ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

国宝 大神社展

2013-06-02 23:49:41 | アート・文化

ポスターの告知で気になっていたのですけど、シーズンが始まるとなかなか行けず。

Dsc_2226

大神社展。

Dsc_2184_2

てか、すっかり忘れていました。中断中の週末になにしようかなと思ってトーハクのHP見ると、なんと今日まで。じぇじぇ。

Dsc_2183

というわけで、東京国立博物館は平成館で大神社展でございます。後期です。

Dsc_2186

入口からスクリーンで神々の聖域が紹介されているコーナーを通って、展示が始まります。展示は6章に分かれています。なお、画像は大神社展とはまったく無関係ですw。

Dsc_2188

第1章 古神宝
第2章 祀りのはじまり
第3章 神社の風景
第4章 祭りのにぎわい
第5章 伝世の名品
第6章 神々の姿

Dsc_2192

後期の第1章は、厳島神社と熱田神宮が主役です。ちなみに前期は春日大社と熊野速玉大社。伊勢神宮の展示はないんですね。熱田神宮は神官の衣装が中心です。厳島神社はいきなり宝相華平塵地螺鈿飾太刀が迎えてくれます。小ぶりですけど螺鈿がめちゃ綺麗です。安徳帝のおもちゃと伝えられるミニチュアもありました。朱漆弓の朱色があざやかで、他の品と比べると鮮度が違って見えます。漆は経年劣化に強いんですね。厳島神社の宝物館に行きましたけど、今日展示してあったような品はぜんぜん見れませんでした。きっと大神社展全体が、現地でも非公開の品ばかりなんだろうなと思い、鳥肌が立ちました。

Dsc_2185_2

第2章は古代の神社を紹介するコーナーです。山の神と海の神に分かれています。山のほうは奈良県桜井市の山ノ神遺跡の出土品で、ミニチュアの土器や子持勾玉がありました。海のほうが展示品は多く、福岡県沖ノ島の宗像神社の秘宝です。祀りに使った鏡、馬具などがありました。その次に古文書があります。古事記、日本書紀、延喜式などがあります。

Dsc_2195

第3章は、絵巻と曼荼羅と境内絵図が展示してあります。ご存知春日権現験記絵巻は、白河上皇が春日大社にお参りするシーンを描いています。余り見かけない、白地に草木模様の直垂を着た従者が描かれていました。興味深かったです。上皇の車が進んでいるのにキョロキョロしている従者もいて、楽しいです。従者の背後に侍、それを遠目に取り巻くように僧侶がいて、当時の序列がわかって面白いです。神社の曼荼羅って?とびっくりしました。曼荼羅というより、境内の紹介ですね。これを家にかけることで、参詣の変わりにしたんでしょう。曼荼羅には2種類あって、宮曼荼羅と参詣曼荼羅があります。宮曼荼羅は、一の鳥居から奥の院まで全体を俯瞰する絵です。参詣曼荼羅は、神社の中心部だけを描いたものです。参詣曼荼羅と境内絵図は、同じみたいです。

Dsc_2199

第4章が、前半のハイライトです。後期は、秀吉公の七回忌を描いた、豊国祭礼図屏風を見れます。実際に行われたのは1604年ですから、江戸時代に入ってからなのですね。興味深いです。屏風の右側は、豊国神社での祭礼。左側は方広寺での供養です。右は武士や公卿など上層階級が描かれているのに比べ、左は庶民が中心です。盆踊りのように車座になって踊っているグループが二つ描かれています。よく見ると、南蛮渡来の人や中国人が見れます。なにしろ人物の表情や動きが細かく、密度濃く描かれていて、いつまで見ていても飽きないです。鞆淵八幡神社の神輿の次ぎは、能楽の衣装とお面のコーナーです。岐阜春日神社の紺地白鷺葦模様の狩衣がめちゃくちゃ綺麗です。厳島神社の紅地鳳凰桜雪持笹模様の唐人装束のオレンジ色が鮮やかで印象的でした。

Dsc_2200

第5章から後半です。第二会場に移ります。入っていきなり出迎えてくれるのが、鹿島の太刀!。鹿島神宮の直刀黒漆平文大刀です。ホントにデカイです。これも不出の秘宝でしょうから、今回の展示はめちゃくちゃ貴重です。鏡のコーナーの次に、前期は平家納経を見れたんですね。後期も名品で、妖怪やジャパニーズホラー好きにはたまらない、かの有名な北野天神縁起絵巻です。屋敷が火事になっているシーンでした。残念ながら雷様や妖怪変化が出るシーンではなかったです。天女のシーンがありました。天女が老いて死ぬまでが描いてあって、やっぱり北野天神縁起は、不思議な絵巻ですw。向かいに刀が展示してあります。いずれも素晴らしい刀ですけど、なかでも気にいったのは群鳥文兵庫鎖太刀、通称上杉太刀です。反りがめちゃくちゃ美しいのです。

Dsc_2202

第6章はいよいよ貴重な、神様の木造を見れます。仏像と違って神像はアイドル的な目的はなく、ホントに秘されています。神社に行ってもお目にかかることはまずないと思います。展示も面白く、まず滋賀若松神社の狛犬と獅子が迎えてくれます。ちなみに頭に角があるほうが狛犬なんだそうです。二つとも、背中がとってもキュートですw。次に岡山高松神社の随身立像があります。随身のシルエットをスクリーン越しに見る趣向も面白いと思います。その奥からいよいよ神様の聖域です。神像は8世紀頃から作られたんだそうです。現存する最古は、京都松尾神社の神像で9世紀頃のものだそうです。9世紀終わり頃から、脚部の奥行がない形が定まったそうです。室町以降になると、中国風から日本の神官風になるようです。まず東寺の神像が迎えてくれます。竹内宿禰と伝わる神像は服を着ていません。衣装を着せていた珍しい像なんだそうです。隣に女神像があります。まるくてとっても大きいです。見る角度と距離でお顔の表情が違います。8世紀から9世紀の女神像は、形式が決まっているようです。オリジナルはどこに辿れるんでしょうね。松尾神社の男神と女神があります。男神がめちゃくちゃハンサムなんです。初老の神様ですけど、渋さがあって男前。滋賀上野神社の素戔男尊と菅原道真公の像があります。つり目で怒った表情が迫力です。奈良勝手神社の武装神像は、珍しい日本の鎧兜をまとっています。武の神仏は、普通中国の武装で作られますけど、鎧兜のものもあるんですね。福井八坂神社の女神像は、千手観音のように頭に小さな顔を乗せています。そのほか僧形の神像もあって、日本独特の神仏集合を見ることができます。最後に武甕槌命の鹿島立の絵で送ってくれました。

Dsc_2203

途中でも書きましたけど、まず普段は見られないだろう秘宝のオンパレードで、とにかく凄いです。あまりに秘宝すぎて、たとえば歴史の教科書で見たようなわかりやすい展示品が少ないのでインパクトに欠ける気がしますけど、全体のレベルが高すぎる故でしょうね。文字通り、貴重なものを拝ませていただきました。トーハク以外でも来年福岡で開催されるそうなので、ぜひ。オススメです。

Dsc_2228