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韓国カードを切る中国、日本の孤立化は成功しない  (ウォールストリートジャーナル)

2014年07月13日 | 東アジアニュース
【オピニオン】韓国カードを切る中国、日本の孤立化は成功しない

ウォールストリートジャーナル2014 年 7 月 12 日 09:38 JST
By MICHAEL AUSLIN


 中国の習近平国家主席による先週の韓国訪問を受け、「北京学(Beijingology)」が盛んになっている。国家主席は北朝鮮に対する怒りを示しているのか、日本と韓国との関係にくさびを打っているのか、米国からの圧力に反応しているのか――研究者は今回の訪問の意味を理解しようと努めている。

 こうした推測を巡らそうとしても冷戦時代と同様に何の役にも立たない。冷戦当時、米国は旧ソビエト連邦の指導者の一挙手一投足を研究する「クレムリン学(Kremlinology)」に没頭し、動機や目的を探ろうとしていた。旧ソ連と同様、今日の中国は白紙のパリンプセスト(重記写本)のようなもので、これを読む研究者は中国政府の動機や目的を都合よく解釈する。

 中国は世界第2位の経済大国になったものの、共産党は情報を統制し続け、諸外国とは限定的な協力関係しかもたない。まさに北京学の存在がこうした中国の姿を映し出す健全な鏡の役割を担っている。それでも、研究者は先週の習国家主席の訪韓について深読みするのを避けるべきだ。

 習国家主席が韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領との関係を利用し、日本に一段と圧力を加えて孤立させたいと考えていることに疑いの余地はない。ただ、朴大統領がどのくらい中国に接近できるかについては限界が生じる可能性が非常に高い。韓国は依然として米国との同盟関係に大きく依存している。台頭する中国の現実的な対抗馬となり得るのは米国だけだからだ。

 最新の世論調査では、中国の台頭とパワーが脅威になると答えた韓国人の割合が全体の7割に達した。韓国は根深い歴史問題で日本に嫌悪感を抱いているが、韓国政府は民主的な(高齢化の進む)日本が修正主義的な中国ほど脅威でないことを理解している。

 さらに、韓国はある程度、日本と協力する必要性を認識している。日韓両国とも米国の主要同盟国だからだ。米国が北朝鮮の攻撃から韓国を守るため行動すれば、日本にある米軍基地も利用されることになる。

 習国家主席が北朝鮮より先に韓国を訪問したことについて、金正恩(キムジョンウン)第1書記へのメッセージ性はほとんどない。中国が他のアジア諸国と同様に北朝鮮の行動を腹立たしく、予測不能だと長く感じてきたのは公然の秘密だ。

 しかし、中国政府が北朝鮮との友好関係を本気で見直そうとするような兆候はない。北朝鮮はアジアで米国の力と注意を分散させる重要な役割を担い続けているほか、日米韓関係のバランスを崩し続けている。中国の指導者らは、こうした役割のすべてを評価しているようだ。

 中国は引き続き北朝鮮を支援する見通しだが、これは中国がロシアやイラン、シリアを支援するのと同じ理由からだ。中国はならず者体制、修正主義勢力、破壊分子と手を組むことを選んでいる。中国は世界の安定を脅かす国と組む方が、平和を維持しようとする国と協力するよりも利益にかなうと見ている。中国が世界の危険分子を支援しなくなれば、北朝鮮も支援しなくなるだろう。しかし、これが現実になるとは当面考えにくい。

 習国家主席の韓国訪問で、日米が韓国との関係を強化する必要性が高まった。最近の日本にとって、これは特に難しい問題だろう。それでも、米国のオバマ大統領と安倍晋三首相は過去だけでなく、未来の関係を強調するべきだ。

 アジアの自由主義陣営と協力関係を強めることが韓国の利益になることは明らかだ。日本も韓国を潜在的パートナーと捉え、関係改善に向けて努力する必要がある。例えば、これまでインドとオーストラリアのみにほぼ集中してきた多国間アプローチに基づく自由主義国との安保協力計画に韓国を加えてみるのもいい。日本は自由主義コミュニティーでの韓国の重要性を強調することで、韓国が日本と一連の価値を共有していると感じる余地をもたらす必要がある。朴大統領は安倍首相に反感を抱いているが、米国は首相に関係改善を促すだけでなく、日本で発生するあらゆる関係改善に向けた動きを積極的に支援すべきだ。
 どの指導者がどの国・地域を1回、あるいは10回訪問するかでアジアの将来が決まるわけではない。地域の規範を維持するため、共通した利益を持つ自由主義コミュニティーの形成に絶え間なく努力することが、数十年にわたる繁栄と安定の機会を生み出すことだろう。

 (マイケル・オースリン氏はアメリカン・エンタープライズ政策研究所の日本部長で、wsj.comのコラムニストでもある)
















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