ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2017J1リーグ第25節FC東京vsセレッソ大阪@味スタ20170909

2017-09-10 21:05:44 | FC東京

残暑の西日本から戻ってきたら、東京はすっかり涼しく、秋の気配です。

ひさしぶりにすっきりと晴れた爽やかな土曜日。でも先週をひきずって、ワクワクのないマッチデーです。

本日は、対象的に上位争いをしているセレッソ。東京は具体的な目標を失ったなか、残りシーズンでなにを目指すのかを見せて欲しい試合です。You'll Never Walk Alone♪バルバロスさんのサンバショーリスペクト宣言

そして、This is THE END.

東京はヒョンスが長期離脱の可能性があり、今日も欠場です。これがひびきます。シフトは3-3-2-2。GKは彰洋。3CBは右から徳永、カズ、まる。WBはやっちと諒也。アンカーは洋次郎。IHは右に拳人左に今日は慶悟。2トップは嘉人と永井です。

セレッソはベストメンバーです。シフトは4-4-2。GKはキム・ジンヒョン。CBはマテイ・ヨニッチと木本。SBは右に陸左に丸橋。ボランチはソウザと蛍。メイヤは右に宏太左に曜一朗。2トップは山村と健勇です。

一夜あけた本日、篠田監督の退任が発表されました。

サポーターは結果論を生きがいにする生物ですから、結果論上等でいきます。ぼくらは、第一次ヒロシ、大熊さん、ポポさん、フィッカデンティさん、そして第二次ヒロシと、良くも悪くも個性が際立ったコーチのもと、過ごしてきました。彼らが目指すサッカーは明確で、プレーを通じて伝わるメッセージがありました。そして、最終的には、個性を際立たせるがゆえに反動的に誘引することになったウィークポイントゆえ、その体制を安定的に永らえることができませんでした。東京は、ウィークポイントを課題ととらえ、それを克服することをテーマに次期政権を編成してきました。この純粋で教科書的なアプローチは、攻撃と守備の偏重をいったり来たりしたあげく、正解が見いだせない迷路に踏み込んでいくことになりました。

篠田さんのサッカーには個性がありません。結局、一年余りをともにした今に至るまで、篠田さん自身が目指したいサッカーは分からずしまいです。今シーズンがはじまるにあたっての観戦のテーマは、篠田さんのサッカーを見つけることにありましたけど、果たせずしまいになりました。今となっては、東京が篠田さんをチョイスしたのは、ヒロシ退任のスクランブル下において、第二次ヒロシ体制をはじめるにあたってセイフティネットとして用意したトリデンテの二枚目を使ったに過ぎないのだろうけど、昨年の後半に結果が出たことで、いわば、なんとなくヒロシ体制構築の方針が間違っていなかったと思いたい自己肯定のような気がします。後任は安間さんがリリーフ登板します。これで、先発ヒロシ、セットアップ篠田さん、クローズ安間さんと、大失敗に終わったトリデンテの挑戦にひと区切りがつきそうです。

篠田さんが、篠田さんのサッカーを見せられなかったのは、もちろん篠田さん自身に理由があるのでしょうけど、エクスキューズもないわけではありません。今年は、優勝実績のない監督に対し過分なほどの戦力を揃えました。決定力が課題と言われて嘉人を取り、ポストよっちのスピードマンが足りないと言われて永井を取り、中盤のオーガナイザーがいないと言われて洋次郎を取り、GKが安定しないと彰洋を取り、まだ得点力が足りないと言われてウタカを取りました。さらには、モリゲの離脱を補うべくヒョンスを戻します。選手編成のなかで課題と言われていた部分は、少なくともプレー面ではすべて補強を実現しています。どんな理由でこの東京らしくないアプローチをとったのか分からないけど、篠田さんにとっては、嬉しくもあり、反面退路を断たれた背水の想いがあっただろうと思います。

もしもモリゲが離脱しなければ、タイトル如何は分からないけど、年内の篠田さんの退任は無かったかなと思います。でも、直接的な理由をあくまでも当該試合に求めるならば、洋次郎とヒョンスの代表招集が原因だろうと思います。とくにヒョンスは、代表戦での怪我という最悪のかたちになって、それこそが篠田さんを追い込んだ主因でしょう。

モリゲ離脱以降に取り組んだ3バック+3センターの特異なシステムは、守備力の補完と中盤の構成力の強化がテーマであったろうと思います。サッカーに限らず、新しい取り組みのマネジメントとして難しいのは、客観的な評価と止め時です。洋次郎とヒョンスが抜けた時点で、新システムのそもそものテーマを実現する機能を両方とも失うわけです。ただでさえ中盤と守備の戦力が不足しているなか、不可欠な選手を補完することはとても難儀なことです。その責任を、ぼくらの愛するクラブで育ったぼくらの愛する選手に背負わせることになったことは、偶然とは言え切ないなと思います。

どんなに攻撃を工夫しようとも、守れないのであれば試合になりません。二失点に絡んだカズ個人だけではなく、CBの役割分担を含めた守りかた全般のコンセンサスができていなかったことが問題だろうと思います。おそらくミッドウィークのトレーニングのなかで手ごたえの無さはわかっていただろうと思います。それでも取り組みを継続しなければならなかったのは、それ以上打ち手が無かったからでしょう。例えば4バックに戻すといっても、選手はいこそすれ、コンペティティブ足り得る保証はありませんから。

ですから、先週と同様、今日の東京は評するに値しないのですけど、工夫は見られました。フィニッシュパターンをひとつ用意していたことです。それは、WBのアーリークロスに逆サイドの選手が合わせるプレーです。飛び込む選手は二列目もしくはWB。守備側が捕まえ辛いところを狙ったのでしょう。やっちと諒也の組み合わせだと左右どちら側もクロスが出ていました。宏介が入ってからは左のクロスに右が合わせるパターンに偏りましたので、やっちと諒也のスターター採用はそのようなところに理由があるような気がします。この作戦は、たぶんセレッソの守備の堅さを考慮したものでしょう。中盤を省略してでもシュートアテンプトを作りたかったのだと思います。結果的には、スタジアムを沸かせる機会はあったけどゴールには結びつきませんでした。唯一の得点が、ニューヒロシ体制で当初目指していた、ペナルティエリア内のショートパスによる崩しからのゴールだったことは、体制終焉を呼び込むアイロニーのように感じました。

セレッソは、前節の首位攻防直接対決の敗戦を受け、かならずしも心身のコンディションが万全ではなかったと思います。連敗すると優勝争いから脱落することになりますから、緊張感もあったことでしょう。それゆえか、チームのバイオリズムはそれほど良くは無いように見えました。ユンセレッソが、鳥栖で見せたサッカーとはまったく異なる、実にセレッソらしいサッカーをやっていることはキンチョーで確認済だけど、二ヶ月前に増してスローになっているように感じました。ただ、守備はさにあらず。序盤からの厳しいフォアチェックは顕在です。なんとなくフォアチェックの守備スタイルのほうが見ていて落ち着き、安心感があるのはなんなのでしょうね。

というわけで、激しいチェックとゆったりとしたショートパス連携という相反するキャラクターを具有するセレッソが、中盤省略型の東京に対しイニシアチブを握ります。セレッソが攻め込む時間が続き、東京はくだんのアーリークロス以外にペナルティエリアに攻め込む機会すらありません。ただ、この序盤は、東京の守備陣は健勇、山村とも自由なポストを許さず、少なくともペナルティエリアを開け渡すようなシーンはまったくありませんでした。もう少し時間が経過すると、セレッソ攻撃陣のキレの無さもあって守備のリズムが作れるかなと思った矢先、大きなミスで失点します。

11分。ロングスルーの処理を彰洋があやまり、はじいたボールを陸が拾って流し込みました。東京0-1セレッソ。

この失点は、今日の試合の流れを決定付けました。その意味では実質的に篠田さんを追いやった一撃ミスでした。セレッソがモードを変えます。フォアチェックを控え、4+4のラインを維持するリトリートスタイルに移行します。日程が混みあっているわけではないけれど、連日厳しい暑気にみまわれたらしい今夏の関西ですから、そろそろコンディションに影響が出るころなのかもしれません。

セレッソに引かれると唯一の作戦であるアーリークロスが使えません。ショートパスによる崩しを求められます。そもそもその連携が上手くいかないので苦労しているのですから、ボールを持てても攻め手がありません。それどころか、セレッソに中盤のパスミスを誘引させられ、カウンターの脅威を見せつけられることになります。そして、東京の作戦のおかぶを奪うようなゴールが生まれます。

44分。彰洋のGKから。ボールを拾ったセレッソは左サイドで作りながらアタッキングサードに入ります。健勇が右に展開。深く上がっていた陸に渡します。陸は後方の宏太に戻します。宏太はフリーでルックアップ。このときゴール前はニアに健勇、真ん中に山村、ファアに曜一朗。東京は3CBとやっちがいて4on3の数的優位です。ただ、健勇にカズ、山村に徳永がついていたのに対し、曜一朗はやっちがつききれずフリー。これを見た宏太は、ファアに山村の頭上を越えて落ちるロングクロスを送ります。曜一朗は右足ダイレクトで合わせました。東京0-2セレッソ。

前半をなんとか1点に凌げば、後半から流れを変えるチャンスが作れると思っていた前半の最終盤の失点でしたから、重かったです。前半はビハインドで終了。

後半は、いきなりカウンターからの嘉人のシュートで幕開けします。後半の序盤は、前線の積極的なプレッシングが機能して良いリズムで入ることができました。でも、マイナーなアジャストでどうにかなるレベルではもはやなく、すぐに確変は終わります。

そこで篠田さんが動きます。二枚同時代えです。慶悟に代えてウタカ、諒也に代えて宏介を投入します。同時にシフトを3-4-2-1に変更します。ウタカは1トップ。宏介は左WB。嘉人と永井がシャドウです。点を取りにいくときの常套手段です。中盤の役割も変えていて、洋次郎が攻撃のタクトを振るのに対し、拳人がセーフティネットになります。

これがはまります。攻撃がいくぶん機能するようになります。そして、追い上げののろしになる可能性があったゴールが生まれます。

71分。洋次郎の左CKから。セレッソのクリアを徳永が拾って、右サイドのやっちに渡します。やっちは大きくサイドチェンジをウタカに。一気にアタッキングサードに入ります。ターンしたウタカは前線の永井へ。ペナルティエリアに入ります。永井はヨニッチを背負いながらフリックして洋次郎に落とします。ヨニッチと木本が洋次郎に寄せます。このときゴール正面に拳人がいてソウザがつきます。ファアの嘉人は丸橋が見ます。そして中央やや下がり気味でウタカがフリーでした。洋次郎はウタカにパス。右足でトラップしたウタカは左足で流し込みました。東京1-2セレッソ。

これで流れが変わるかなと期待していた矢先、またまた致命的なミスで突き放されます。

79分。カズに倒されて得たPKを、健勇が自ら決めました。東京1-3セレッソ。

文字通り後がない篠田さんが動きます。永井に代えて遼一を投入します。同時にシフトを3-4-1-2に変更します。遼一はウタカと並んでトップです。セレッソがリトリートするため永井のスピードが活きるシーンがほとんどありませんでした。前線に預けところを増やして、攻撃ルートをマルチにしようという意図だと思います。

篠田さんの想いに反して、三度守備のミスで失点します。

85分。ソウザの左CK。セレッソは人数をかけません。彰洋に寄るかたちで健勇がいてカズが見ます。ファアに木本と山村で、それぞれまると遼一がケアします。東京はニアにストーンが三枚。健勇はストーンの洋次郎をスクリーンとして利用します。ソウザのキックモーションと同時に洋次郎の背後から前に出ます。この動きにカズの反応が遅れます。ニアに落としたソウザのクロスに先に合わせたのは健勇でした。健勇は角度のないところから頭を振りました。東京1-4セレッソ。

さすがに三点差になったので、ユンさんが〆にかかります。ソウザに代えて秋山を同じくボランチに投入します。ソウザのコンディションと秋山のテストを考慮したのだと思います。

ユンさんが続けます。宏太に代えて関口を同じく右メイヤに投入します。これも宏太のコンディションと関口のテストでしょう。

ユンさんが〆ます。曜一朗に代えて澤上を同じく左メイヤに投入します。これまた曜一朗のコンディションと澤上のテストでしょう。

もう反撃の意欲はありませんでした。このまま試合終了。東京1-4セレッソ。

安間さんは、方向性を同じくするトリデンテのなかでの内部昇格ですから、ドラスティックな変革は期待しようもありません。まだJ1残留が確定したわけではありませんから、まずは安全圏にはやく入ることが最低限のミッションでしょう。とは言え安間さんには取り組む余地があります。当たり前ですけど、まずは守備の安定を取り戻すことでしょう。ことここに至っては、守備志向のコンセンサスを乱す選手、スタッフはいないと思いますし、そう信じたいです。

これまでの歴代の監督は、ガーロさんですらどこかしらポジティブな財産をぼくらに残してくれました。世の中にはいろんなサッカーのスタイルがあり、価値観の多様性の理解こそがサッカーを楽しむために不可欠なことなんだなと気付かせてくれました。現代社会を生きる上においても。そうしてぼくらは成長してきました。残念なことに、今のところ篠田さんから得た財産は見当たりません。あえて言えば、東京を自分のスタイルにアジャストする監督ばかりだったなか、自分のスタイルを持たず、選手の個性を活かそうとするスタイルは新鮮でしたし、昨年後半はそれで成功しました。ただそれも、翔哉という唯一無二のキャラに合わせるだけであれば良かったけど、個性が有り余る編成では適さなかったスタイルかもしれませんね。今後の篠田さんのキャリアの成功を願います。

去るものは追わず。ぼくらはここに居続けます。それがサポの宿命。いろいろ想うところはあるだろうけれど、これでいったんリセット。ナオを暖かく送り出す、ただそれ一点のために、残りのシーズンを楽しみましょう。


ひよっこロケ地の旅 ―20170908 小田原―

2017-09-09 14:30:26 | 連続テレビ小説ひよっこ

東京には一気に秋が訪れました。

ひよっこもいよいよ最終月。あいかわらずどんな結末になるかわからないけど、ラストスパートに向けて快調ですね。

一か月ぶりにひよっこロケ地めぐりを再開します。本日は小田原でございます。

小田原編に登場するのは、宗男おじさんと滋子さん。

小田原城の正面入り口を目指します。赤い学橋を過ぎて、馬出門土橋に向かいます。それでは小田原編をスタートします。「チケット余ってませんか? お願いします!」。ビートルズのコンサートのチケットを求めて人が集まってた武道館の前の歩道。

「チケット譲って下さい。お願いします」。

「大丈夫か? もうちょっと。大丈夫か? 滋子。こっち」。宗男おじさんと滋子さんが走ってきた歩道。

「ここから奥には入れません。チケットがない方は」。

「こっち無理だ。あっちあっち。あっち行くぞ」。

「宗男さんだけでなく、全国から若者が、家出同然で武道館に駆けつけましたが、チケットなしでは近づくことさえ許されませんでした。ビートルズ滞在中に、なんと、6,500人の少年少女が補導されたそうです」。警備員さんがお弁当を食べてた道端。

「大丈夫か?」。住吉橋です。

住吉橋は現在は修復中です。

「もうちょっとだ。もうちょっとだ」。

「ウェルカム ザ・ビートルズ!」。白塀の向こうに見えていた武道館からナレーションが聴こえてきた門の前。武道館はCGです。

銅門です。

「おぉ! おぉ! 揺れでっど、武道館が!」。

「あぁ、んだな」。

「ありがとう! ビートルズ! 俺は、笑って生きてっとう! 俺は、俺は、笑って生きてっとう! おめえも生ぎろ~!」。

「ありがとう! ありがとう!」「ありがとう! イェ~イ!」。

「チケットやんなきゃよかった、もう…」。

「また来およ! ビートルズ!」「また来いよ!」「ビートルズ!」。

小田原城はずっと来たかったのですけど、今日が初めてです。ロケ地巡りは出不精に旅の理由を与えてくれます。せっかくですので、ちょっとだけ小田原城を攻略します。隅櫓です。

馬出門です。

御茶壺曲輪の土塁です。

南曲輪の蓮池です。

常盤木門です。

小田原城天守閣です。

続いては、東京に戻ります。


2017JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝2ndレグFC東京vs川崎フロンターレ@味スタ20170903

2017-09-07 22:53:14 | FC東京

東京は、ひと足はやく季節が秋に向かいます。

結局梅雨明けがはっきりしないまま、夏らしさをほとんど感じない夏でした。過ごしやすいのは良いのだけれど。

ナオを笑顔で送り出す、ただそれ一点が残りのシーズンの願いです。残されたタイトルはYBCルヴァンカップのみ。ベスト8の1stレグを0-2で落としましたので、現実的にはその時点で厳しさを感じていて、ナオのためにというムードをチームに向けて作れなかったサポとしての不甲斐なさを覚えました。それでも、まだひと試合残し。

蛮勇の代償は、ゴレアーダ敗戦となりました。

東京は布陣を少しアジャストします。シフトは3-3-3-1。GKは彰洋。3CBは右から徳永、カズ、まる。アンカーは梶山。WBは右にやっち左に諒也。IHは右に拳人左にヨネ。トップ下は嘉人。1トップは遼一です。

川崎はほぼフルオーダーの布陣に戻します。シフトは4-2-3-1。GKはチョン・ソンリョン。CBはエドゥアルドと奈良。SBは右に板倉左に車屋。ボランチは憲剛と僚太。WGは右にエウシーニョ左に浩之。トップ下はアキ。1トップは悠です。

ギャンブルとリスクテイクは趣旨が異なると思います。リスクテイクは、リスクを認識して最善のセーフティネットを敷いたうえでのチャレンジです。ギャンブルは、ままよどうにかなりまっしゃろ。

東京はギャンブルします。東京の作戦は、ミスになる可能性を承知でとにかく縦に積極的なパスを入れること。1stレグを映像で見ていないので、川崎との間の現時点での力量差は分かりませんでした。リーグ戦を観た限りでは、昨年よりシステマチックになっている川崎は、少なくとも守るうえでの必要な対処は、東京は心得ているのではないかと思っていました。東京が、得点力に関してはセットプレーとラックに頼らざるを得ないにしろ、ロジックとしては、まずこれ以上の失点をしないことが優先されると思っていました。

自分にそのような先入観があったので、カウンターを受けることを承知で遮二無二に縦パスを狙う姿を見て、ちょっとすぐには事情が飲み込めませんでした。理由は良く分からないのだけど、モリゲ離脱以降取り組んできた攻撃的スタンスを貫きたかったのかなと思います。もしくは、等々力で受けた川崎の攻撃力は、守り切れることを想定し得ないほどのギャップだったのかもしれません。

実際、20分過ぎから、漫画のなかの子どもの喧嘩のようなボカスカスタイルの東京に川崎が持て余しはじめます。バイタルエリアでひっかかっていたパスが通りはじめます。これを引っ張っていたのは梶山でした。梶山は動いてパスコースを見つけるスタイルですからアンカーは合わないのですけど、無理を承知のうえで縦を狙う技術はありますから、その点では今日の作戦に合っていたといえるかもしれません。カットされていた梶山のパスがスペースに通るようになります。これで、川崎が受け基調になります。

不運なことに、少しばかりの光明が見えてきた矢先、立て続けに失点します。28分。憲剛のスルーから浩之がゴール右隅に決めます。東京0-1川崎。30分。悠とのタベーラで抜け出した浩之が決めます。東京0-2川崎。

一点目で、実質終戦でした。守る意識がなかったのですから失点する可能性は十分にありました。それでも東京は、一点差になることによって味スタのムードを一変することを期待したのだと思います。なにしろホームですから。だから、能動的に後おしするどころかむしろサポが諦めムードを作ってしまったことは、川崎ゴール裏の凝縮感と声量を考えても残念なことだったかもしれませんね。

さて、早々と篠田さんが動きます。梶山に代えて永井を投入します。同時にシフトを3-4-2-1に変更します。永井は左シャドウ。ボランチは拳人とヨネがスライドします。先制された状況を想定した予定調和のようです。作戦自体はビハインドの状況の常套手段ですから妥当だと思います。タイミングも人選も然るべく。梶山の行動に対する直後と事後のぼくらの反応は、事情を知らない第三者が直情的に拙速な判断をする現代メディア社会の危険性を表していたと思います。ぼくらはまず普段の梶山のふるまいを思い出し、梶山を信じるべきでした。

作戦の選択の評価はどうなのでしょう。二失点目直後の選手の動揺は傍目にもあきらかで、とくに守備の選手は、レンズ越しに、自信喪失どころか混乱してすらいる表情を浮かべていました。この状況で攻撃の選手を入れることは、選手間のコンセンサスを狂わせる要因になりかねません。事実、インスを入れて超攻撃モードにすることで吹っ切れるまでは、混乱した状況が続きます。永井で同じ効果を狙ったのでしょうけど、中盤を極端に削るわけではないので中途半端でした。

もしも守備を固めていたらどうだったのでしょう。勝てないにしろ少なくとも現実に起こったことほどの名誉喪失はなかったかもしれません。ノックアウトですから勝たないと意味はないのだけど、プロスポーツは記録と記憶に残りますから、勝敗意外の価値もあります。川崎に対してはすでに経験済み。

なんとなく、モリゲの離脱が、プレーだけでなく多面にわたってチームのバランスを崩してしまったのかなと思います。攻撃志向の主張に偏っているのではないかと思います。攻撃を形作る実績のあるスタッフがいるわけでもないのに。今日の作戦を象徴するようにロジックがかけている気がします。攻撃の選手が偏るアンバランスな編成がそうさせているのかなと思います。でも、ベースになる編成は守備を志向したものですから、カップ戦は良い機会ですから、守備の構築に回帰してほしかったです。

さらに言うと、ポポさんやフィッカデンティさん時代からの編成の脱却をはかってるようにも感じます。ファンは基本的に受動的ですからクラブの選択を無抵抗に受け入れざるを得ないのだけど、ファンが過ごしてきた時間は断片的なものではありません。ぼくらの経験を無駄にしないでほしいと願います。

以降の展開は、今シーズンの残りの試合に向けても課題をみつける価値が無く、まったくどーでも良いのですけど、いちおう流れだけ。40分。彰洋が弾いたボールをエウシーニョが押し込みました。東京0-3川崎。これにて前半終了。

後半頭から鬼木さんが動きます。アキに代えて彰悟を投入します。同時にシフトを3-4-2-1に変更します。彰悟は左CB、奈良が右CB、板倉がボランチに回ります。憲剛は一枚上がって左シャドウです。

今の川崎は1日にしてならず。少しずつ有能な選手を加えて、積み重ねた結果でしょう。クラシコを闘う間柄だけど、川崎が成してきた経年の変化は、東京と対象的に筋が通っています。そしてそこにはいつも変わらず憲剛がいました。川崎が意図して今のスタイルを作ってきたとは思えないのだけど、憲剛がいればこその必然のような気がします。憲剛のようなエポックメイキングは望んで得られるわけではないけど、東京と川崎の現状の差を思えば、どこかで方向性を誤った気がしてなりません。

当然のことながら後半も川崎のゴールラッシュは止まりません。54分。エウシーニョのパスを受けた浩之がゴール左隅に決めました。東京0-4川崎。56分。悠のパスを受けたエウシーニョが決めました。東京0-5川崎。

ヨネに代えてインスを同じくボランチに投入した篠田さんの作戦も予定していたのでしょう。順番はともかく梶山とヨネの交代は不可避だったでしょうから。ボランチをフルタイムで使えないことも現状の問題のひとつだと思います。ただ、前述したとおり、この作戦ははまります。ボランチにしては上がり過ぎて動き過ぎ、かつ守備が危ういインスですけど、チームが開き直るには適したチョイスでした。

ウタカと嘉人は、ショートカウンターのワンタッチ連鎖はイメージが合っているようです。中央のウタカと嘉人が縦の流れを作り、ようやく攻撃が機能しはじめます。これを最初からやってしまうと、もっととんでもない結果になったと思いますので、あくまでもスクランブル。そして一矢報います。後半アディショナルタイム+1分。拳人、嘉人、諒也、永井と渡り、左サイドから永井が上げたクロスに嘉人が合わせました。東京1-5川崎。

ゴレアーダは覚悟のうえの作戦ですから仕方ないにしろ、無得点で終わらずに済んだことはよかったと思います。ゴール時はそれなりに盛り上がりましたから。このまま試合終了。東京1-5川崎。

今日の試合に限っては、ナオに贈るタイトルが無くなった哀しさただ一点のみが結果のすべてです。それ以外は問うに資するものはなく、ゆえに自己中心的感傷は無用にするべきだと思います。

ぼくらは、ナオとの残りの時間を、具体的な目標は無くなってしまったけど、ただただ感謝と愛の気持ちをたたえて、暖かい雰囲気のなかでともに過したいと思います。すべてのサポがそう想うことを願います。