが、なんでもありの無節操映画で、彼がやりたかったことがここからは伝わらない。笑わせるだけでいいのかもしれないが、このくらいの笑いでは、なんとも思わない。満を持して放つ映画がこれでは、なんだかなぁ、と思う。

 結末(ここから結末に触れます!)の結婚した上野の旦那が変態だった(冒頭のフリがここで明確になる)という部分も、なんかもう忘れてたよ。しかも、そこで最後のドキドキを見せてくれるのか、と思いきや、なんだあれで終わりなのか? 最初のネタ振りを繰り返しても笑えない。だいたいあそこでもう一度トランクに死体を入れてフラフラするなんてありえないよ。まぁ、最初から最後までありえないような話なので、何を今さら、って感じですが。

 トランクに乗って山を下るジェットコースターみたいなシーンはかなりバカバカしくておもしろかった。三浦しをんの『神去なぁなぁ日常』のクライマックスの巨木に乗って山を下るシーンの縮小スケール実写版って感じだ。

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