ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2017JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝2ndレグFC東京vs川崎フロンターレ@味スタ20170903

2017-09-07 22:53:14 | FC東京

東京は、ひと足はやく季節が秋に向かいます。

結局梅雨明けがはっきりしないまま、夏らしさをほとんど感じない夏でした。過ごしやすいのは良いのだけれど。

ナオを笑顔で送り出す、ただそれ一点が残りのシーズンの願いです。残されたタイトルはYBCルヴァンカップのみ。ベスト8の1stレグを0-2で落としましたので、現実的にはその時点で厳しさを感じていて、ナオのためにというムードをチームに向けて作れなかったサポとしての不甲斐なさを覚えました。それでも、まだひと試合残し。

蛮勇の代償は、ゴレアーダ敗戦となりました。

東京は布陣を少しアジャストします。シフトは3-3-3-1。GKは彰洋。3CBは右から徳永、カズ、まる。アンカーは梶山。WBは右にやっち左に諒也。IHは右に拳人左にヨネ。トップ下は嘉人。1トップは遼一です。

川崎はほぼフルオーダーの布陣に戻します。シフトは4-2-3-1。GKはチョン・ソンリョン。CBはエドゥアルドと奈良。SBは右に板倉左に車屋。ボランチは憲剛と僚太。WGは右にエウシーニョ左に浩之。トップ下はアキ。1トップは悠です。

ギャンブルとリスクテイクは趣旨が異なると思います。リスクテイクは、リスクを認識して最善のセーフティネットを敷いたうえでのチャレンジです。ギャンブルは、ままよどうにかなりまっしゃろ。

東京はギャンブルします。東京の作戦は、ミスになる可能性を承知でとにかく縦に積極的なパスを入れること。1stレグを映像で見ていないので、川崎との間の現時点での力量差は分かりませんでした。リーグ戦を観た限りでは、昨年よりシステマチックになっている川崎は、少なくとも守るうえでの必要な対処は、東京は心得ているのではないかと思っていました。東京が、得点力に関してはセットプレーとラックに頼らざるを得ないにしろ、ロジックとしては、まずこれ以上の失点をしないことが優先されると思っていました。

自分にそのような先入観があったので、カウンターを受けることを承知で遮二無二に縦パスを狙う姿を見て、ちょっとすぐには事情が飲み込めませんでした。理由は良く分からないのだけど、モリゲ離脱以降取り組んできた攻撃的スタンスを貫きたかったのかなと思います。もしくは、等々力で受けた川崎の攻撃力は、守り切れることを想定し得ないほどのギャップだったのかもしれません。

実際、20分過ぎから、漫画のなかの子どもの喧嘩のようなボカスカスタイルの東京に川崎が持て余しはじめます。バイタルエリアでひっかかっていたパスが通りはじめます。これを引っ張っていたのは梶山でした。梶山は動いてパスコースを見つけるスタイルですからアンカーは合わないのですけど、無理を承知のうえで縦を狙う技術はありますから、その点では今日の作戦に合っていたといえるかもしれません。カットされていた梶山のパスがスペースに通るようになります。これで、川崎が受け基調になります。

不運なことに、少しばかりの光明が見えてきた矢先、立て続けに失点します。28分。憲剛のスルーから浩之がゴール右隅に決めます。東京0-1川崎。30分。悠とのタベーラで抜け出した浩之が決めます。東京0-2川崎。

一点目で、実質終戦でした。守る意識がなかったのですから失点する可能性は十分にありました。それでも東京は、一点差になることによって味スタのムードを一変することを期待したのだと思います。なにしろホームですから。だから、能動的に後おしするどころかむしろサポが諦めムードを作ってしまったことは、川崎ゴール裏の凝縮感と声量を考えても残念なことだったかもしれませんね。

さて、早々と篠田さんが動きます。梶山に代えて永井を投入します。同時にシフトを3-4-2-1に変更します。永井は左シャドウ。ボランチは拳人とヨネがスライドします。先制された状況を想定した予定調和のようです。作戦自体はビハインドの状況の常套手段ですから妥当だと思います。タイミングも人選も然るべく。梶山の行動に対する直後と事後のぼくらの反応は、事情を知らない第三者が直情的に拙速な判断をする現代メディア社会の危険性を表していたと思います。ぼくらはまず普段の梶山のふるまいを思い出し、梶山を信じるべきでした。

作戦の選択の評価はどうなのでしょう。二失点目直後の選手の動揺は傍目にもあきらかで、とくに守備の選手は、レンズ越しに、自信喪失どころか混乱してすらいる表情を浮かべていました。この状況で攻撃の選手を入れることは、選手間のコンセンサスを狂わせる要因になりかねません。事実、インスを入れて超攻撃モードにすることで吹っ切れるまでは、混乱した状況が続きます。永井で同じ効果を狙ったのでしょうけど、中盤を極端に削るわけではないので中途半端でした。

もしも守備を固めていたらどうだったのでしょう。勝てないにしろ少なくとも現実に起こったことほどの名誉喪失はなかったかもしれません。ノックアウトですから勝たないと意味はないのだけど、プロスポーツは記録と記憶に残りますから、勝敗意外の価値もあります。川崎に対してはすでに経験済み。

なんとなく、モリゲの離脱が、プレーだけでなく多面にわたってチームのバランスを崩してしまったのかなと思います。攻撃志向の主張に偏っているのではないかと思います。攻撃を形作る実績のあるスタッフがいるわけでもないのに。今日の作戦を象徴するようにロジックがかけている気がします。攻撃の選手が偏るアンバランスな編成がそうさせているのかなと思います。でも、ベースになる編成は守備を志向したものですから、カップ戦は良い機会ですから、守備の構築に回帰してほしかったです。

さらに言うと、ポポさんやフィッカデンティさん時代からの編成の脱却をはかってるようにも感じます。ファンは基本的に受動的ですからクラブの選択を無抵抗に受け入れざるを得ないのだけど、ファンが過ごしてきた時間は断片的なものではありません。ぼくらの経験を無駄にしないでほしいと願います。

以降の展開は、今シーズンの残りの試合に向けても課題をみつける価値が無く、まったくどーでも良いのですけど、いちおう流れだけ。40分。彰洋が弾いたボールをエウシーニョが押し込みました。東京0-3川崎。これにて前半終了。

後半頭から鬼木さんが動きます。アキに代えて彰悟を投入します。同時にシフトを3-4-2-1に変更します。彰悟は左CB、奈良が右CB、板倉がボランチに回ります。憲剛は一枚上がって左シャドウです。

今の川崎は1日にしてならず。少しずつ有能な選手を加えて、積み重ねた結果でしょう。クラシコを闘う間柄だけど、川崎が成してきた経年の変化は、東京と対象的に筋が通っています。そしてそこにはいつも変わらず憲剛がいました。川崎が意図して今のスタイルを作ってきたとは思えないのだけど、憲剛がいればこその必然のような気がします。憲剛のようなエポックメイキングは望んで得られるわけではないけど、東京と川崎の現状の差を思えば、どこかで方向性を誤った気がしてなりません。

当然のことながら後半も川崎のゴールラッシュは止まりません。54分。エウシーニョのパスを受けた浩之がゴール左隅に決めました。東京0-4川崎。56分。悠のパスを受けたエウシーニョが決めました。東京0-5川崎。

ヨネに代えてインスを同じくボランチに投入した篠田さんの作戦も予定していたのでしょう。順番はともかく梶山とヨネの交代は不可避だったでしょうから。ボランチをフルタイムで使えないことも現状の問題のひとつだと思います。ただ、前述したとおり、この作戦ははまります。ボランチにしては上がり過ぎて動き過ぎ、かつ守備が危ういインスですけど、チームが開き直るには適したチョイスでした。

ウタカと嘉人は、ショートカウンターのワンタッチ連鎖はイメージが合っているようです。中央のウタカと嘉人が縦の流れを作り、ようやく攻撃が機能しはじめます。これを最初からやってしまうと、もっととんでもない結果になったと思いますので、あくまでもスクランブル。そして一矢報います。後半アディショナルタイム+1分。拳人、嘉人、諒也、永井と渡り、左サイドから永井が上げたクロスに嘉人が合わせました。東京1-5川崎。

ゴレアーダは覚悟のうえの作戦ですから仕方ないにしろ、無得点で終わらずに済んだことはよかったと思います。ゴール時はそれなりに盛り上がりましたから。このまま試合終了。東京1-5川崎。

今日の試合に限っては、ナオに贈るタイトルが無くなった哀しさただ一点のみが結果のすべてです。それ以外は問うに資するものはなく、ゆえに自己中心的感傷は無用にするべきだと思います。

ぼくらは、ナオとの残りの時間を、具体的な目標は無くなってしまったけど、ただただ感謝と愛の気持ちをたたえて、暖かい雰囲気のなかでともに過したいと思います。すべてのサポがそう想うことを願います。