ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2016J1リーグ2ndステージ第15節FC東京vs鹿島アントラーズ@味スタ20161022

2016-10-23 19:06:23 | FC東京

リーグ戦のホームマッチは先月の浦和戦以来ですから、はやもう一月以上経ちます。季節はすっかり秋が深まってまいりました。

先週はサッカー観戦にもってこいの快適さだったのですけど、ひとつ週を経ただけで、ちょっと肌寒く感じます。

Jリーグも残り三試合。CSのせいというか何というか、今年も、まだ秋だというのに、もうシーズン終了を迎えます。本日迎えうつは、あれまだ残ってたのね感のある、鹿島です。そういえば1stステージ優勝してましたね。今月はリーグカップが中心で鹿島は存在感が希薄なので、すっかり忘れてました。本日のYou'll Never Walk Alone♪。新チャントはBring It On Down♪

我々のキッズチアに応援を被せてきた非礼の報いを受けよと、東京が終始圧倒しての快勝です。

東京は現時点のベストメンバーです。シフトは4-2-3-1。GKは秋元。CBはモリゲとまる。今日のSBは右に拳人左に室屋。ボランチは梶山と草民。WGは右に広貴左に翔哉。トップ下は慶悟。1トップは遼一です。

鹿島は三週間ぶりの公式戦です。さすがにこれだけ長く開くと影響が心配ですね。中断の間に昌子が復帰です。今日は満男がオプションスタート。今日のシフトは鹿島本来の4-2-3-1。GKは曽ヶ端。今日のCBは昌子とファン・ソッコ。SBは右に伊東左に脩斗。今日のボランチは岳と永木。WGは右に康左に初スターターのファブリシオ。トップ下は聖真。1トップは夢生です。

今日の東京は、鹿島に対し鹿島みたいなサッカーで臨みました。想えば、今日のために鹿島モデルにしたというよりかは、篠田東京の闘いかたを振り返ると、当初より鹿島のサッカーをモチーフにしていたような気がします。

鹿島のサッカーの真髄は、ゴール裏から見たほうがよく分かります。それは、アタッカーのクリエイティブな流動性にあります。そして、それを支える守備力。

守備に関しては、個々の技術の巧みさとコレクティブな連携の高さはもとより、真の鹿島らしさはコンタクトの激しさにあると思います。これはJの上位チームに共通していることですけど、鹿島の選手のコンタクトは、とくに上手くて強い印象があります。なかでも中盤のコンタクトは、鹿島の守備の核心です。中盤で相手の攻撃をしっかり止める、あるいはコントローラブルにしているからこそ、全体の守備の安定につながっているのだと思います。

攻撃は、伝統的にサイドアタック基調です。サイドにボールを持てる選手を置き、アタッカーとSBとの絡みでサイドを崩し、中央に有効なクロスを供給するのが基本的な攻撃プランです。サイドのタレントは質量ともに豊富で、個性が異なる選手が揃っています。大別するとドリブラーの優磨、充孝。オーガナイザーの康とファブリシオ。基本的には、左右のWGはタイプの異なる選手で組み合わせることが多い印象があります。ドリブラーにしろオーガナイザーにしろ、ボール保持能力とゴールを目指す意識が非常に高いのが鹿島の特長です。つまり、高いディシプリンによるコレクティブネスが強みな印象がある鹿島ですけど、基本的には個のタレントの積み上げによるケミストリーを重視していると思います。

さて、現在の鹿島や如何。端的にいうとつまんなくなってます。鹿島モデルのサッカーをなぞっているのですけど、鹿島イズムが感じられません。鹿島モデルを振り返ってみて、鹿島という主語を他のチームに置き換えても違和感は無く感じないと思います。つまり鹿島のサッカーは、本質的にはとてもオーソドックスです。ですから、鹿島イズムの真髄は、オーソドックスなサッカースタイルの、その奥にあるのです。今の鹿島にはそれが足りません。

守備面では、ディシプリンの高さが前提になるのですけど、鹿島らしくなくミスが目立ちます。直接のマッチアップでのミスというよりかは、ゾーンでのマークの受け渡しがあいまいになるシーンがあります。もっと気になるのは中盤の守備の強度です。コンタクトが甘いというわけではなく、鹿島らしくガツガツきます。でも、効いてないのです。ダークさが足らないというか、全体的にクリーンな印象が残りました。どちらかというとゾーンに意識の加重があって、ボールホルダーに対する反応が、少し遅れていたように感じました。

攻撃は、ポストカイオの影響が強く残っているのではないかと思います。鹿島の復権はカイオなくしては有り得ません。つまり、やはり鹿島の攻撃は、タレントのクオリティが優位性を作っていると言っていいと思います。最近の鹿島を観ていないので確かではないのですけど、布陣を観る限りは、カイオと同じ役割を担う選手を左WGにはめるのではないようです。メイヤに康と岳を配置することが多いようですので、ドリブラーウインガーによるオラオラなサイドアタックではなく、高い位置で基点を作るポゼッションスタイルへの変更を模索しているのかもしれません。いずれにしろ、岳を前線で使うということは、現在のWGのラインナップではポストカイオには資さないということを表わしているのだと思います。

それから、サイドアタックの前提となるポストプレーの強度が不足しています。夢生にしろ聖真にしろ、ポストが安定しません。どちらかというと、バイタルエリアを広範囲に動いてスペースメイクする聖真がポストを担うことが多いようです。夢生が中盤に下りてくると最終局面での仕事ができなくなるからだと思います。むしろ聖真の魅力こそ、最終局面でのセカンドシューターだと思うので、役割が逆のような気もします。最近は夢生と赤崎の2トップを試すことのほうが多いようなので、今日布陣を変えてきたということは、やはり前線の攻撃の組み立てに大きな課題がありそうです。

つらつら述べてきたように、ようするに今の鹿島は、鹿島らしい強度が足りません。強度とは、守備局面でのコンタクトの強さだったり、いやらしさだったり、リスクを予見する状況察知能力だったり、そういうディテールにらしさが感じられないということです。また攻撃では、鹿島らしいオープンワイドで沸き上がるような迫力を生むタレントがいないということです。課題が明確なのは鹿島らしいと思います。鹿島が徹底してサッカースタイルを変えないからこそできることです。でも、とても難しい課題だと思います。復権したように見えたけど、まだまだ再建途上というか、ようするに育成の過程なんでしょう。

今日の試合の流れを作ったのは、ベースとしては鹿島の低調さにあると言ってよいと思います。理由はそれだけではありません。むしろ東京にあります。冒頭で述べましたとおり、東京は鹿島モデルで臨みました。そして、そのクオリティは鹿島を上回りました。

東京が取り組む鹿島モデルのポイントは、あえて長々と鹿島のサッカーを振り返ることでお分かりいただけたと思います。ようするに今日の東京は、中盤の守備強度において鹿島を上回り、攻撃のクリエイティビティにおいて鹿島を上回りました。攻守に本家を上回れば、勝つのは必然。

守備に関して鹿島と明確な違いがあります。東京は前線が献身的にチェイスを繰り返します。曽ヶ端やソッコがフィードをミスするシーンが序盤にありましたけど、東京のチェイスの深さと鋭さが要因です。秋元が追い込まれることがなかったことと比べると、東京のアタッカーの献身の高さが見てとれると思います。前線が守備の流れを作ってくれることで、中盤から後ろの選手も鹿島の攻撃ルートがよく見えたと思います。鹿島のポストが不安定だった理由は、ここにもあります。

それから東京は、攻撃面でも今日の本家を上回ります。東京はシンプルな攻撃プランで臨みます。左右のサイド深くをターゲットに、縦に速い攻撃を仕掛けます。鹿島の守備網がコンパクトで、かつ高く布陣することを踏まえた作戦です。これにより、東京は力強い縦への推進力を自ら主体的に手に入れることに成功しました。篠田東京は、どちらかというとリトリート基調でしたけど、カップ戦の結果を踏まえ、よりアグレッシブなスタイルへの変質を探っているのかもしれません。

興行面でも有意義なことだと思います。今日は、もちろん勝利したことが一番なのですけど、全体的にとても面白い試合でした。東京、鹿島ともオープンで、かつ攻守の切り替えが非常にはやく、飽きのこないスピーディーな展開でした。四万人近いお客さんのなかには、今日初めて味スタにお越しのかたも多かったと思います。普段は二、三万ですから。初見のお客さんにとっては、分かり易くダイナミックなサッカーのほうがうんと面白いでしょう。子どもを見ていると試合の面白さのバロメーターになるのですけど、今日は小さな子どもでも最後まで飽きずにいたようです。途中でゲームをはじめたり遊んだりするような子は、珍しくいませんでしたから。長く厳しいシーズンを闘うプロですからいつもエンターテイメント性の高い試合をするわけにはいけないけど、価値観のひとつとして、スピーディーで面白いサッカーを志すのもアリかもしれません。

こうして、同じモデルのサッカーのぶつかり合いは、前線から中盤にかけての守備の強度と、攻撃のクオリティで勝る東京がイニシアチブを握ります。そして、この展開を象徴するような先制ゴールが生まれます。

14分。アタッキングサード中央で草民と遼一がタベーラを試みますけど、ソッコがインターセプト。岳に渡します。岳は下がってきた聖真に当てる縦パスを送ります。これをモリゲが狙っていました。コンタクト一発で聖真をぶっ飛ばしてあっさりとインターセプト。前方の翔哉に渡します。鹿島は守備網を上げてなかったので、翔哉はどフリー。ターンしてドリブルをしながら状況を確認します。この時最前線では、中央にいた慶悟が昌子とソッコの間から、ソッコの背後を狙って飛び出そうとしています。さらに右大外から、広貴が修斗の背後を狙います。永木のプレスを引き付けながら翔哉は左から中央に移動。これで修斗も引き付けます。このため、広貴はファブリシオとのマッチアップになります。翔哉はファブリシオの背後のスペースにスルーを送ります。この時ファブリシオが謎のセルフジャッジで反応を止めます。当然広貴はフリーで抜け出します。広貴は曽ヶ端との間合いをはかり、左足で流し込みました。東京1-0鹿島。

通常、篠田東京は、少し過度に思えるほどリードするとコンサバティブになります。昔からの東京の課題で、リードした際のゲームコントロールの稚拙さが言われてきました。フィッカデンティ体制で課題を克服してきたのですけど、その名残が過剰なメソッドとしてチーム心理のなかに残っているのかもしれません。今日は、ひきこもりません。序盤からのアグレッシブなサッカーを継続します。この点では、鹿島モデルの完成度は、やはり本家にはまだまだ及ばないようです。あるいは、本家のフルコピーというよりかは、鹿島モデルをベースとした新しいサッカー、言わば源氏物語の複写のような、鹿島モデル東京本の構築を目標としているのかもしれませんね。フォアチェックや縦に速いサイドアタックなどに、その片鱗が伺えます。今日は、リズムを変えなかったことが奏功しました。先制後も攻撃権を含めてイニシアチブを握り続けます。

ここで東京にアクシデントです。広貴が足を痛め下がります。代わって宏太が同じく右WGに入ります。言わずもがな、流動性にダイナミズムを生む最大の原動力である広貴が下がることは、攻撃のクオリティに影響することを心配しました。でも今日は比較的縦に急ぐサッカーをしていましたので、宏太も違和感なく入れます。宏太は攻守にアグレッシブですから、その点でも今日の展開にフィットしていたと思います。

前半は、物理面実質面双方で完全に東京がオーガナイズしたまま終了。

後半頭から石井さんが動きます。康に代えて優磨を同じく右WGに投入します。

東京で唯一気になったのが、今日は左に入った室屋です。今日はマッチアップの構図が比較的はっきりした試合でした。互いにシフトが一緒ということもありますし、局面での攻防を重視するサッカーだからだと思います。室屋とのマッチアップは康。室屋は康との攻防に苦労していたように見えました。いつもはコンタクトで負けることがない室屋ですけど、康のゴツンとした当たりに弾かれるシーンが目立ちました。スペースの守備でも後手を踏むことがあり、もしかしたら室屋は、試合の趨勢を握るポイントになるかもと心配していました。その康が下がったので、大きな懸念が無くなりました。今日のWGのセットは左右ともオーガナイザーなので、攻撃の推進力が不足していたことが石井さんには違和感だったのかもしれません。さらには、室屋をもっと守勢に回すために、シンプルなウインガードリブラースタイルの優磨でゴリゴリ押し込めようという意図かもしれません。結果的には、室屋の攻撃参加の回数が増えました。一方の優磨もアシストを決めましたから、この作戦は痛み分けだったかもしれません。

鹿島は、岳と永木を左右入れ替えるシーンもありました。流れというよりかは意図だと思います。岳と永木は役割を分担していて、岳が前に出て永木がサポートします。なので岳は攻撃のハブであり、永木は左右にパスを散らすスイーパーです。スタートの岳は右に入っていました。ちょうど翔哉とマッチアップするかたちです。

前半は、その翔哉が躍動しました。翔哉を基点に、アイデア溢れるクリエイティブな仕掛けが次々と繰り出されます。ひとつには、東京が仕掛ける前線からのチェックを基調としたアグレッシブな守備のため、もうひとつは前に出ることの多い岳のポジショニングのため、鹿島はボランチの前後にスペースが出来ていました。東京はここを見逃さず、有効活用します。遼一のポストが非常に安定していました。慶悟もバイタルエリアの各所に顔を出して、攻撃のリンクマンとしてアクセントになっていました。そして、最終兵器翔哉のためのスペースを、東京がチーム全体で作れていました。

秋に入っての東京が、勝敗の結果はともかく、攻撃そのものに迷いがなく見えるのは、やはりエース翔哉の存在が大きいと思います。まず翔哉自身が自分のドリブルをコンペティティブなレベルに高めたことがもちろん最大の要因です。その翔哉の高い信頼性に基づき、チーム全体が翔哉を目標に出来たことも攻撃の基本プランを形成できた要因でしょう。

鹿島は、中盤のアジャストで翔哉を止めることに成功します。それでも東京の攻守のアグレッシブさを止めるには至らず、相変わらず有効な攻撃を見せられません。そこで石井さんが動きます。ファブリシオに代えて充孝を同じく左WGに投入します。石井さんは辛抱強くファブリシオの開眼を待ったようですけど、しびれが切れたのでしょう。

それでもなお、鹿島に躍動感と強さが生まれません。さらに石井さんが動きます。聖真に代えて満男を投入します。同時にシフトを4-4-2に変更します。満男はボランチに入ります。岳が右メイヤ。2トップは夢生と充孝。長い中断の間に、鹿島オリジナルの4-2-3-1への回帰をはかったのだと思います。でも今日のセットでは、中盤の強度がやはり不足していたし、聖真の攻撃での負担が過剰だということでしょう。

これで鹿島が押し返してくることが想像されましたので、スミイチはなんとも不安だなと思っていました。でも今日の東京には、もうひと押しがありました。

84分。アタッキングサードにかかる辺り、左寄りの宏太のFK。東京はゴール前に集合するパターン。モリゲ、遼一、まる、拳人、慶悟、梶山。鹿島は昌子、ソッコ、修斗、永木、満男、夢生がマーカー。ストーンは壁に充孝と優磨。集合エリアの前に伊東です。宏太はニアに送ります。そこに遼一が飛び込んで合わせるパターンです。遼一はマーカーを振り切って右足で合わせますけど、曽ヶ端の正面。曽ヶ端が弾いたボールは落ち着かず、モリゲの前にこぼれます。モリゲはシュート。これも壁にはばまれますけど、クリアに至らずこぼれます。これを遼一が右足を巻き込み加減でたたき込みました。東京2-0鹿島。

このままアディショナルタイムに入っていき、スタンドも勝利へのプロセスに入るムードになってきたところで、ようやく鹿島が逆襲します。

後半アディショナルタイム+1分。東京陣最深部の伊東のスローインから。優磨が室屋を背負って伊東のスローを受けます。優磨は加重移動のフェイクで室屋をズラします。おそらくまったくゴール前を確認することなく、ままよどうにかなりまっしゃろクロスを強引に送ります。このときゴール前は守備網が出来ていましたけど、拳人の後ろから修斗が飛び込んできていました。拳人はボールを見ていて、修斗の動きに反応できません。フリーの修斗は頭で合わせました。東京2-1鹿島。

守り切れない課題は、今なお残るということでしょう。それにしても、追加点の重要性を再認識させられます。一点を守る闘いよりも、アグレッシブに闘い続けるスタイルのほうが、今の東京には合っているような気がします。

篠田さんが〆ます。翔哉に代えてバーンズを投入します。同時にシフトを4-4-2に変更します。バーンズはトップ。慶悟が左メイヤに回ります。攻撃モードに入った鹿島に、背後の脅威を植え付けることと、ボールを持てる選手を前線に置く意図だと思います。

攻撃モードの鹿島に対しても、東京は落ち着いていました。このまま試合終了。東京2-1鹿島。眠らない街♪遼一のシュワッチ広貴のシュワッチ

まだまだ未完成ながらも、鹿島モデルをモチーフにした篠田東京のサッカーは、その方向性が見えてきたような気がします。翔哉依存のサッカーに心配があったけど、鹿島と対戦してみて、結局攻撃のクオリティは鹿島であってもタレント次第なのだということが良くわかったので、翔哉という信頼性の高い魅力的なタレントを軸にしない手はないなとあらためて思いました。

今日は、鹿島モデル同士のガチのぶつかり合いになったので、単純にクオリティが高い東京が勝ちました。サッカースタイルが異なるチームとの対戦では、勝敗を分けるクリッピングポイントが変わってきますから、来年リーグ戦を征するためにはまだまだ課題を見出していく必要があるでしょう。シーズンも残りわずか。天皇杯でどこまで勝ち上がれるか分からないけど、ひとつ一つの試合が来年に向けての重要なテストの場になります。サウダージな季節だけど、しっかりと見守っていきたいと思います。