フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

捨象する FAIRE ABSTRACTION DE ...

2006-09-28 21:40:53 | Marcel Conche

昨日のコンシュさんのインタビューを読んでいてピンとこないところがあった。Philosophie Magazine のインタビューワーの以下の発言である。一つ目は "anhistorique" という言葉で、これは Olivia さんにサジェスチョンをいただいた。感謝したい。もう一つは、後半部分にある abstraction という言葉であった。

Votre rapport à l'histoire semble contradictoire. D'un côté, vous montrez que c'est la profonde instabilité du siècle qui a orienté votre philosophie. De l'autre, le philosophe doit, selon vous, faire abstraction de son temps. La vrai vie serait-elle anhistorique ?

「あなたの歴史との関係は、矛盾しているように見えます。一方で、あなたの哲学を導いたのは世紀の極度の不安定さであると言い、他方哲学者はその時代を考慮に入れてはいけないと言っておられます。真の人生は歴史性のないもの (anhistorique) なのでしょうか。」

最初、この abstraction を 「抽象化すること」、つまり時代を相手にして抽象化しなければならないと訳していた。それでどうして矛盾するのかが全く掴めなかったのだ。

おかしいと思う時には辞書を引かなければ駄目ですよ、という教訓再びである。"faire abstraction de" とは、抽象化をさらに進めて不要なものを捨て去る、捨象する、考慮に入れない、という意味になる。それで歴史と彼の関係が矛盾するということがよくわかるようになった。こういう時は、本当にすっきりとする。

しかし、まだどこかに支えがあるようだ。この問いに答えてコンシュさんが話していることはよくわかるのだが、問いとどう繋がるのかが未だにしっくりと来ない。どなたかのお知恵を拝借したいところである。


-----------------------------
3 octobre 2006 問と答の溝を埋める TROUVER LE FIL LOGIQUE

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする