ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

ゴッホ(5)「アルルのゴッホの寝室」

2018年03月09日 |  ∟ベネルクスの美術館

 ※ オランダ ‐ アムステルダム/ゴッホ美術館編(5)‐ ベネルクス美術館絵画名作選(26)

 フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890/オランダ/後期印象派)、主要作品の多くはアルル時代(1888-89年)、サン・レミでの療養時代(1889-90年)、オーヴェル=シュル=オワーズの精神科医ポール・ガシェのもとでの療養生活時代(1890年~)に制作している。

 陽光煌めく南仏アルル、彼が誘った画家たちと制作活動をするために借りた黄色い家。
 応じたのはゴーギャン(1848-1903)だけだったが、とにも角にもふたりの共同生活は始まった。

 そのゴーギャン到着まで彼は「<黄色い家>」(1888年)や「夜のカフェテラス」(1888年/クレラー・ミューラー美術館蔵)など意欲的に制作を重ねたという。

 そんな彼が、過労で憔悴しながらも描いた作品のひとつが「アルルのゴッホの寝室」(1888年/72×90cm)。

 ゴッホは弟テオに “ 僕はこの作品で絶対的な創造力の休息を表現したかった ” と手紙を送ったという。
 ちなみに、画面左手のドアを開けるとゴーギャンの寝室だったとか。

 ふたりの関係も僅か2月で破綻、耳きり事件の後、精神的に不安定となった彼は、アルルの病院に入退院を繰り返していたが制作もままならず、アルルから20キロ余り北東にある<サン・レミの療養所>に入所、その一室を画室として使う許可を得て旺盛な創作活動を続けている。

 その頃、黄色い家に置いていた本作がローヌ川の洪水で損傷を受けたこともあって、「<第二バージョン>」(1889年/74×92cm/シカゴ美術館蔵)、「<第三バージョン>」(同年/59×74cm/オルセー美術館蔵)を描いている。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1529

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ちょっと真面目に

2018年03月08日 | 日記

 飼ったことはないのでほんとに変わるのか知る訳ではないが、猫の目のように天気が変わる。

 昨日(3/7)とても、天気予報では雨模様らしいと勝手に決め込んで、新聞を顔の上において二度寝を決め込んでいたら、カーテンの隙間から日が指している。
 飛び起きて「なんだよ、違うじゃねえか!」とぼやきながら洗濯機を回した。

 聊か大袈裟だけど、鰥夫になるまで殆ど考えたこともなかったが、洗濯に限らず家事というのは、日々の暮らしの中で空模様と結構関わっていることを知った。

 話しがそれた、読者登録をしているブログに “ 確定申告を済ませた ” なんて記事があって、僕(やつがれ)もやらなきゃと思いつつも、まだ日がある、そのうち雨の日にでも、と先送り。

 で、今朝、雲が低く垂れ込めてかつ寒い、「今日も明日も激しい雨が・・・」なんてNHKラジオが喋ってい、「あっ、今日やれということや」と重い腰を上げることに。

 たかが鰥夫の爺さんの申告、何ほどの手間はないのだが、それでも「廃棄しました」なんて、佐川某みたく阿呆なこと言って済む訳ないから、ちょっと真面目に書類を。

 そういうことで “ ゴッホ美術館編 ”、お休みということに、えっ、食傷気味だったから丁度いい? そりゃすまんことで・・・。
 花ごと落ちるという「藪椿」、潔いよねえ。 こゝに又こゝた掃かざる落椿 (虚子)
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1528

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゴッホ(4)「ゴーギャンの椅子」

2018年03月07日 |  ∟ベネルクスの美術館

 ※ オランダ ‐ アムステルダム/ゴッホ美術館編(4)‐ ベネルクス美術館絵画名作選(25)

 遅れて来た画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890/オランダ/後期印象派)、じゃないが、“ ゴッホ美術館編 ”、少し急ぐ。

 1888年10月、アルルでともに暮らし始めたポール・ゴーギャン(1848-1903/フランス/後期印象派・象徴主義)と、対象の捉え方、アプローチの違いなどから激しい諍いが始まったとされる。

 その頃に描かれたのが、黄色い家でゴーギャンが使っていた「ゴーギャンの椅子」(1888年/91x73cm)。

 ゴーギャンとの関係に決定的な亀裂が入る直前に描かれた本作、赤と緑の肘掛け椅子の上には2冊の小説と蝋燭が置いてある。

 炎が灯された蝋燭は画家としての人生の光明と儚さを象徴し、壁のランプが夜の場面であることを示唆しているという。

 ところでゴッホ、時期を同じくして本作と対画をなす「ゴッホの椅子」(1888年/93x74cm/ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵)も描いている。

 黄色い家で使っていた藺草で編まれた木製の椅子、昼間を示す壁を背景に赤いタイルの上にあり、パイプと煙草の小袋が置かれている。

 背後には、自然の成長を示唆する発芽した球根が描かれているのが暗示的であると同時に、ふたつの作品の時間的な対比を連想させている。

 共同生活は、自ら剃刀で耳を切り落とし娼婦ラシェルのもとへ届け、翌日入院、あっけなくも二月足らずで終わる。

 そんな共同生活の中で彼が描いた「ゴッホの椅子」、そこには別の貌も隠されていると言う。

 それは、17世紀のオランダ絵画においてパイプの煙は儚さを象徴し、同時に牧師であった父に倣って聖職者を志したこともあるゴッホが、親しんでいた聖書がそれを示唆しているという。
 “ 主よ、私の祈りを聞いて下さい、私の生涯は煙となって消え去るのですから” (詩編102)と。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1527

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゴッホ(3)「黄色い家」

2018年03月06日 |  ∟ベネルクスの美術館

 ※ オランダ ‐ アムステルダム/ゴッホ美術館編(3)‐ ベネルクス美術館絵画名作選(24)

 炎の人フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890/オランダ/後期印象派)。
 パリの生活に疲れ、ロートレック(1864-1901/フランス/世紀末芸術)の勧めもあって、1888年2月、南仏プロヴァンスのアルルへと向かう。

 オランダでの修行時代から日本の版画に魅せられたゴッホは、南仏に向かう汽車の窓から見える風景を、“ 澄んだ空気と派手な色彩効果に関する限り、この地方は僕には日本と同じくらい美しく見える ” と書き、この地に芸術家村を創ることを夢見ていたとか。

 その彼が画家仲間と共同生活をしながら、制作活動を行う目的で借りた家を描いた「黄色い家」、別名「アルルのゴッホの家 ラマルティーヌ広場」(1888年/76×94cm)が今回の作品。

 本作の二年ほど前、弟テオが暮すパリで、ロートレックをはじめゴーギャン(1848-1903)、ピサロ(1830-1903)などと親しくなり、色彩に明るさを得たとされるゴッホ。

 本作で、南仏プロヴァンスの明瞭な光に照らされるかのように、輝くような強烈な黄色と青色の絶妙な色彩的対比を生み出している。

 その黄色こそ、彼の生涯を通じて選ばれた、彼自身の個性を最も反映することのできた色彩であるとされ、その意味でモニュメンタルな作品ともいえる。

 ところで、アルルの黄色い家に来たのはゴーギャンのみ、その共同生活も僅か二月で破綻することをゴッホは知る由もなかった。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1526

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゴッホ(2)「ジャガイモを食べる人々」

2018年03月05日 |  ∟ベネルクスの美術館

 ※ オランダ ‐ アムステルダム/ゴッホ美術館編(2)‐ ベネルクス美術館絵画名作選(23)

 19世紀後半のパリ、伝統的なアカデミー様式と対立した画家らによる芸術運動である印象派、好きな画家を一人、となれば貴方は誰を上げますか?

 先駆者マネ(1832-1883)、印象派という名称の由来となったモネ(1840-1926)、同派を代表するルノワール(1841-1919)、それとも後期印象派を代表するセザンヌ(1839-1906)でしょうか?

 そんな巨匠の中で、強烈な色彩による対象描写で炎の画家とも称された異彩の画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)を上げる人も多いのでは。

 さて、その彼の初期の代表作「ジャガイモを食べる人々」(1885年/81.5×114.5cm)から小編スタート。

 1880年というから27歳の時、彼が本格的に画家を志す決意を弟テオに示して数年、32歳の頃に描いたというからかなり遅い画壇デヴューである。

 牧師の家に生まれた彼、青年期には炭鉱地帯で牧師として働いたとされてい、労働者階級の人々が、貧しくとも逞しく生きる姿に強く共鳴していたという。

 そんな彼が、家族が寄り添い小さなランプの光の下で夕餉にジャガイモを食べる情景を主題にした本作、慎ましやかな暮らしに深い共感が示されている。

 ゴッホと言えば「<ひまわり>」(1888年/92×72.5cm /ナショナル・ギャラリー等蔵)の明るいイメージがまとわりつく。

 美術館二階、大勢のギャラリーが引きも切らぬ広い展示室に、概ね制作年次順に架けられた作品、本作を始め「<一足の靴>」(1886年/37.5×45cm)など、「ほんとに上手だと思うけど」「自宅の壁に架けたいとは思わないよなあ」と、溜息と一緒にそんな言葉が出た。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1525

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする