「 馬の灰皿 」 ファンからのプレゼント
普段は禁煙だったが、
若い頃は、居酒屋やスナックに行くとタバコを吸っていた。
普段吸わないので煙を吸い込むと、
ニコチンがバズーカみたいに
” どぉ~ん ” と胸に響いた。
その反動は即アタマに伝達して、
クラクラと眩暈 ( めまい ) を呼び、
闇夜の画像に、宙を行くように 「 ふわ~ 」 として、
それまでの記憶が遠~くに飛んで行くようだった。
それが、30歳過ぎに錆びたトタンで足の指先を怪我して、
難病のバージャー氏病にかかってしまった。
足とペタルを固定するクリップバンドも締められないほど血が通わなくて、
職業である競輪選手を辞めなければならないかと思う日々が続いた。
それから血流が良くなるようにケアをし、
騙し騙し練習をしてきたので、なんとかレースには参加できたが、
万全ではない状態でレースに臨むのは心がいたんだ。
それ以来、禁煙である。
もともと煙草はその場の雰囲気で吸っていただけなので、
禁煙は苦にならなかった。
もちろんそれ以降も禁煙である。
胸いたむ日のかなしみも
かをりよき煙草の如く
棄てがたきかな