ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2016J1リーグ1stステージ第3節FC東京vsヴィッセル神戸@味スタ20160311

2016-03-12 18:56:59 | FC東京

初夏のような陽気と真冬の寒さが交錯する春間近の弥生。体調を崩し易い時期ですから、皆さまご注意くださいね。

そういえばあの日も三月だというのに寒かったですね。東日本大震災から今日で5年です。犠牲になったかたのご冥福をお祈りします。いままだ行方不明のかたが一人でも多く見つかりますように。そしてなお大変な日々を送られている被災されたかたに一日もはやい平穏が訪れますように。

ACL参加ゆえ、今年はミッドウィーク開催が増えてます。火曜日や水曜日は観られないのですけど、金曜日のナイトマッチは、週末が長くなるようで案外いいものですね。なんだかんだ飲めるしo(^▽^)o。

春先のアウェイのイメージが強い、今日はホームでの神戸戦です。You'll Never Walk Alone♪ドロンパのくしゃみ芸

パーフェクトな守備を見せた試合を、終了間際の隅一でしっかり勝ちきりました。だからこそ余計嬉しいです。

東京は勝った流れを継続するセオリー通りに、仙台戦とまったく同じスコッドです。シフトははやくもおなじみ4-4-2。GKは秋元。CBはモリゲとまる。SBは徳永と諒也。ボランチはコンディションが心配されたヨネと拳人。メイヤは右に草民左に慶悟。2トップは遼一と拓馬です。

神戸もゴレアーダの新潟戦と同じ布陣です。シフトは4-3-3。GKはキム・スンギュ。CBは伊野波と岩波。SBは右に峻希左に相馬。3CHは右から凌佑、村松、藤田。WGは右に石津左にマックス。1トップはレアンドロです。

ネルシーニョさんには型がないイメージがありましたけど、今のところは3センターに興味の主軸があるようですね。3センターへのトライは、国内ではネルシーニョさんがはじめたことで、フィッカデンティさんと吉田さんを経て、今も亜流。でも我々東京サポはそれなりの造詣があるので、なまじいに見せられると神戸の現状にニヤニヤしてしまいます(^з^)。

結論から言うと、神戸はまだまだ道半ばのようです。ネルシーニョさんにしてロマンチックなアプローチをされていて、ちょっと驚きます。3センターは中盤のバランスを重視した闘い方です。もしかしたら、守備に発想の発端を置いたアプローチなのかもしれません。ただ本来の3センターは、攻撃に力点を置くためのバランス志向ですから、攻撃の形が伴わない限り4-2-3-1の効果に比べて物足りなさを感じます。このあたりは2014年にさんざ感じたことですので、神戸サポのモヤモヤした気持ちを推し量るや。

守備はリトリートスタイルのようです。流行りのフォアチェックはありません。これはネルシーニョさんっぽいですね。ただ3センターならば中盤で一枚余るわけですから、もっと前から仕掛けてもいいような気がします。3人は中央を固めますから、バイタルエリアの真ん中はとても堅固です。一方、3センターの弱点は中盤の両サイドです。ビルドアップスタイルのチームと対峙する場合、WGが高めに位置取ることになりますので、中盤のサイドにスペースが出来易くなります。

というわけで、今日の東京は中盤で気持ちよく基点を作れていました。右は拓馬がバイタルエリアに下がり、ダブルチームを仕掛けられてもものともせずボールを保持します。ですので、草民と徳永が安心して相馬の背後を狙うことができていました。試合を重ねるごとに拓馬の安定感が際立って見えるようになっています。ACLで日程が立て込むなか、チームのクオリティが一定以上に下がらず波がないのは、拓馬の安定感に負うところが大きいと思います。

左は慶悟です。慶悟は拓馬とは違ってサイドにはります。石津、凌佑、峻希を引きつけ、遼一、拓馬もしくは拳人が狙う裏のスペースを作り出します。まだタイミングと迷いの無さに課題がありますけど、これに諒也が絡めるようになると、もっと左サイドの攻撃のバリエーションが増えて、チームのオーガナイズも高まってくると思います。

ただ、前半は拓馬にしろ慶悟にしろ、一次基点の位置が少し低かったようです。なので攻撃のかたちが単純な裏狙いに偏っていました。守備面では、神戸の重心を下げる副次的な効果を得られていたのですけど、同時にフィニッシュへの圧力に少し欠いていたかもしれません。

さて問題の神戸の攻撃です。神戸は、ネルシーニョさんの本心はうかがえませんけど、今は徹底してビルドアップにこだわっているように見えました。神戸もサイドアタック基調の闘い方です。目指すかたちは、前線のサイド高い位置で一次基点を作り、IHとSBを引っ張りあげてアタッキングサードに入るパターンだと思います。この時逆サイドのIHは、基本的には中盤に残ります。左右で攻撃が偏ることはないので、左右のIHはつるべの動きを繰り返すことになります。

ネルシーニョさんの3センターはどうしても柏のイメージが残ります。秋野や茨田のような長短の正確なパスを左右に散らせるタイプのアンカーが、どうやら神戸にはいないようです。村松の役割は、守備のセーフティネットのようです。なので、IHの役割が攻撃で重要になります。柏でのIHはアクセントですから、同じネルシーニョさんから生み出される仕組みが異なっていて、とても興味深いですし、ネルシーニョさんの懐の深さを感じられます。このIHの処理は、ネルシーニョさんとそれをさらに攻撃的に進化させた吉田さんでもっとも違いが顕著なところです。ネルシーニョさんにはやはりあくまでもリアリストでしょうから、IHが二人とも攻撃に絡むようなシーンは、よほどのチャンスでもない限り無いようです。

アタッキングサードに入ると、攻撃参加したIHがトップ下の役割を担います。中央にレアンドロ、サイドの裏に石津かマックス、その後ろに峻希か相馬が控えます。基本的にアタッキングサードでのサイドチェンジはなく、なので選択肢は三つ。つまり神戸が理想とする攻撃のかたちは、IHが前を向いて仕事をできるシチュエーションをいかにして作るかにかかっていると言っていいと思います。

ゆえに、そのために鍵になるのがWGです。高い位置でWGが一次基点を作られないと、チームの重心を上げることができません。マックスは多少囲まれてもボールを保持する力を持っていますけど、いかんせんボールを受ける位置が少し低かったように感じました。石津は基点になるべくサイドにはるというよりかは、レアンドロとの絡みを意識した距離感のような気がします。なので右サイドは、峻希から前を伺うようなかたちがなかなか作れません。

このため神戸は、ビルドアップの際にレアンドロと石津を入れ替えます。これで右サイドの高い位置で一次基点を作られるようになります。ただし、これではレアンドロの威力は半減します。レアンドロはゴリゴリしたドリブルがあるわけではなく、コンビネーションのなかでフィニッシャーとして活きるタイプですから、レアンドロをサイドで使うのはある意味無駄な贅沢で、付け合せのジャガイモてんこ盛りの50gステーキプレートのようなものです。

もちろんサッカーは相対的ですから、神戸に問題があるというよりかは、東京の4+4の2ラインに対して有効では無かったということです。そうです。今日の東京の守備はパーフェクトでした。今日は神戸がサイドで基点を作ることと裏狙いが無いことを予見して、守備網を安定させるコンサバティブな思考で臨んだのではないかと思います。普段よりもヨネと拳人のフォアチェックは控え目に見えました。それよりも神戸が前を伺えるスペースを消すことに重点を置いていたのではないかと思います。

なので今日の東京のトランジションポイントはそれほど高くはなく、中盤から後ろでした。必然的に攻撃はビルドアップスタイルになりますけど、前述の通り後方から拓馬、慶悟につける一次基点が安定しますので、網にかけてサイドに出して縦を狙うという、シュートに持ち込む良いリズムが漂い続けます。

結果的に、決勝ゴールは88分まで待つことになりましたけど、不思議なことに個人的にはまったく焦りを覚えませんでしたし、勝つ確信が揺らぐことはありませんでした。たぶん、シュートはおろかアタッキングサードで手詰まりになる、よくあるスタック状態ではなく、試合を通じて終始良いリズムを保ていたせいだと思います。エビフライを最後まで残しておくタイプのかたでしたら、今日は大満足なシナリオでしたね。

ただ前半は、前述の通り一次基点の重心が低かったので最終局面での神戸の中央の守備ブロックを崩せず、ほとんどのシュートアテンプトがペナルティエリア外でした。もう少し前線のプレッシングをタイトにしても良いかなと思ってました。神戸の攻撃にアグレッシブなポジションチェンジが絡んでなかったので、フォアチェックのリスクテイクも大怪我には繋がらないような気がしました。ショートカウンターを混ぜられたら、神戸の守備網に守り難さを感じさせられたかもしれません。

神戸に得点の匂いはおろかアタッキングサードにすら入らせないパーフェクトな守備でリズムをつかんだまま前半終了。

後半頭から動いたのは、押しているヒロシでした。慶悟と拓馬を入れ替えます。基本的な闘い方は変わらず、ハイプレスからのショートカウンターではなく、サイドの長めのビルドアップです。なのでこの意図は、一次基点を減らしても裏を狙う人数をかけるということでしょう。これが奏功して、アタッキングサード深い位置まで進出できるようになります。最終局面でのクロスの精度に欠いた場面がいくつかありましたので、技術的な問題かフィジカルかわかりませんけど、課題のような気がします。

東京がイニシアチブを握るとは言え、神戸も明らかな問題が現れるわけではないので、互いにプランを大きく変えられないクリンチ状態に入ります。アドバンテージは東京にあることには変わりないので、我慢大会は多少有利かなと思ってました。

先に動いたのは、やはりネルシーニョさんでした。ただやっぱりドラスティックなアジャストではなく、石津に代えてペドロ・ジュニオールを同じく右WGに投入します。単独でドリブルを仕掛けられる上、裏も狙えますし、前節2ゴールのペドロは、普通に考えると怖いのですけど、道半ばの神戸のなかでは、おバカ試合にはまった前節はともかく、存在感を感じません。

これを受けヒロシが動きます。慶悟に代えて宏太を右メイヤに投入します。草民が一つ上がってトップに入ります。神戸がますますサイド偏重になることが想定されるので、慶悟と草民両方のコンディションを考慮したのだと思います。

さらにヒロシが続きます。草民に代えてサンダサをトップに投入します。これはがむしゃらな異分子を投げ込むことで、チームを活性化する意図でしょう。これが奏功します。終盤に向け、サンダサの粘っこくて荒々しさもあるフォアチェックが、なにやらチームに縦への意識を再認識させるきっかけになったようです。ゴールしてほしいのは山々ですけど、どんな時でも全力で臨んでわかりやすく励んでくれるサンダサの存在は、チームが煮詰まった時のカンフル剤として不可欠でしょう。

サンダサが推進力になるとともに、攻撃がサンダサが好む右サイドに偏ります。このため拓馬が消えはじめます。正直バーンズの入れ頃かなと思ってました。自分の誤りでした。ヒロシの信念がドラマを生みます。

88分。秋元からボールを預かったモリゲがそのままドリブルでゆるゆる上がります。神戸はまったくチェックせず、陣形を作ることを優先します。これがズルズル下がって安易にアタッキングサードを明け渡すことにつながります。アタッキングサード手前で、モリゲはライン際にはる徳永にパス。一次基点となった徳永は寄ってきた宏太にパス。宏太はターンしながら寄せる相馬を引きつけ、前方の拳人に渡します。この時ライン際では、ボールウォッチャーになっていたマーカーのマックスを置き去りにして、徳永が相馬の裏を取ります。これを見た拳人は、村松のチャージを受けながらも二次基点の役を果たし、徳永に流します。抜け出した徳永はゴール前をルックアップ。ニアに入る遼一は岩波がケアしてます。遅れてサンダサが中央に入ってきて峻希がケアしています。その奥、大外に拓馬がどフリーでした。徳永はこれを見逃さず、GKとラインの間を通すアーティスティックな低空クロスを送ります。拓馬は合わせるだけ。東京1-0神戸。

移籍後リーグ戦初ゴールで、拓馬にも結果が出てこれで一安心です。徳永のクロスはピンポイントでしたからけして易しくはなかったので、拓馬じゃなかったらと思うと、後からちょっとドキドキしました。

ついに均衡が破れ、ネルシーニョさんが動きます。凌佑に代えて慶次をIHに投入します。攻守の運動量より攻撃特性を重視する状況ですから、致し方ないでしょう。とは言え、ビハインドの状況で結局一枚残したまま終了ですから、アタッカーが揃っているように見えて案外ネルシーニョさんの想いに叶うタレントは限られるのかもしれません。

このままヒロシも一枚残して終えるかなと思っていたら、アクシデントが起きます。足を痛めたヨネに代えて秀人を同じくボランチに投入します。スクランブルとは言え、秀人ですからまったく心配はありません。

終始守備網が崩れることなく、危なげなくこのまま試合終了。東京1-0神戸。拓馬のシュワッチプロポーズ大作戦♪

シンプルに総括すると神戸にアグレッシブさがなかった試合と言えます。なのでこれを持って守備が完成というには至りません。でも今日のクオリティを第3節で見ることができたことは、正直ちょっと意外でした。比較をすべきではないと思いつつ、フィッカデンティ体制の遺産なのかヒロシが案外守備の構築を重んじているのかまだわかりません。でもいずれにしろ、優良アタッカー揃いのパワフルな神戸に何も、ホントに何もさせなかった事実は、ちょっとだけど安心感を持ってもいいのかなと思いました。

なんて呑気に構えていたら、もうすぐ火曜日にはACLのコンペティションが待ってます。ヨネの状態も、出続けの主力のコンディションも心配です。今はいいけど反動も心配です。開幕すると基本メンバーは固定化されるのは仕方ないけど、バックアッパーが必要になる時期が来ましたから、チーム総力で難局を乗り切ってほしいです。

ひとり抜け出すかと思っていた鹿島が今節早々負けました。混戦の様相です。次はその鹿島戦。ここ数年、チームがネガティヴに傾くきっかけになっているアウェイカシマスタジアムです。ここを跳ね返したらクラブそのものがひと皮むけるかもしれません。応援する気持ちも、春先の暖機とは思わず、天王山で臨みたいと思います。