ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

とと姉ちゃんロケ地の旅 ―20160918 千葉―

2016-10-01 02:41:11 | 連続テレビ小説とと姉ちゃん

なんだかすっきりしない9月なかば。

飛び石連休はオセロをぜんぶひっくり返して遅い夏休みです。

ひさしぶりに再開します。そしてこれが、今日最終回を迎える前に、ラストにもなります。とと姉ちゃんロケ地巡り。とと姉ちゃんはロケの少ない作品でしたね。あなたの暮らし編(目黒編)は結局一度もロケがありませんでした。

なので、ひさびさ再開も、懐かしのシーンを巡ります。今回のメインは千葉ですけど、まずは東京から。日本橋兜町でございます。みずほ銀行兜町支店です。

ちなみにこちらは、旧第一銀行跡。日本の銀行発祥の地です。

みずほ銀行の建物のの高速側の路地を入ります。

東京証券取引所の手前に見えます。

それではさっそくロケ地巡りをはじめます。「鞠子の大学進学のため、常子は高級取りのタイピストを目指す特訓を続けていました。そして、いよいよ就職試験の当日」。とと姉がタイピストの試験を受けに来た鳥巣商事のビル。

「昭和十二年 四月。常子は、職業婦人として、初めての朝を迎えました」。山二証券です。

「女学校を卒業し、タイピストとして商社に就職した常子。ようやく回ってきたタイピストの初仕事に張り切っていたのですが…」。

「タイピストになり3週間が過ぎたこの日、常子のもとに待ち望んだものがやって来ます」。

では、今回のメイン、千葉に向かいます。東関道を成田ICで降りて、国道295号線から408号線、成田安食バイパスを通って、まずやって参りましたは、ロケの名所、千葉県立房総のむらです。

朝ドラでは花子とアン以来ですね。

ちょうど稲穂祭りをやっていまして、ぼうじろーが迎えてくれました。

エントランスを入ってすぐ左にある商家の町並です。

「どういう事ですか? さっきの。下川屋さんとの取り引きはやめにした」って」「めんくらったかい?」。とと姉と滝子さんが人力車に乗っていた街路。

「浅草に遊びに行ったっていう話を聞いただけなのに…」「最近、どこの旦那衆からも、下川屋の二代目と遊んだって聞くからさ。やっぱり道楽者の放蕩息子に違いないって思ってね。そんな奴が店を継ぐんじゃ先は見えてる。やけどしないうちに、手を引くのが一番さ」「確かに…。なるほど、そうか! おばあ様のお仕事って、つまり、ああやって世間話しながら情報を集めて、先行きを判断していく事だったんですね」。

「アッハハハハハ!」「ま…間違ってましたか?」「いいや、大当たりさ。大した子だよ、あんたは。アハハハハ! アハハハ…」。

「君子は、浜松で何をやって食ってたんだい?」「染め物工場で女工を」。

「給金は? 十分もらえてたのかい?」「いえ。でも、父が亡くなってからは、職場から援助して頂いていたので、何とか…」。

「一歩間違えば、あんたら親子も路頭に迷っていた訳だね」「はい」。

「何の力もない女が生きていくには、厳しい世の中って事さ。ごくごく普通の暮らしすらままならない」「普通の暮らし…」。

「私はね、その普通の暮らしを守る事が、自分たちの仕事だとも思ってるのさ。だからいい木を売って、何があっても壊れないような家を造る。それが私らの仕事の、やりがいというかね。意地みたいなもんなんだ」「すてきなお仕事ですね」「やめとくれ。そんな事を言わせようとして言ったんじゃないよ」。

「いや、心からそう思ったんです。父も、日常が、何より大切で、いとおしいと、言っていました」「そうかい」「はい」。

「行こうか」。

「それからの常子は、商売になりそうなものはないか目を光らせるようになりました」「それは、女学校の帰りでも」。鉄郎おじさんにたきつけられたとと姉が事業をはじめるためにフィールドワークをしていた商店街。

「あんぱんかな」「あんぱん。どんなからが買っていかれます?」。

「すいません、何を並んでるのですか?」「揚げ餅きなこ」。

「すいません、一つくださーい」「順番だよ。並んどくれ」。

続いて園の北側エリアに向かいます。ちょっと歩きます。農家のエリアの一番奥、安房の農家です。

「着物なんかいらねえよ。仕事の邪魔だ。はやく東京に帰れ」。

「お願いします。あの、着物と食べ物交換していただけませんか?」。とと姉と鞠ちゃんが買い出しに来てた農家。

「どうせ安もんでしょ?」。とと姉と鞠ちゃんが交換をお願いしてた炊事場。

「着物だけじゃなくて、万年筆もあります」「そんなのいらないわよ。みんないろいろ持ってくるから、有り余ってんのよ」。

「ここなら交換してもらえるんじゃない?「そうね」。

「こんにちは」「おうちの人、いる?」「おじいちゃーん」「おーい」。

「ねえねえ何してるの?。おもしろそうね」「ぜんぜんおもしろくない。他に遊ぶものないだけ」「そか」。

「どちらさん?」「あ、あの。すいません。あの、食べ物を分けていただけないでしょうか?」「ああ、いいいい。着物や小物なら、売るほどある」。

「せめて見ていただくだけでも」。

「あのなぁ、大事な作物と交換するんだ。値打ちがあるもん持ってきてくれ」「値打ちがあるものですか?」「そうだなあ…。孫が喜ぶようなおもちゃないか? それなら、交換してやってもいい」「おもちゃですか…」。

「常子は再び千葉の農家を訪ねました。今回は美子もともに」「これなんですが…」「うわ~」「ほら、おもちゃだぞ」「これ全部もらえるの?」「ああ、全部もらえるんだ」「すご~い」「よかったな」「うん」。よっちゃんのおままごと道具を譲り渡した農家。

「よっちゃん」。

「楽しんで使ってね」「うん。ありがとう」「どういたしまして。見て。これね、蓋が開くの」「すご~い」「すごいでしょ。あとは…」。

次は、安房の農家の隣にある上総の農家です。こちらは今放送中の夏目漱石の妻のロケ地でもあります。

「昭和19年、常子たちが深川を離れ、2年余りの歳月が流れていました。開戦から3年ほどを経た太平洋戦争は、アメリカ軍が既にフィリピンまで迫り、日本は窮地に立たされていました。国内の物資不足も深刻化し、常子たちは、物々交換で農作物をもらおうと、千葉へ出かけていきました」。

「どこもかしこも厳しいわね」「ねえ…」「ん?」「うちにあるあれなら、交換してもらえるんじゃない?」「あれって何の事?」。物々交換を断られたとと姉と鞠ちゃんがトボトボ歩いてた畑。

「おままごと道具よ」「ああ…。でもあれはよっちゃんがおばあ様に頂いた大切な…」「けど…他に何かある?」「よっちゃんが何て言うか…」。

「よかったよかった。かかも喜ぶわね」うん」「でも、こんなにもらえるなんて思わなかったね」「そうね」。おままごと道具を野菜に替えた小橋シスターズがトボトボ歩いてた畑。

「よっちゃん?」「うん?」。

「おばあちゃまは… 私たちのためにくださったのに…。いろんなものが無くなっちゃった。森田屋の皆さんは高崎に行っちゃったし、おばあちゃまはお店をやめてしまったし。まり姉ちゃんだって、小説家諦めて工場で働いて。全部戦争のせいよ」。

「よっちゃん…」「ごめんなさい。泣かないつもりだったのに」。

「ううん」。

房総のむらに続いて、次はいよいよとと姉ちゃんロケ地巡り最後の地に向かいます。飯高寺です。

こちらもロケの名所ですね。今放送中の忠臣蔵の恋のロケ地でもあります。駐車場は麓の南駐車場と山上の北駐車場があります。ロケ地に近いのは北駐車場です。道が狭いのでご注意ください。

駐車場からこちらに向かいます。

ここを右です。

すぐに飯高寺講堂の裏手に出ます。それではとと姉ちゃんロケ地巡りラストです。

「東京に来てから、数多くの仕事先を回った君子でしたが、依然として職に就く事が出来ずにいました」。君子さんが就職祈願していたお寺。

「常子! いけません! こんな夜中に出歩くなんて」。君子さんが心配になってとと姉が見に来たお寺。

「すみません。かかが出ていくのが見えたので。気になって」。

「ここには、昔からよくお参りにきてたの」「何か、悩みがあるという事ですよね? 女学校の学費の事ですか? おばあ様の家を出たという事は、もう援助は…」「私が、何とかします」「でも、森田屋さんのお給金だけでは…」「平気よ。内職を見つけて夜も働けば」。

「では、かかはいつ寝るんですか?」「美子が卒業するまでの辛抱です」「それまでに、かかの体が壊れてしまいます」。

「そのとおりでさぁ!」。

「隈井さん…」「お姿が見えたもんで、ついね…。あの…今、女学校の学費がどうのこうのって…。ねえ、そのお金、あっしに出させてもらえませんか?」「隈井さん?」「お願いします」「隈井さんには、奥様がいらっしゃるじゃないですか。お金は、ご家族のために使うべきです」「いいえ。ここで、お嬢さんほっといたら、お世話になった先代に、合わす顔がありません。それに、老い先短い私ら夫婦、使う金なんてね、たかが知れてますわな。ねえ、どうか、どうか使ってやって下さい。ねっ」「隈井さん…」「私ね、皆さんが心配なんですよ。ねえ…4人家族…もう私らの全財産、全部使っちゃって下さい。ねえ、全部ほら、ほら、使っちゃって下さい。ほら、ねっ」。

「でしたら… お借りするという事にさせて下さい」「そうこなくっちゃ。ねえ、お嬢さん。うん。そうしよう。ねっ」「ありがとうございます。何年かかっても、必ず、お返しします」「ありがとうございます。隈井さん」「いいえ」。

「そうなんですか? 富江さん、大人びてるから、私と同い年だと思わなかった」。とと姉と鞠ちゃんと富江ちゃんがお弁当を配達していた道。

「ねえ。せっかくだし、愛称で呼ばせてもらったら? その方が仲良くなれるし」「じゃあ…「富江ちゃん」かな?」「う~ん、「富ちゃん」も…。あっ、「富ちゃま」なんてかわいらし…」。

「いえ、「富江さん」で」「…はい」。

「とと姉、そろそろ交代しようよ」「フフフ。あと10歩ね」。

「あれ?」「うん?」。

「見てよ、あの人。あんなとこで何してんだろう?」。

「さぁ…」「病気かな?」 「えっ?」「具合悪くて倒れちゃったんじゃない?」。

「あ…大丈夫ですか?」「えっ?」「どこかお加減悪いですか? 歩けます? 一緒に病院に…」「あっ、いや、日陰に…」「日陰?」「日陰での成長を…」。

「えっ?」「つまり、その…観察するために…。あっ、ポリゴヌム!」「あっ!」「この植物は、ポリゴヌムといいます。このポリゴヌムを日陰に植え替えて、どう成長するかを観察しようとしていたんです」「どうしてそんな事を?」「近年、植物は過酷な条件下で育てると、それに順応して、生き抜こうとする事が分かってきました。だから日陰に植え替えると、たくましく育つのではないかなと」「へえ~面白い」「はい。これからが楽しみです」「へえ~…面白い…」「えっ? ん? たくましく育つといいですね」「はい」。

「鞠ちゃん!」「早く戻りましょう」「なぜ?」。

「こう言ってはなんだけど、少し妙な方じゃない? 具合が悪い訳じゃないって分かったから、もういいでしょ」。

「けど、お話は面白いわ」「うん、うん。でも、妙な方に関わって、面倒な事になっても…」「分かりました」。

「ねっ、ねっ。じゃあ、私たち…。あれ?」「あ…あっちよ、あっち」。

「常子は、君子と滝子の関係を、どうにか修復できないかと考えていました」。

「こんにちは。今日は何の採集ですか?」。

「あ…あの…」「すみません。クラクラしてしまって。おそらく、貧血です。ご心配なく」。

「あ~あ~大丈夫ですか?」。

「はぁ~また大凶だった」「安心おし、君子。お前に何が起きようが、私が守ってあげるから」「はい」。滝子さんと子どものころの君子さんが話していた境内。

「年の瀬も迫ったその日は、小雨混じりのとても冷たい風が吹いていました」。とと姉と君子さんが、鞠ちゃんとよっちゃんを待っていた境内。

「家訓である月に一度のお出かけの日、約束の時間になっても鞠子と美子は姿を見せませんでした」。

「櫛?」「ええ。よっちゃんが歯がかけたお古の櫛を使って髪通りが悪そうなので、新しいのを買ってあげようと思って。あ、あと鞠ちゃんが使ってる万年筆もペン先が歪んじゃってて使い辛そうだから買ってあげようって」「あはは」「えへへ」。

「それにしても遅い」「まあまあ、そのうち来るわよ」。

「とと姉、かか、ごめんごめんごめんごめん」。

「鞠ちゃん遅い」「ごめんね。よっちゃんは?」「まだなのよ。お勉強会、長引いているのかしら」「ねえ、どこか風の当たらないとこ行かない?」「でも、ここで待ち合わせしたから」「風邪ひいちゃうよ」「だけど、はぐれたらよっちゃんが可愛そうだし」。

「お母様! 大丈夫なんですか?」。君子さんと滝子さんが最後に一緒にお詣りしたお寺の境内。

「フフフ…私のことを、祈ってたんだとしたら、やめとくれよ。こんなにピンピンしてるからねえ。祈るのがもったいないよ」。

「お母様は、お祈りされないんですか?」「祈りに来たんじゃないんだ。ただ懐かしくてねえ…。最近やたらと、昔の事を、思い出しちまって。こういうなじみの場所に、来たくなるんだ。ここには、君子と何度も来たねえ」「はい」。

「覚えてます? おみくじ」「おみくじ?」「ええ。私が大凶を引いたら、お母様が、「安心おし。私が守ってやる」って」「ああ…そんな事も言ったねえ。フフフ…格好つけも、いいとこだねえ。もうろくした今となっちゃ、そんな事も、かなわなくなっちまった。フフフフ…。嫌だねえ、年を取るってのは。フフフフ…」。

そして、いよいよとと姉ちゃん最後のロケ地です。講堂の前の参道を講堂から離れて南に向かいます。飯高檀林です。

すぐ、総門が見えてきます。

「本当のところ、大阪に住むのが少し怖いんです」「怖い?」「大阪の人は、言葉が荒いので。いつも怒られているような気がして…。一人だと、心細くて」「フフッ」。とと姉と星野さんがお別れした参道。

「また、変な事言いました?」「いや…。まさか、それが理由で結婚したかったんですか?」「いや、違います! 違います! 僕は、真剣に常子さんの事を…」「安心しました」「僕も安心しました。やっと常子さんが笑ってくれた」。

「あの…先ほど、「心のどこかで断られる気がしていた」って…。どうしてそう思われたんですか?」「恐らく…僕が想いを寄せた常子さんは、そうされると思ったからです。自分の事は後回しにして、ご家族のために、全力で走り回る常子さんだから、恋に落ちたんです。矛盾した話ですが…。つまり、僕を選ぶ常子さんは、僕の好きな常子さんではない。僕の好きな常子さんであれば、結婚よりもご家族を選ぶ。そんな気がしていました。この辺でお別れしましょう。遠く離れても、常子さんと皆さんの幸せを、お祈りしています」「ありがとうございます」。

「さようなら。お元気で」。

「さようなら」。

今回はおまけ付きです。ここ飯高檀林はゲゲゲの女房のロケ地でもあります。ちょっこし懐かしのシーンを振り返ってみましょう。場所は、飯高寺のちょっこし東にある、天神の森です。ここを左折。

この長い階段をえっちらおっちら登ります。

「昭和14年。布美枝が七歳のころから物語を始めることといたしましょう」「それは、布美枝が初めて一人で大塚の町を出た、その帰り道のことでした」。

「誰かおるかねー?」。

「なんかおる」「いやー」。

「うわ。なんだ?」「どげした?」「なんかおる」「え?」「後ろから追ってくるよ」「ははぁ。お前ベトベトさんにつけられちょうな」「ベトベトさん?」。

これにて、とと姉ちゃんロケ地巡りはおしまいです。とと姉ちゃんは実に、芝居、だったと思います。高畑充希さんと唐沢寿明さんのふたり芝居。ですので、芝居のなかでも、ごく小さい小屋で行われる芝居。そのような芝居は本来マイノリティです。とと姉ちゃんは、朝ドラというメジャーなシーンに、マイノリティのアプローチを持ち込んだ、実験的だったと思います。とと姉ちゃんが素晴らしいのは、実験的な作品にありがちな身勝手さがなく、朝ドラとしてあるべきエンターテイメントの水準を十分に持ち合わせていたことです。それは、小劇場の芝居のエッセンスを、高畑さんと唐沢さんを中心とした1対1の場面に凝縮して、それらを通常の朝ドラのフレームワークに乗せて紡ぐことで成し得たことだと思います。ドラマの本質である、役者の生の絡みをじっくりと描くことを大切にしたからこそ、これまでの朝ドラにない、役者のとても繊細な表現を引き出せていたと思います。それが、ひとつ一つのシーンを丁寧に描くことにつながっていたのでしょう。もちろん、BKが得意とするような商業主義的なきらびやかな作品もまた、朝ドラですし、半年ごとに楽しみにしたい作品ですけど、芝居が本質的に持つマイナー気質をじっくりと味わえる作品を朝ドラで成立できたことは、史上に残る快挙であり、名作と言って良いと思います。そのような作品を純粋に楽しめたことは、自分にとって誇らしいことです。

ありがとう、とと姉ちゃん。