ファジ応援強化月間第2戦は、大阪でございます。
ガンバ大阪。リーグ優勝、アジアチャンピオンを経験しているクラブ。J1シミュレーションとも言える最上級の相手が、今年は舞い降りて、いや落ちてくれました。その意味では、J2の各チームが特別な姿勢で挑んでくるのは必定ですね。
ガンバゴール裏の大阪オーオー♪
ファジゴール裏のももたろさん♪
ファジゴール裏のOver the Rainbow♪
試合前に、先日亡くなったガンバ元監督のクゼさんに黙祷をささげました。R.I.Pクゼさん。
ファジが素晴らしい内容の試合をしましたが、ドローの結果は、両者ともミニマムだったと敢えて言うことをお許しください。
不勉強なのですけど、影山さんはターンオーバーをしているのかなと思います。真ファジサポさんに叱られちゃいますね。ファジのサッカーは運動量が生命線です。とくに前線の選手は攻守にハイレベルな運動量を求められます。だから選手のチョイスは、心身がフレッシュなことが選択条件の一番上にくるんじゃないでしょうか。選手のクオリティに大きな差がないとも言えます。今日、荒田をスタメンから外したのは、そういう理由と理解します。アルウィンで見た荒田は、コンディションがいいように見えませんでした。代わって前線の組合せは、押谷を真ん中にして石原と妹尾を脇に置きます。ボランチもターンオーバーの対象でしょう。今日は仙石と島田のコンビ。千明をチームの軸にしているとアルウィンの試合を見るかぎり思ったので、意外でした。ターンオーバーなら納得できます。最終ラインとWBは不動。竹田がリベロで扇の要。右の後藤と奏一、左の龍仁朗と諒はサイドで攻守に絡みます。
ガンバは来月から大きな編成の変更があります。レギュラーのレアンドロと家長がローン期限切れで離脱。代わりにロチャと宇佐美が加わります。コンビネーションの再構築は不可避ですけど、少なくとも家長を失う影響はミニマムなんじゃないでしょうか?。問題はロチャですけど。コンフェデレーションズ・カップに出張中のヤットと今野の代わりは、内田と丹羽。前線はパウリーニョが入ります。ポストレアンドロ、家長を考慮して、両選手を同時起用することを避けたんだろうと思います。
強烈なフォアチェックで、ファジはガンバの出鼻を挫くことに成功します。狙いはガンバ中盤です。ガンバはレアンドロを除くアタッカーとボランチで試合を組み立てます。前線にパスを供給する源をファジは断ちました。明神、内田、パウリーニョ、秋、二川は、ボールホルダーに対してダブルチームを仕掛けるファジの圧力を避けるため、バックパスを選択します。果敢に仕掛けようとしたのが右サイドのパウリーニョですけど、石原と諒の餌食になっていました。パウリーニョのミスが多く見えたのはそういうことでしょう。局面の戦いは、ほぼファジが征しました。ターンオーバーしてからの攻撃モードへの切り替えも非常にクイックです。ポイントはWBの位置です。諒と奏一が素早く高めにポジショニングするので、全体の押し上げと厚みのある攻撃を実行できるんです。
もう一つファジのフォアチェックを有効にしたのが、復帰後初先発の妹尾です。妹尾はバイタルエリアを広範囲に受持ち、押谷と石原が作るガンバの攻撃ルートをしっかりとフォローします。
開始早々、ファジにとって理想的な先制ゴールが、ファジのやりたい戦いかたで生まれます。
前半3分。藤春が内田に戻したところを押谷が狙っていました。粘ってターンオーバーし、島田に戻します。島田は前線の妹尾をポストしますけどホスピタル気味で、丹羽が狙っていました。妹尾がこの局面を粘り、龍仁朗に渡します。この妹尾の粘りが1つ目のポイントです。龍仁朗は左ライン際の諒、明神とパウリーニョの間に侵入した妹尾、さらにその後ろにいる押谷、真横の仙石と4つの選択肢のなか、妹尾をチョイスします。このチャレンジが2つ目のポイント。妹尾に明神がチェックに行きます。左に出てる石原を見ていた加地が明神をフォローします。妹尾がターンして明神をかわします。この一瞬の間で、加地が石原を離してしまいます。そこで妹尾が石原にスルー。石原が加地を連れてゴール前に。タメを作ってフリーの諒に戻します。諒はルックアップして中を良く見ます。ファアサイドに上がってきた奏一が手をあげていました。押谷がニアに走り込んで囮になり丹羽を引きつけます。3つ目のポイントは、奏一。奏一は藤春の視界から消え、背後から走り込み、諒のクロスに頭でどんぴしゃ合せました。ゴラッソ。FC東京U-18出身の奏一が、4/7日の札幌戦のプロ入り初ゴールに続いて、今年2点目です!。ガンバ0-1ファジ。
ガンバのアタックルートはそれでも二つあります。二川が前を向いてボールを持てた時に繰り出すファジ最終ライン裏へのスルーと、秋のドリブルです。なので時折ファジゴールに迫るアタックを見せます。ただ、ガンバらしいゴール前の一瞬のスピード感がないのです。ガンバ中盤のスキルフルなポゼッションを単なるパス回しにしないのは、SBのオーバーラップがある故です。藤春のスピードと加地の安定感はJ1でもストロングポイントですから、ここを自由にしてしまうとJ2ではガンバを抑えることは至難でしょう。そこでファジの考え方は、ガンバ生命線のSBを抑えるのではなくパスの出所を消そうという意図でした。見事にはまりました。
先制しても両者の戦いかたは変わりません。ファジの運動量が落ちませんから、試合のペースも変わりません。そう、この後の展開の鍵を握るのは、ファジの運動量です。それは両チームにとって自明ですから、ゲームプランの力点は運動量が落ちてからの戦いかたにあると思っていました。
そして試合は第二幕を迎えます。前半35分を過ぎた辺りからガンバがちょっとだけ戦いかたをアジャストします。それまで一人前線でターゲットになっていたレアンドロが中盤に降りてきて、パス回しに参加するようになります。この時間帯だけパウリーニョと役割を変えた印象です。さすがにレアンドロはボールを持てますから、ガンバは基点を得ました。さらにファジのスペシャルモードが一旦落ち着き、ダブルチームのフォアチェックが減ります。これでガンバ中盤が前線にパスを送るシーンが増え、SBのオーバーラップも頻繁に見られるようになります。ファジはフォアチェックモードなので腰高な体勢です。とくにWBの位置が高めでCBとの間にギャップがあります。そこを藤春と加地に狙われるようになりました。それでも最終局面で耐えていましたけど、前半を乗り切るには相手が強すぎます。
前半40分。ガンバ自陣深くのスローインから、西野が何気なく前線にロングロブを送ります。レアンドロには届かず竹田にカットされます。竹田はコントロールして仙石に落としますけど、それをパウリーニョがさらいました。ここからガンバは一気に加速します。パウリーニョはドリブルしてセンターサークルに入り、時間をかけずロングスルーを送ります。走り込んだのはレアンドロ。レアンドロはボールに追いつく前にルックアップ。秋がダイアゴナルにファアに流れているのを確認し、丁寧にダイレクトクロス。秋は頭で合わせるだけでした。竹田がレアンドロをチェックしていたので、最終ラインにギャップがありました。そこを見逃さないパウリーニョの視野がこのゴールを生みました。ガンバ1-1ファジ。
同点のまま前半終了。ハーフタイムに、マチカネくんが自転車に乗ろうとする事件がありましたw。
後半影山さんは戦いかたを大きくアジャストします。5バックと4枚の中盤でブロックを作ります。完全な閉じ籠りモードです。たぶんこれ、ゲームプランだったんじゃないでしょうか?。同点もしくはリードしていたら、後半からリトリートしようとしていたんじゃないかと思います。
健太さんもアジャストしました。後半は逆にガンバがフォアチェックを仕掛けます。後ろでボールを持たされるとファジの守備網に引っ掛かりますから、プログレッシブに戦おうという意図でしょう。これは代表組がいると見られない戦いかたです。ヤットがいたら必要ないですからね。こうして第三幕が始まります。
後半は完全にガンバがイニシアチブを握ります。シュートとCKが増えます。ファジのアタックは遠目からシュートするのかせいいっぱいです。逆転も時間の問題かなぁと思っていたのですけど、ファジのブロックは実に堅固でした。結局ガンバはペナルティアークに入り切れませんでした。二川に代えて阿部を入れシュート力をアップします。パウリーニョの怪我で家長も投入。一気に勝負を決しにきました。でも、ガンバがシュートを決めきれないまま時間が経過します。
そして、後半も40分を越える頃にフィナーレの幕が上がります。伏線は押谷と荒田の交代です。以降、石原を久木田に、妹尾を三村に代えます。この交代はコンディションの補完というコンサバティブな選択ではないと思います。ガンバの攻め疲れを計算して、必ず90分以内にチャンスが来ると考えていたんでしょう。でないとスピード系のアタッカーのオプションを3枚用意しないですから。
ギリギリで攻めあいの時間が来ました。ガンバが組織的に圧力をかけゴールに迫るのに対して、ファジはロングカウンターで一気に仕掛けます。展開が一気にスリリングになりました。
万博のボルテージは一気にヒートアップしますけど、如何せん時間が足りませんでした。結局このまま試合終了。ガンバ1-1ファジ。
あくまでも自分の妄想ですけど、この試合のオーガナイザーはファジでした。スタッツを見ても内容はガンバが圧倒していますけど、それを計算に入れてファジは合理的なサッカーを見せてくれました。勝ちきったらいたらミラクルなんですけど、やっぱりガンバのほうがチームの総合力がファジを圧倒していることに異論はないですから、まずは自分たちがやりたいサッカーをできたことに、誇らしい気持ちでいっぱいです。
一見地味ですけど、中身が濃くてドラマチックな展開の好ゲームでした。健太さんと影山さんの演出も見事でしたし、ピッチ上のアクターのプレーも見事でした。勝ち負けじゃない楽しさがサッカーにはあるということを、ファジサポも満喫できたんじゃないでしょうか。
シーズンのスケジュールが決まってから、ずっと楽しみにしていたゲームでした。期待以上の内容で、ホントに楽しめました。来てよかったです。