ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2016J1リーグ1stステージ第7節FC東京vs川崎フロンターレ@味スタ20160416

2016-04-17 16:35:36 | FC東京

平成28年熊本地震で被災されたかたがたのご冥福をお祈りいたします。大きな地震が続いていて、今なお、地震活動が弱まる傾向が見られないそうです。現地のかたは、どうかどうかどうか、身の安全を優先して、ご自宅に無理に留まらず安全な場所に避難してください。

一日もはやい地震の沈静を願います。そして一日もはやく、被災地域が不安なく過ごせる日が戻りますように。FC東京サポーターからYou'll Never Walk Alone!

今、この瞬間ぼくらができることは、いたずらに不安や焦燥を感じることではなく、また過度に自粛することなく、変わらない日常を過ごすことで、それをぼくら自身で認め合うことだと思います。SNSが発達して個人でも安易に情報を流したり感情を吐露できるようになっていますけど、人命や生活にかかわる重要なことは、プロからの情報が確実かつ迅速に今この瞬間に必要とするかたがたに届くようにすべきだと思います。

ぼくらJリーグファンは、プロサッカーの魅力を伝える権利を持つものとして、変わらずにある「楽しさ」を届け続けることも、今すぐできる支援のかたちの一つなんだと思います。今日開催されたすべての試合は、Jリーグが本質的に持つ社会的役割を再確認する機会だったと思います。ぼくらサポーターが、自チームを応援する便益だけでなく、相手や世の中との相対的な関係のなかで、社会にかかわっているということを自覚できる場だったと思います。

Jリーグには多くの九州出身の選手がいます。木曜夜の前震発生以来、不安でいたたまれない気持ちがずっと続く、とても辛いなかでのトレーニングだったと思います。本当によくがんばったと思いますし、応援する立場を超えて、変わらずプレーする勇敢な気持ちに強く心を打たれました。今日の試合では、熊本市出身の車屋選手をはじめ、出場できなかったけど福岡出身で大分にいた東選手、長崎出身の大久保選手、徳永選手、平山選手、熊本でプレーしていた橋本選手、大分でプレーしていた森重選手、鳥栖でプレーしていた水沼選手も、ご家族やお友達、地域のことが心配ななかでの三日間だったと思います。特殊な状況のなか、トップレベルのエンターテインメントを提供してくれた勇気と忍耐力と責任感に、心から感謝を伝えたいと思います。本当にありがとう。

ぼくらは変わらずJリーグを支え続ける。今日は多摩川クラシコ。全力で応援して全力で楽しむ。

完璧なコントロールで試合を支配していましたけど、チームとしての熟成の差が勝ち切ることを許してくれず、残り15分を耐えきれませんでした。

東京は今日はターンオーバーです。怪我や体調の影響だろうと思います。シフトは今日も4-4-2。GKは秋元。CBはモリゲとまる。SBは徳永と諒也。ボランチはハビとヨネ。今日のメイヤは右に草民左に拓馬。今日の2トップはバーンズと遼一です。

川崎は、僚太が怪我のため離脱。と言っても今年の川崎はネコの目オーダーですから、言い換えると中央線が崩れない限り川崎クオリティを失うことはありません。シフトは、今年の基本4-4-2です。GKはチョン・ソンリョン。今日のCBは奈良とエドゥアルド。今日のSBは右にエウシーニョ左に車屋。ボランチは今日の堅剛の相棒は原川です。今日のメイヤは右に森谷左に田坂。2トップは悠と嘉人です。

風間さん目線で見ると、ヒロシに対し肩透かしをくったというか、ある意味優越を感じ、ある意味蔑みすら覚えたかもしれませんね。たいがいの試合は、試合中にダイナミックに作戦が動いていくものなのですけど、今日はほぼ90分間、互いにAプランを変えないまま、あるいは他にプランを持ち合わせていないのか、終始しました。結論を言うと風間さんのサッカーが勝ったわけですけど、川崎は風間さんのサッカーを90分間やり通し、一方ヒロシはヒロシ本来のスタイルをかなぐり捨ててまで勝負にこだわったプランで臨みました。ロマンチストvsリアリスト。

本質的にはヒロシも風間さんもロマンチストです。今日はヒロシが、ロマンチストのプリンシパルを捨ててまでリアリストに徹しました。これは、ヒロシと風間さんの監督としてのキャリアの違いが由縁したことのような気がして、とても興味深いです。風間さんは筑波大学、川崎と、ロマンチックサッカーの純粋培養が許される特殊な乙女環境で育ってきて、それを徹し続けた甘やかな強さをお持ちです。いっぽうヒロシは、第一次東京で失敗して、リアルを帯びずにいられない甲府で復活をとげました。いわばヒロシは、本人の意図することかどうかはともかく、客観的に観るとリアリストとしての成功者にカテゴライズされます。フィッカデンティさんの延長線上を期待するものとして、ヒロシのリアルは安心感を覚えましたし、一方でリアルの度量の大きさに不安を覚えてもいました。まだ結論を見るにははや過ぎるけど、風間さんとの対決は、ひとつの尺度として参考になるような気がしていました。

試合はいきなり動きます。

4分。東京陣アタッキングサード右サイド、エウシーニョのスローインから。原川のクロスをヨネがカットして、クリア。このボールが遼一のところに行きます。遼一と堅剛が競って、ふたたびイーブンのロブが上がります。このボールをエドゥアルドが受けようとしますけど、草民のタイトチェイスでコントロールミス。これを草民が頭で前方にフリック。そこにバーンズがいました。エドゥアルドの背後を取ったかたちになって、バーンズはハーフウェイ付近から独走します。そのままドリブルでペナルティエリアに入ります。トップスピードのままソンリョンの様子をチェック。追い縋る奈良が足を延ばすタイミングで、ソンリョンの加重の逆をついてゴール左隅に流し込みました。東京1-0川崎。

東京の狙いが顕著に現れた先制ゴールでした。東京は今年の川崎の特長を良く理解していたのでしょう。言い換えると、わかり易いウィークポイントがある川崎を、奇をてらわず順目で攻略しようとしったのでしょう。

というわけで今年の川崎の特長を確認してみます。川崎の試合観戦は今年二回目です。昨年までの風間川崎は、試合によってシフトとシステムを変えるイメージがあったのですけど、今年は好調も相まって、初戦から闘いかたに大きな違いがありません。堅剛と嘉人と悠が不在だったナビスコ杯を観たのですけど、基本的なプランは同じだったので、ここに来てついに風間川崎の完成形をみたということなのでしょう。

奇抜な印象が強い風間川崎ですけど、究極に落ち着いたところは、案外オーソドックスでした。スクエアな4-4-2というシフトからもイメージされますね。昨年までとの顕著な違いは守備です。コレクティブに前線からのプレッシングをするようになっています。川崎と言えばポゼッションが象徴でしたので、カウンターを志向する中盤でのトランジションにあまり興味を示すことのない守備スタイルでした。今年は、キャンプ中から堅剛が言っていたことですけど、積極的に中盤でのボール奪取にチャレンジすることを前提とした守備のやり方になっているようです。昨年まではバイタルエリアからペナルティエリアにかけて、ムービングとショートパスでこねくり回して攻撃するイメージが強かったのですけど、今年は、この守備のかたちゆえ、カウンターのパターンが増え、結果的に攻撃がはやくなっています。レナトを失ったことはマイナスかなと思いましたけど、むしろ過剰なドリブルや連携がなくなった分、シンプルにセオリーをついていくサッカーができるようになったのだと思います。いちサッカーファンとして、風間川崎の奇妙キテレツなサッカーはそれはそれでおもしろかったのですけど、成績が安定して強くなった分、つまんなくなった感は少しだけありますね。

アタッカー四人の組み合わせは、第1節と第2節を除いて全試合異なっています。嘉人と悠のコンディションの問題があった故もあると思いますけど、二列目をターンオーバーにしているのは意図があってのことでしょう。川崎の攻撃プランは、おおまかに言うと2パターンです。中央突破とサイドアタック。この違いは、メイヤの人選と配置でコントロールしています。今日の場合は森谷も田坂も真ん中でもサイドでもプレーできる選手ですから、一粒で二度美味しいハイブリッドなかたちが作れます。堅剛、狩野、僚太が入っても同じ。一方、エウシーニョ、車屋が入ると、よりサイドアタック基調の強い布陣と言えます。今日の選手交代を見ると、攻め処の重点を、流れに応じて風間さんがどこに置いているのか、よく分かると思います。

中央突破を志向する場合、森谷と田坂はトップ二人の真後ろに入り、中央にスクエアなボックスを作ります。バイタルエリアで基点を作って、嘉人と悠に前線でのポジショニングに専念させることができます。中央突破といいつつ、バイタルエリアを使うパターンと、それと同時にSBがとても高い位置を取りますので、むしろサイドに出してからのクロスを狙うことの方が多いような気がします。相手の守備陣形を中央に絞らせるサイドアタックと言ったほうがいいかもしれません。

森谷と田坂がサイドに開くパターンがサイド加重のかたちです。この場合は、メイヤが基点となってSBと絡ませ、サイドに数的イーブン以上の局面を作ることを志向します。この場合、川崎らしい特化したバリエーションがあります。田坂が右サイドに流れ、森谷と同サイドに位置します。森谷が左サイドで同じ動きをすることが無かったので、意図して右サイド過重を狙ったのだと思います。嘉人と悠も仕切りにこのサイドに流れていたので、明らかに諒也を狙ってのプランだと思います。メイヤがサイドに開く場合は、バイタルエリアの一次基点は嘉人と悠が交互に下がってきて担います。

昨年までの川崎は、もっとアタッカーがポジションレスで、嘉人と悠を含め、ビルドアップのパス受けのためのムービング連携が多かったと思います。それ故、肝心のペナルティエリアでの攻撃がスタックする副作用もありました。今年の川崎は攻め方が整理されていて非常にシンプルです。このことが、アタッカーのコンセンサスを作ることに有効なのではないかと思います。なによりも、嘉人と悠というJリーグ屈指のゴールゲッターが前線に揃っているわけですから、シンプル化することでそのストロングネスをより強調しようということでしょう。

川崎の闘いかたを整理した上で、今日の東京です。東京が目を付けたのは、川崎の新しい守備システムです。コンパクトな守備陣形でフォアチェックを仕掛けてくるため、最終ラインの後方にスペースができます。でありながら、川崎のCBに、広大なカウンタースペースを2バックで守り切るスピードと強度、いやらしいまでのタフネスに欠けます。これは風間ロマンチシズムの現れですけど、その是非はともかく、リアリストヒロシはそこを狙います。

バーンズをスターターで選択した理由は、リアリスティックなプラン故だと思います。東京はロングカウンターに徹します。川崎がフォアチェックを基調として重心を前にした瞬間に、モリゲ、まる、ハビ、ヨネが長いフィードを前線に供給します。とくに狙ったのがエドゥアルドと車屋の間、てかエドゥアルド。バーンズが再三裏への飛び出しを狙います。川崎のチームとしてのおもしろさは、おそらくこのウィークポイントを許容していることだと思います。鹿島のようにストロングスタイルのCBを置けばいいのですけど、そこはやはり風間川崎。エドゥアルドも奈良もとてもクリーンです。

ここでヒロシ東京の本来目指すアタックモデルを振り返りますと、それはサイドでのトライアングル形成、つまりタイトゾーンのなかでの連携で崩していくパターンです。遼一の相棒に慶悟と拓馬を代わる代わる起用するとは言え、選手の特質を変えないのはそれ故だったと思います。バーンズを使うということは、ヒロシが言う仕掛けて支配するサッカーを捨てることを意味します。バーンズはよりスペースを好む、独力突破スタイルなのでしょう。今日は、東京が採用したリアルなサッカーに加え、川崎のクリーンで緩い最終ラインも重なり、まさにバーンズが躍動します。

というわけで、今日の東京はロングカウンターサッカーです。ですのでより重視されるは、守備です。東京は4+4の2ラインをコンパクトに保ちます。川崎の攻撃を外に押し出す形です。根拠となるのは、川崎の攻撃にサイドチェンジがほとんど無いことです。ボールサイドに守備網を寄せることで、川崎の攻撃エリアのほとんどの局面をクローズすることができます。

川崎のサイドアタックが脅威なのは、森谷にしろ田坂にしろエウシーニョにしろ車屋にしろ、単純なクロッサーではなく凶暴なテクニシャンであることです。サイドからペナルティエリアにドリブルでぐりぐり侵入して、ゴール前の様子を伺いながらチャンスメークできます。東京はゴール前にコンパクトな守備陣形を敷くことで、この脅威に備えます。東京の守備は、とても集中していて、かつコレクティブでした。バーンズのロングカウンターはいずれ対処されると思っていたので、今日の勝敗は、東京の守備が90分保つか、それとも川崎がこじ開けるかにかかってるなと思いました。果たして彼我を分ける要素はいったい何なのか?。

序盤は東京の守備が安定していて、オーガナイズできているなと思っていました。少なくとも前半はこのまま通せる予感がしていたのですけど、あの男の一閃で振り出しに戻ってしまいます。

11分。東京陣で田坂から悠へのパスをヨネがカット。流れのまま前方の遼一に渡します。ターンした遼一は、間髪入れずに奈良とエドゥアルドの間を抜けようとするバーンズにスルー。これは奈良がカットします。トランジションです。エドゥアルドを経由して堅剛が自陣で持ちます。堅剛はターンしてルックアップ。この時最前線の右サイドでは、諒也の背後を嘉人が取り、裏に抜け出そうとしています。おそらくオフサイドトラップだと思いますけど、徳永が残っていました。堅剛は嘉人の前に落ちる絶妙なロブを前線に送ります。追いついた嘉人は、諒也とまるの寄せをものともせず、バウンドを測って右足で流し込みました。東京1-1川崎。

ラインミスと諒也の個の強度の問題とはいえ、やっぱり嘉人はすごいです。終わってみると、嘉人も悠も何度か裏への飛び出しを試みていたので当初プランの一つだったと思うのですけど、このゴールまでは一度も見せていませんでした。東京守備陣が安心しかけたところで満を持して仕掛けてくるのですから、仕掛けた嘉人と反応した堅剛のサッカー感の凄みに、ただただ感服する限りです。

振り出しに戻されてしまいましたけど、東京は落ち着いています。東京が中央をコンパクトに保ちますから、堅剛と原川は左右にパスを散らすしかありません。起点の意図が欠けると、中盤が手詰まりになるのは必定。サイドから中央に戻すホスピタルパスが増えます。東京はここを狙います。ハビとヨネのところで、おもしろいようにパスカットできるようになります。

今日は遼一のポストも安定していました。遼一を一次基点に、バーンズ、拓馬、草民が裏に抜けるアタックが再三見られます。川崎が多少混乱するこの時間帯で、何度かあったカウンターからのバーンズのチャンスが決まっていたら、この試合はまた違った結果になったような気がします。

川崎がBプランというか、A’プランを使わざるを得ない相手は、そう多くはないと思います。川崎は守備を微調整します。フォアチェック基調ではなくリトリートモードに入ります。幾分守備を意識したプランにアジャストします。攻撃プランそのものは変わりがないので、相変わらずホスピタルパスのカットで、東京が中盤の優位性を保ちます。なので試合は東京がポゼッションする比率が幾分上がってきて、アタッキングサードでパスをつなぐ攻撃ができるようになります。もしかすると今年の川崎の結果が安定しているのは、華々しい等々力劇場の裏で、このA’プランが実戦で有効だからなのかもしれません。東京はバーンズが左右に流れてビルドアップに絡むこともあって、最終局面での選択肢が、ポゼッションしている割に多く用意できません。やはりロングカウンター用の布陣は、ビルドアップさせられると少し苦しいのかもしれません。

35分過ぎに川崎にアクシデントが起きます。車屋が左膝を痛めて下がります。故郷をプレーで勇気付けたかったと思いますから、はやい時間での交代は無念だったでしょう。もしかしたらはじめから無理して出ていたのかな。代わって谷口が同じく左SBに入ります。

少なくとも前半は、谷口はほとんど攻撃参加しなかったので、影響を極小化することを優先したのでしょう。前半はイーブンのまま終了。

後半に入って、川崎がまた少しだけマイナーチェンジを施します。ボランチが縦配置基調になって、堅剛が前目に出るようになります。サイドに展開してはホスピタルパスを狙われる状況が続いたので、中央にボールの納め処を据える意図だと思います。それから、積極的な縦へのチャレンジが堅剛ならできますので、嘉人、悠の裏への抜け出しを引き出す意図も含んでいたと思います。

それでも東京の守備は落ち着いていて、川崎は両サイド、中央とペナルティエリアを目指してグリグリきますけど、ゴール前の最終局面で跳ね返し続けます。川崎がふたたび攻撃モードに入ったので、ロングカウンターの機会がまた訪れるかと思っていると、追加点の機会は別のかたちでした。

56分。ペナルティエリア角付近の諒也の左サイドのFK。東京は横陣です。ニアからバーンズ、草民、ハビ、遼一、モリゲ、大外にまるです。川崎はフルゾーンで7枚対峙させます。手前に一枚原川がストーン。やや離れた位置にいた遼一が、諒也のモーションと同時にハビの前にゆるゆる出て、一気に加速します。結果、遼一だけギリギリのタイミングで抜け出すかたちになります。遼一は左足ダイレクトでクロスに合わせました。東京2-1川崎。

これを受け、風間さんが動きます。森谷に代えて武岡を右SBに投入します。エウシーニョを一枚上げて左メイヤに回します。右サイドは、純粋なサイドアタッカーを置き、よりシンプルに右過重で攻めようという意図だと思います。川崎伝統のCB系の選手で最終ラインを固めるのも、ロングカウンターに対するセイフティネットをはる意図だと思います。エウシーニョが独力で右ライン際に基点を作れるので、川崎の前線の動きが細やかに活発化します。

さて、川崎が先にカードを二枚使ってしまったことを受け、作戦面では優位に立ったヒロシがやおら動きます。草民に代えて拳人を同じく右メイヤに投入します。草民は先制点の貢献に象徴するように、粘り強いチェックの繰り返し動作とパワフルなドリブルで右サイドのポイントになっていました。交代はコンディションを考慮したのだと思います。同タイプの拳人を入れたことで、ヒロシのこの時点の状況に対する満足が伺えます。ある意味コンサバティブな作戦ですから、見方によってはカードを一枚無為に使ったともとることができます。

続けてヒロシが動きます。バーンズに代えて相太を同じくトップに投入します。これは、試合を〆にかかったのだと思います。前線にターゲットマンを二枚置くことでビルドアップを安定させようという意図でしょう。つまり川崎に傾きかけている流れを、攻守のバランスを改善することで予防しようとしたのだと思います。

さて、いよいよこの試合の彼我を分ける最後の15分間に入ります。東京は得点では2-1でアドバンテージを持っています。カードは2on2のイーブン。作戦は、風間さんは基本的には一貫して変わらず、一方のヒロシは幾分逃げ切りを考えています。

最初に口火を切ったのは風間さんでした。原川に代えて登里を左SBに投入します。谷口がボランチに回ります。ビハインドの状況ですから当然のメッセージですけど、右サイドはエウシーニョ作戦を維持し、左サイドを活性化して左右の攻撃バランスを強化する意図だと思います。それから、縦配列になっていたボランチのアンカーを谷口にすることで、中盤の守備の強度を上げる意図だと思います。

この作戦が奏功したのかどうかは分かりませんけど、堅剛の攻撃への関与の頻度が増します。そして川崎の圧力が一段ギアアップした結果がすぐに現れます。

77分。勢い余ってしまったかたちながらも、ヨネが嘉人の足首をひっかけて倒し、PK。これを嘉人自らど真ん中に決めました。東京2-2川崎。

東京にしてみれば少し誤算だったでしょう。相太を投入する直前に良い攻撃のかたちが作れていて、相太投入はそれを助長する意図もあったと思います。ただ観ている我々も同じなんですけど、幾分守り切ることも視野にあったと思いますので、同点になって、この後の時間をどう過ごすのか、混乱しかけても不思議ではありませんでした。

一方川崎は、嘉人自らゴールしたボールを拾ってセンターラインに置きます。嘉人の心中のすべては分かりませんけど、純粋にこの試合の結果だけを取り上げるならば、勝ちたかったのでしょう。普段あまりやらないのですけど文学的な表現をお許しいただけるなら、なんとしても勝ちたいという意思は、この大事な15分間では川崎が勝っていたのだと思います。

自分は正直、良く言われる足が止まるという事象を具体的に捉えることができません。プレー経験がないからだと思います。でも、この試合を振り返ってみると、残り15分になって東京の4+4の守備網が明らかに不格好にバラつきが出てきます。これがコンディションの問題か、それとも選手交代の影響なのかは分かりません。いずれにしろ、守備網にギャップができはじめたのは事実。終わってみれば、PKを含む以降の3点はすべて守備網のギャップが直接関与していることです。ここ数戦、同じように試合の終盤に守備網が不安定になる傾向にありますので、喫緊の課題として対処してほしいと思います。

直後にヒロシが動きます。遼一に代えてムリキを同じくトップに投入します。まず、混乱しそうなチームに対し、勝ちに行くというメッセージを送る効果を期待したと思います。これは事実そうなります。それからターゲットマンをもう一度一枚にして、バランスを所期に戻す意図もあったと思います。とは言え、もう一つ意図があって、とにかく無理やりにでもムリキを出して、はやくフィットさせるという中期的な視野の意図もあると思います。正直、ムリキはまだコンペティションのなかでは無理きです。ただ、ゴール次第なような気もします。今日も短い時間ながらも一本シュートしていたので、ひとつ決まればJでのタイミングを掴むような気がします。なにより割とオラオラ系シューターなので、コンディションの影響はあるかもしれませんけど、相手を選ばないアタッカーな予感がして、期待はあります。

攻撃メッセージを受け、かなり前掛りになった東京に対し、今日の東京のお株を奪うような川崎のロングカウンターがさく裂します。

81分。ヨネの左FKが流れた後のソンリョンのGKから。このキックが伸びてアタッキングサードに届きます。まずここがポイントでした。セットプレー直後でソンリョンのリスタートがはやかった上にロングキックで、東京の守備網は人数はいますけど整っていません。川崎はアタッカー四人が中央にボックスを作るパターンです。つまり、GKの状況ですでに攻撃の準備ができています。対する東京は、まず最終ラインはまると徳永が前に出ていてギャップがいっぱいあります。拓馬と拳人は戻り切れておらず、守備には参加していません。ということはポイントになるのはバイタルエリアです。ソンリョンのGKをまるがクリア。これが縦配列の前にいた堅剛の前に届きます。ヨネは堅剛をマーク。このため、バイタルエリア左サイドががら空きになります。ここをエウシーニョが逃すはずがありません。堅剛は走り込むエウシーニョにフリック。パスを受けながらエウシーニョはルックアップ。嘉人がダイアゴナルランで自分の前を横切っています。これにまると諒也が引っ張られます。ハビはエウシーニョをケア。田坂が左サイドから縦に上がっていて、徳永がケア。この時悠が、フェイドアウェイで左サイドに逃げる動きを見せています。モリゲがいますけど、悠はその背後を取ります。エウシーニョの選択は、下がるモリゲの後ろを通すスルーでした。悠はパスを受けながらコースを見て、ゴール左隅に決めました。東京2-3川崎。

ついに川崎に逆転を許してしまいます。悠は二度のビッグチャンスを外していましたから、そのままでは無念で帰れなかったでしょうね。これを受け、ヒロシが動きます。拳人をボランチに回します。ヨネを一枚上げて左メイヤ。拓馬が右に移ります。中盤よりも前目にトランジションポイントを置いて、ショートカウンターを狙おうという意図だと思います。

ところがこのさらに前掛りにならんというメッセージが裏目に出ます。ふたたびロングカウンターにさらされます。

後半アディショナルタイム。まるの長いクリアを奈良が自陣で拾って、前方センターサークル付近の堅剛に預けます。カウンター発動です。堅剛はフリーで、中央から右に流れながらドリブルします。堅剛はドリブルしながらルックアップ。この時前線は、嘉人がニアにいて諒也が見ています。左サイドは徳永が攻撃参加していたのでまるのみ。それに対し川崎は悠とエウシーニョが並走しています。つまり1on2。堅剛はドリブルのままペナルティエリアに侵入。悠がゴール前に入ってきていて、まるがケアします。当然その外、エウシーニョが空きます。エウシーニョはあえて悠とタイミングをずらして遅れ気味に入ってきて完全などフリーを作ります。堅剛が合わせたのは、大外エウシーニョでした。エウシーニョは頭で流し込むだけ。東京2-4川崎。

このゴールで息の根を止められました。このまま試合終了。東京2-4川崎。

悔やまれるのは、リードしてからの過ごし方ですね。点差もカード数もアドバンテージがあったにも関わらず、さらに言うと負けないという選択もあったにも関わらず、作戦が裏目裏目に出てしまいました。言い換えると、残り15分間の逆転劇は、何も変えず何も足さなくても同じサッカーを続けていれば結果が出るという信念を持つまでに至った、風間川崎の熟成度が成し得た結果のような気がします。

でも川崎は5年目でこの域ですので、第二次体制とは言えはじまったばかりのニューヒロシ東京と比較するのはフェアではありません。それに川崎にはACLがありませんから。1stはなんとなく川崎が有利だろうなと思っていたのはACLが無いからですけど、もしコンディションが影響したのが事実だとしたら、今日の残り15分間の差のもうひとつの理由は、そこにあるような気がします。

これでリーグ戦は残り10試合で首位川崎と勝点8差。まだ圏外にはなっていませんけど、昨年の浦和の1st優勝の経緯を考えたら、実質的に1stステージは終戦でしょう。むしろ昨年の柏のように、ACLグループステージ突破に注力することができる状況になったとも言えます。是非はともかく結果に残すことが最重要なので、可能性のあるところから優先してほしいと思います。

それから気になるのは、ヒロシの目指すサッカーから試合を追うごとに乖離しているような気がすることです。これもACLの影響だと思いますけど、成績はともかくビジョンに反することを続けているとチームが方向性を見失いかねませんから、変えるにしろ変えないにしろ、しっかりとコンセンサスを取ってもらいたいと思います。

次は、ヒロシ想い出の甲府です。青赤ダービーにヒロシダービーが味付けされます。山中スタがどんな雰囲気になるのか、楽しみです。


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