こういう映画を今作っても全く観客の支持を得ない。今更『バトルロワイヤル』って、どうよ、ときっとみんなも思ったはずだ。36人のクラスメートの高校生たちが殺し合いをする24時間限定バトル。それを88分ノンストップで見せていく。残酷なシーンは山盛りあって、何度となく目を逸らさずにはいられない。
コミック原作のお話には全く説得力はなく、目先のショックシーンの連打だけで、ここにはまともなストーリーはない。どうしてこんな映画を作ったのだろうか。しかも、作り手は結構力を込めて作っている。こんなものを作るためにこれだけの労力を注ぐって何なんだろうか。
女性監督が、橋本環奈を主人公にして、この題材をどんなふうに処理するのか。それが興味深かったのだけど、企画意図が見えてこないのが、残念だ。描こうとするものは、ただの残虐な殺し合いだけではなかったはずだ。なのに、殺戮ショーに終始する。たったひとり生き残ったことの意味だってあのラストからはまるで伝わらない。別にエンタメ映画だから意味なんかない、と言われたならそれまでなのだけど、なんだかもったいない。