旧蔵内邸 「 浴 室 」
浴室の床には白と濃緑の大理石を市松模様に貼り、
浴槽と腰壁、左隅の洗面器に白の大理石を用いたモダンなデザインで、
浴槽の水道蛇口は建築当初のものである。
格天井は勾配をつけて中央で折り上げ、窓には結霜ガラスがはめられている。
外には煉瓦の煙突と焚口があり、奥の板戸を開け湯加減をみたのであろう。
洗面所
ホットの蛇口
コールドの蛇口
陶器で造られた「便器」
便所内にある手洗い所
便所の床には白と濃緑の大理石を市松模様に貼り、
腰壁には色鮮やかなタイルが貼られている。
タイルの裏面に 「 THE HS、TILE WORKS 」 とあり、
名古屋の佐治製陶所 ( HSは創業者の佐治春蔵 ) の製品だと判る。
大便所にの鼠色の大理石の棚板上の地袋には菊図が描かれ、 「 秋渓 」 の銘がある。
洗面台には白の大理石を用い、水道蛇口にはHOTとCOLDがある。
脱衣室
脱衣室には竹の落し掛け、踏み込み床の天井は網代編みで、天袋を設けている。
脱衣室であるが、夏の風呂上りに涼む茶室として造られ、
北側の庭園正面には枯滝石組が、飛石の先には降り蹲と蘇鉄がある。
蔵内氏の煎茶趣味により、浴室や便所とともに、邸宅完成直前に増築されたものである。
※ 浴室の格天井は動画でご覧頂けます。