ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2016J1リーグ1stステージ第9節FC東京vsアビスパ福岡@味スタ20160429

2016-04-30 18:58:10 | FC東京

ゴールデンウイークがやってまいりました。東京は、前半はお天気がよさそうです。気温も落ち着いていそうで、お出かけにぴったりですね。

ゴールデンウイーク初日は、ACL出場のため今年は期間中にひと試合しかないJリーグでございます。ACLが3日にありますけど、アウェイですので、東京の試合はホントにひとつだけ。ACLの何がいいのか、やっぱり分かんないw。

たったひと試合しかないので興行的にも残念でしょうね。そんな想いもあってか、東京はそのひと試合を豪華に演出してくれました。東京ガスライフバル presents エキシビションマッチでございます。

OBには、東京の下部組織をはじめ、サッカーに携わっているかたが割合多いので、スタイルも現役当時とそんなに変わらないかたのほうが多く思えるなか、お腹回りがやっぱりぼくらワールドに入ってらっしゃるかたもチラホラいらっしゃって、微笑ましいです。OB戦を観て懐かしいと感じるくらいの歴史を、東京もぼくらも積み重ねてきたんだなあって思いました。

出場されてたかたで自分が好きだったのは、古くは藤山さん、伊藤さん、小峯さん、加賀見さん、そして俺たちのユキ。

その後の世代では、宮沢さん、憂太。

コーチをやられているかたはともかく、それでもやっぱり20分はキツそうなベテランたちの楽しくて和やかな試合を堪能しました。試合後のOBの皆さんと青赤ゴール裏

またいつか、今度は懐かしの外国人のOBのかたも交えて楽しませてくれる機会をプレゼントしていただきたいと思います。さて本番。本日のYou'll Never Walk ALone♪

その肝心の本番は、福岡に初勝利を献上する、今年最悪の結果でした。

東京は甲府戦とほぼ同じメンバーです。シフトは今日も4-4-2。GKは秋元。CBはモリゲとまる。SBは徳永と諒也が戻ります。ボランチは梶山とヨネ。メイヤは右に広貴左に拓馬。2トップは相太とバーンズです。

福岡は今月に入って闘いかたのコンセプトが大きく変わっています。それは後述するとして、シフトは昨年のベースの3-4-2-1ではなく、4-4-2です。GKはイ・ボムヨン。キム・ヒョヌンがサスペンションで不在のため、今日のCBは田村と堤のコンビです。SBは右に實藤左に今日は亀川が下がります。ボランチは末吉とダニルソン。メイヤは右に城後左に為田。2トップは金森と大エースウェリントンです。

不可解なことがひとつだけあります。なぜ結果が出なかった甲府戦と同じ布陣を敷いたのか、です。理由は現場にしかないので推測でしかありませんけど、単純かつノーブルに考えると、ACLグループステージ最終戦を最重視するため。言い換えると、それだけここに来てチームのコンディションが良くないということなのかなと思います。作戦的には、守備的な闘いかたの甲府と福岡の連戦を、同じコンセプトのセットで臨むということかもしれません。それにしては前節で結果がでなかったので、やはりコンディションか。それともあるいは何かのエクスキューズなのか。

川崎戦で闘いかたのモデルを大きく変えたヒロシ東京でしたけど、やはりあれば、あの試合だけのスペシャルプランだったのですね。基本的なコンセプトは変わらないようです。特長は攻撃にあります。アタッカーのアイデアの連鎖から生まれるコンビネーションプレーで相手のマークずれを作り、スペースのギャップを狙うというモデルです。この作戦の前提になるのは、やはりフィジカルと脳のコンディションでしょう。いきなり課題感から入って申し訳ないのですけど、フィジカルコンディションはかなり落ちているようですね。顕著に見えるのは、今日のセットで唯一出続けている、ヨネと拓馬です。ヨネは見た目にも躍動感がなく、下を向いて元気なさそうなしぐさに見えるときが度々あります。プレー面でも、データを見たわけではないですけど、可動範囲が狭くなっている印象があります。それからコンタクト勝負で劣勢になることもあって、ヨネのボールロストからピンチを招くシーンが試合中に何度か見られます。

拓馬はドリブルにキレがなくなっています。シーズンインした頃は、ダブルチームを仕掛けられてもおかないましで縦にドリブルできていたのですけど、横スライドが増えています。チャレンジできるコンディションになっていないということなのでしょう。それから、これはコンディションの問題ではないのでしょうけど、拓馬がボールを持った時に、絡めるパートナーが近くにいない状況が頻繁に見られます。なので仕方なく攻撃エリアを変えようとするのですけど、それがタメ以上の時間、つまり遅延を生む原因になっています。

素人が遠目に見て感じることですので正確ではないと思います。それ以上の事情がおそらく現場にはあるのだと思います。なのでシフトや布陣の選択に対し、居酒屋やお茶会トーク以上の話をする気持ちはありません。ややこしいのは、それなりのクオリティの選手がそれなりに揃っていて、言い換えると突出した選手がいないということです。いかにも雑音や不協和音を起こしそうな条件ではあります。それはともかくも、平均以上の選手が揃っていてもACLとリーグの平行運用はやっぱりキビシイということなのでしょう。当初から心配していたことですけど、ACLとリーグの両方を狙いにいって、やっぱり息切れして、それでもなんとか芯はブレないようにして、今ここに至る、そんな印象があります。二兎を追ったことの是非はともかく、コンセプトを変えないことは良いことだと思います。願わくば、現場がクリアであっていてほしいと思いますし、可能な限り良いコンディションで臨んでほしいと思います。

もう一度、ヒロシ東京の攻撃のコンセプトをイメージしておきます。ゴール前でスペースギャップを作ること。2~3人がシュート体勢に入る準備をしておくこと。その上で、守備側に人ではなくボールを意識させる。そのために、サイドで人数をかけて、その連携でチャンスメークする。というわけで、アタッキングサードのより高い位置で基点を作れるかが、バロメーターです。

という基本プランを念頭に置いて最近の東京を見ると良くわかるのですけど、なにしろ問題は基点の位置が低いことです。シュートを打つ意欲がないのでシュートを打てないのではなく、シュートに至るプロセスを作れないのでシュートが打てないのです。ひとつにはプロセス、つまり攻撃パターンを作り出す工夫が足りないのが理由。もうひとつの理由は、攻撃パターンにバリエーションがないことです。高い位置でチャンスメークの基点を作るには、高い位置でポゼッションしなければなりません。そのためには高い位置でトランジションするか、高い位置で一次基点を作れなければなりません。さらにポゼッションモードに入ったら、前後左右、長短織り交ぜながら相手を揺さぶる動きを、ボール、人ともどもしなければなりません。今のチームのコンディションでこれができる好印象の材料がありませんし、同じコンセプトを通す限り、選手を入れ替えても効果はないでしょう。

不足している攻撃パターンのバリエーションは、単純に言うとカウンターアタックです。スタジアムに閉塞感があるのは、カウンターが少ないことも理由のひとつだと思います。川崎戦の前半は、今年のなかではスタジアムが沸いたほうだと思います。ファンにとっては、カウンターは分かりやすくて感情移入しやすいので、大好きですから。それはさておき、攻撃パターンにカウンターを加えるのは、今の基本プランから結構乖離するので、口で言うほど簡単ではないと思います。ボールの運びかたからして全然違うので、攻撃スイッチを押したときのコンセンサスをどうやってとっていくのか、難しい課題が残ります。ピッチ上で選手たちが判断すればいいのでしょうけど、それにしても基本プランがしっかりと確立された上ではじめて機能するのがオプションというものですから、肝心の基本プランがしっくりいっていない以上は、いっそ意図的に作戦をカウンターに固定しない限り、なかなかキビシイだろうなと思います。相太、バーンズ、宏太、容平と、あとたぶんムリキも、カウンターに向いている選手もラインナップされているので、志向を変えてみる手もあります。でも、この判断は、案外とてもとても難しいです。

というわけでポゼッション前提を基本として維持するとして、基点を作れない原因は中盤にあります。ボランチの球出しのタイミングとコースが安定しないことが、前線に影響しています。そして中盤のゲームメイクが安定しないのは、攻守のバランスを重視する、今年のヒロシ東京の根幹となる大基本コンセプトが最大の要因だと思います。前線の守備は、フォアチェックではなくスペースのケア、中央もサイドも縦コースを消すことを念頭にしていると思います。このため、サイドで基点を作られると、守備陣形を維持するために全体が下がり加減になります。3月までは、ボランチの一人が相手中盤のチェックに入り、今よりも積極的に縦に仕掛ける守備ができていました。このことで相手にホスピタルパスを助長させ、高い位置でトランジションできる下地となっていました。今はそれが見られません。

もうひとつは、SBの位置です。SBがセイフティに下がり過ぎているため、ボランチからサイドに出すパスが横パスに見えてしまうのです。これは、サイドエリアで前線と後方が分断されることを意味します。甲府戦の後半は攻撃に入ったときのSBのポジショニングが良く、二列目のラインで基点が作れていました。それが甲府を押し込めた要因のひとつだと思います。4-4-2のSBの難しさはまさにここで、極論するとSBのポジショニングが攻撃の良し悪しを左右すると言ってもいいと思います。

以上の課題が素人目に見られるのですけど、シンプルに言うとコンセプトがすべてのはじまりのような気がします。最近では川崎戦の前半、全北戦と甲府戦の後半が良かったのですけど、いずれも基本コンセプトからはずれ、点を取ることを優先した状況でした。つまり、今年のヒロシ東京は表現される様々なメッセージに反し、非常にコンサバティブなバランス志向だということです。なんとなく、あまりにも守備偏重で攻撃のバリエーションが無かったフィッカデンティさん体制からの極端な反動を嫌ったゆえだと思います。それに限られた戦力のなかでのACLの闘いを考慮して。くどいようですけど現場のことは現場にしか分かりません。邪推は良くないと思います。ただあの頃のヒロシと違うのは、サポートスタッフがいて、孤立しないような体制を作ってもらっているということです。それは、結果的に良いほうに出てはいないけど、コンセプトがブレていないことで確認できると思います。とりあえずACLです。このめんどくさい、やっかいなスケジュール期間を乗り切りさえすれば、もう一度コンディションを整えられるでしょう。そして、好き嫌いはともかく、リーグ戦は2ステージ制ですから。

以上、長々と当面の課題の私見を述べてしまいました。さて、ようやく今日の試合の話です。今日の試合は、福岡がシンプルゆえに、構図がとても分かりやすかったです。冒頭で井原福岡のコンセプトが変わったと言いました。ブレないヒロシ東京と対比するようでとても面白いところです。福岡は、コンセプトを変えることでチーム状態が向上していると思います。4月に入って、平成28年熊本地震の影響でひと試合中止になっていて、公式戦4試合で0勝2分2敗。いまだ未勝利ですけど、スコアはトータル0-2。ひと試合平均0.5失点と、守備が安定しています。これは、3月末ころの井原さんの発言から推測できるのですけど、守備を改善したためではなく、むしろ攻撃を改善したことが好影響をもたらしていると思います。

これまたヒロシ東京と相対するようでおもしろいのですけど、井原さんは選手をほぼ固定します。J1で闘うクオリティを維持するということでしょうけど、それにも増して、作戦が現有戦力から発想されているが故だと思います。4月に入ってからの福岡の闘いかたの基礎を築く選手は、言わずもがなですけど、ウェリントンと末吉とダニルソンと田村です。いわゆる、絵に描いたような中心線。

福岡の守備の基本は、バイタルエリアをシャットアウトすること。そのために、パサーの淳ではなくクラッシャーのダニルソンを使うようになりました。今日も再三見られたことですけど、バイタルエリア中央にドリブラーが入ってくると、ダニルソンが背後から浴びせ倒し風のプレスでつぶしにかかります。東京の攻撃が機能しなかったのはバイタルエリアで基点を作れなかったためですけど、あえてバイタルエリアにおびき寄せておいて、ボスキャラダニルソンに跳ね返させる福岡の守備作戦にはまったということでしょう。さらには、ゴール前の中央にフィジカルに優れた田村を置くことで安心感を得ていると思います。今日も相太のポストに田村が体をはり、相太を自由にさせませんでした。

そして攻撃です。福岡の攻撃はほぼワンパターンで、ウェリントン狙いです。3月までのウェリントンは前線でポストするイメージでした。これはボランチに末吉と惇を置いていたことからも伺える通り、中盤で左右にパスを散らす、ある程度のビルドアップを志向していたためでしょう。でも今は、ロングカウンターに完全に割り切ったと思います。このことがチームにコンセンサスを生み、愚直に同じくことを繰り返すモチベーションを与え、それが好循環に結びついているのでしょう。ウェリントンは、後方からのフィードをほぼフリックで流します。ゆえに受け手が重要になります。金森がつねにウェリントンの傍にいるだけでなく、フィードが上がると城後が上がってきてウェリントンをカバーします。この二人がウェリントンをオーバーして、最終ラインの裏に抜け出すイメージです。

福岡の攻撃は左サイド偏重です。實藤が攻撃参加することはあまりありません。ウェリントンのフリックから高い位置で基点を作り、相手を下がらせます。その間に亀川が上がってきます。金森、あるいは末吉との絡みで、亀川をフリーで抜け出させ、勝負させる意図だと思います。右は城後が流れるか、末吉の高精度の長めのクロスです。

福岡の攻撃は、愚直ゆえ、延々同じことを繰り返し続けることで、ジャブのような威力を持ちます。ウェリントンは中央のモリゲ、まると対峙したり、サイドに出て徳永、諒也を狙ったりと、ポジションを頻繁に変える工夫を見せますけど、基本的にはターゲットであることには変わりありません。90分間という長い時間のなか、どこかでふと、ひと試合に1、2度ビッグチャンスが訪れます。

そのチャンスをゴールに結び付けられる集中力と繊細さが、勝敗を分ける分岐点なのだと思います。福岡の光明は、そしてやっぱりセットプレー。4月に入ってチームが改善するのとは逆に、コンスタントに得点していたウェリントンのゴールが途絶えています。当然相手のエースディフェンダーがつきますからマークが厳しくなっているのでしょうけど、スタンディングの状態から強いシュートを狙えるフィジカルを持つウェリントンは、分かっていてもセットプレーの驚異です。というわけで、今日の趨勢は、前述のとおり東京の攻撃が惨憺たる内容でしたから、福岡の愚直が花開くタイミングが有りや無しやにかかっていると言っていいと思います。

今日の東京の狙いは、割合順目です。亀川の背後です。広貴を今日はサイドにはり気味に置いて基点にし、その前方にバーンズを走らせます。序盤はこれが機能するシーンが何度かありました。ただ、時間とともに堤が粘り強い対応を見せ、相太vs田村、拓馬vs實藤というそれぞれのマッチアップの粘りも相まって、次第に東京は、福岡の粘着質なクモの糸に取り込まれます。

東京は状況打開策を用意していました。たとえば左サイドでビルドアップしている時に広貴が逆サイドから加わります。つまり両メイヤが同サイドで被る冗長構成になります。数的優位を作った上で、バイタルエリアで逆サイドのメイヤを基点として使うことで、前線の動きを複雑化する意図も込めていたと思います。でもこれも、ダニルソンが基点作りを許してくれません。前半はスコアレスのまま終了。

後半開始も、甲府戦の時と同じく、ずいぶん改善が必要に思われた攻撃も、見た目にはあまりアジャストがありません。当面、能動的に取れそうな打ち手は、SBの位置を上げることと、アタッカーが裏を狙うこと、それからダニルソン対策で、ダニルソンに囮をつけることかなと思っていました。ただ点数的にはイーブンなので、慌てて先に動く必要はないということでしょう。

ただ、ヒロシは甲府戦より少しはやく見切ります。バーンズに代えてムリキを同じくトップに投入します。ムリキの役割は甲府戦と同じです。相太を前に残してムリキが下がる、トップが縦配列になります。そしてムリキにボールを集めます。ムリキ大作戦の発動であり、同時にダニルソン対策です。ちょうど甲府戦の後半に見せたようにバイタルエリア中央にメイヤを並べて、ダニルソンのエリアに人数をかける手もあるのですけど、ヒロシは逆にムリキ一人に相手を集中させ、その他のエリアで数的優位を作ろうという意図だと思います。

これが、今日もはまります。ムリキは一定の時間無理が効くくらいにはなっていますね。作戦上の効果もさることながら、ムリキにボールが入ると、スタンドのワクワク感も出てきます。やっぱり単独でグリングリンとドリブルで進める選手は、観ていて楽しいです。もうちょっとコンディションが上がって、ウルトラマンのような時間制限がなくなって、しかもドリブルで突破できるようにまでなってくれたら、ムリキ大作戦がチームを改善の方向に向けて引っ張っていってくれるような気がします。だから、ゴールだけ。はやく。

アタッキングサードで希望が持てるようになった矢先、恐れていた事態が起きます。

61分。末吉の長めの右FKから。東京はゾーンとマンマークのハイブリッド。ストーンはニアに相太ファアに徳永。マークは中央のウェリントンはモリゲ、田村はまる、城後は諒也、金森は梶山が見ています。ニアにダニルソンがいてヨネがみます。密集から離れたところにニアに堤がいて広貴、ファアの為田はフリー。末吉のクロスは例によってウェリントンに合わせます。ウェリントンの前にモリゲが入ってクリア。これが右サイドに流れます。ニアにいたヨネよりはやくダニルソンが追いつき、後方の末吉に戻します。一度ブレイクしたため、城後は戻り加減で、ペナルティエリア内はウェリントンと田村と金森だけ。東京がセットを崩してなかったので、6on3の完全な数的優位です。末吉にフリーでパスが渡るのを見て、田村と金森はニアに入ります。これに諒也と梶山がついていきます。相太はニア残り。まるがブレイク後にニアに流れていました。徳永もファア残り。つまり、数的優位でありながら、実質モリゲとウェリントンのガチマッチアップの状況が作られていました。末吉はハイロブで高いところから急降下するクロスを上げます。まずこのクロスが秀逸でした。モリゲとウェリントンのマッチアップで、唯一最大のモリゲのウィークポイントは、物理的な高さです。ウェリントンはそこを狙います。前に入るモリゲに対しウェリントンが左から入って右ひじでワンプッシュを仕掛けます。そのためモリゲは末吉のクロスの落下点よりやや前方に押されるかたちになります。モリゲはこれでジャンプのタイミングを逃します。モリゲがもどかしくも成す術なく見送るクロスが、ウェリントンの頭にぴたりと納まります。モリゲには時間が止まったように思えたでしょう。末吉とウェリントンの絶妙なコンビネーションと細やかな技術が生んだゴールです。東京0-1福岡。

失点を受け、ヒロシが動きます。梶山に代えて草民を同じくボランチに投入します。コンダクターではなく、よりクローズドなプレーを積み重ねていくという意図だと思います。中盤をフレッシュにして、ダニルソンにスピードで勝ろうともしたのでしょう。同時にモードがアグレッシブになります。SBの位置がようやく高くなります。諒也がアタッキングサードで仕事する機会がやっと見られるようになります。威力のあるクロスがゴール前に供給されるようになります。それでもそのくらいのシフトアップは、自信をつけてきているであろう福岡の守備陣を崩すほどのマジックはありません。

さて、井原さんが動きます。金森に代えて平井を同じくトップに投入します。たぶん、この辺りから井原さんは勝利をイメージしはじめたと思います。後ろを固めるのではなく、あえて前線をフレッシュにするのは、常套手段とは言え、井原さんがクロージングに入っているのが伝わりました。今年これまで無かった流れなので、井原さんも静かにドキドキしたでしょう。

すぐにヒロシが動きます。広貴に代えて遼一をトップに投入します。ムリキが左メイヤに入り、拓馬が右に回ります。ひさしぶりにツインタワーです。CBを分断し、マンマークに持ち込むことで二列目が入るギャップを作る意図だと思います。ターゲットが増えるので、一次基点が安定する効果も狙っていたと思います。

そこで井原さんが対処します。いよいよクロージングです。實藤に代えて濱田を投入します。同時にシフトを3-4-1-2に変更します。濱田は右CBに入ります。城後がひとつ下がって右WB。トップ下は為田。濱田が遼一、堤が相太を見るフルマンマークです。福岡の当初のシーズンプランですので、違和感はなかったでしょう。最初に前線を変えてチームのバランスを保ちながら、最終盤に来て守り切るメッセージを送ります。

井原さんが畳みかけます。ウェリントンに代えて中原を同じくトップに投入します。前線をフレッシュにして、東京のポゼッションの起点になるボランチとCBを追い立てる意図だと思います。

そこまで勝利の方程式を慎重に積み重ねてきた井原さんがびっくりする事態が後半アディショナルタイムの最後の最後に起きます。拓馬の右アタックからのクロスが末吉の手に当たってPKです。しかし、モリゲのシュートはクロスバーに当たってしまいます。いつものPKシーンとは全然違って、遠目にもモリゲがすごくナーバスに見えました。いつもは周囲がどうだろうとPKの場所にひとり居て集中しているのですけど、今日はなかなかゴールエリアに入ろうとせず、懸命に集中しようとしてました。モリゲはどこか、扇谷さんに土壇場でオマケのようにいただいたチャンスに臨んで、自分自身に対し、こころから納得できてなかったんじゃないかと思います。失点に直接絡んだ責任感で溢れていたでしょうから。モリゲの様子があまりにも普通じゃなかったので、きっとモリゲは拒否するでしょうけど、誰か変わってあげるべきだったかなと思います。いろんな意味で今日はモリゲが背負い過ぎました。

個人的には、誤解を恐れずに言えば、負けてこそ見えてくることがありますので、むしろ入らなくて良かったと思いました。結果的にドローになった甲府戦から、見た目にはポジティブなアジャストが無かったのは、現場にどんな事情があるかわからないけど、やっぱり客観的には良い印象は持てないですから、中途半端な結果は良い影響をもたらさない場合もあると思います。

これがラストプレーになりました。このまま試合終了。東京0-1福岡。

今日の結果を観るまでもなく、すでに課題は見えていると思います。ただ如何せん、繰り返しますけどACLの異常な日程は、チームをきちんとアジャストするにはタイト過ぎます。プランを変えようと思ってもままならないまま、中心線はできるだけ代えず、その都度コンディションの良さそうな選手を使うという対処をしてきたのでしょう。

それもこれも、とにかく次のACLグループステージ最終戦でいったん区切りです。結果がどうあれ、次の公式戦まで10日ありますから、心身のリフレッシュとチームのコンディションアップにしっかりと良い時間を過ごしてほしいと思います。

とはいえ、まずは3日に勝ってから。すべての苦労はグループステージ突破のために耐えてきたのですから、なんとしてでも勝って帰ってきてください。


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