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映画・演劇のレビュー

12月のDVD (『フラワーショー』他多数)

2018-12-30 12:21:46 | 映画

『フラワーショー』という映画が面白い。アイルランドの圧倒的な風景に魅了される。これは花とコンクールを描くかわいい映画ではなく、自然と人間との関係を描いた作品なのだ。たまたま手に取っただけで、特に見たいと思ったわけではないけど、まぁ、いいか、と思い借りてきたら、とても素敵な映画で得した気分。

それにしても、膨大な映画の中から何本かを選ぶのはたいへん。TSUTAYAに行くと、楽しいというより、途方に暮れる。めぼしい映画はちゃんと劇場で見ているつもりだけど、今の時代、知らないうちにどんどんいろんな映画が公開されて消えていくし、もっとすごいのは劇場未公開作品が知らない間にどんどんリリースされ、消えていく。

今、年間120本くらい劇場で映画を見ている。ここ数年は140本くらいだったけど、今年は忙しくてなかなか映画館に行けない。12月はなんと8日から2週間以上見てない日が続いた。(その間、DVDで15本くらい見たけど。)

ベスト3は先にも書いた『笑う故郷』、『馬を放つ』、『アバウト・レイ 16歳の決断』。

だけど、実はどうでもいいような映画を他に10本以上見ている。劇場公開時に少し気になっていた映画で『アサシンクリード』というアクション映画を見たのだけど、劇場で見なくてよかった。つまらない。ゲームの映画化はどうしてこんなにも浅い映画になるのだろうか。お話自体はなかなか面白そうなのに。

あの『ロボコップ』で一世を風靡したポール・バーホーベン監督の久々の新作『エル ELLE』は、そのゲーム業界を舞台にした映画だった。過激な内容で、イザベル・ユペールがハードなシーンにもこともなげに挑んでいる力作。だけど、僕は買わない。こんな不快な映画はない。だけど、イザベル・ユペールの圧倒的な存在感にはひれ伏すしかない。彼女を不愉快と思うのは、従来の男社会の価値観に毒された人たちだけではない。もっと深いところで、女というものを掘り下げることになる。無意識の中で僕たちが女性に求めるものがあからさまにされる。

 

『ハロルドとリリアン』というドキュメンタリー映画が面白かった。ハリウッドの絵コンテ作家(そんな仕事があるのだ! 絵コンテは監督が書くものだと、思っていた。)と映画リサーチャー(これはたしかに必要な仕事だ)の夫婦を描いた作品。彼らが生きた時代と、彼らの仕事の紹介が、こんなにも面白い映画になる、地味なドキュメンタリーのはずなのに、驚きの事実の記録、そして夫婦愛の物語。思いがけない拾い物だ。

 

白石和彌の『サニー 32』もこの際だから、見てやれ、と思い、見た。これも、またとんでもない映画で、評価の分かれるところだろう。前半と後半ではまるで別の映画になる。想像もしない世界へといざなわれる。しかも、とどめは門脇麦の登場から。「なんだぁ、これは!」という怒濤の展開に理解は超える。ありえない。

スタンリー・トンの、というよりのジャッキー・チェンの『カンフーヨガ』もDVDなので見た。最新作『ポリスストーリーREBORN』につながる映画で、なるほど、と思った。こういうご娯楽超大作に今の彼はご執心なのか。でも、この方向は違うと僕は思う。でも、これは彼の生き方なので、文句は言えない。

このほかにも見逃していたどうでもいい映画(でも、気になる映画)を多数見た。ドゥエイン・ジョンソンの怪獣映画『ランペイジ 巨獣大乱闘』(なんとも、芸のないタイトル)とか、金城武久々の『恋するシェフの最強レシピ』とか、アラン・マックの『ミッション アンダーカバー』とか。アン・ハサウェイが怪獣とシンクロするおバカな映画『シンクロナイズドモンスター』(そのままじゃん)とか、その他もろもろ。DVDはあまり深刻ではない映画がいい。傑作を見たら悔しい。こんなにいい映画をなんで劇場で見なかったのか、と思うからだ。だから、ここでは敢えてそこそこの映画しか見ない(ようにしている、つもり)。


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