フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

再び古本市へ AU PARC GEORGES BRASSENS

2006-09-04 00:30:55 | パリ・イギリス滞在

ホテルから歩いていける距離に去年も行ったジョルジュ・ブラッサンス公園がある。そこで年中やっている古本市に再び顔を出してみた。曇っていて風が強く、時折小雨模様の天候なのでお客さんは少ない。そのためか、店主たちは酒盛りを始めている (今日の写真)。

どんなものに目が行くのか、ぼんやり眺めながら歩いてみた。あるテーブルにベルギーの本が集まっているところがあり、その中の "Notre Pays" という本を手にとって見る。最初に次の言葉で始まるシャルル・ポトヴァン Charles Potvin という人の 「わが祖国」 "Ma Patrie" という詩が出ている。

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Oui, j'aime ma patrie et j'y reviens sans cesse,
 Comme l'hirondelle à son nid;
J'y mets quelque fierté, mais beaucoup de tendresse,
 Et j'y trouve un charme infini.
...

そう、私はわが祖国を愛す、そしていつもそこに帰ってくる
 ツバメが巣に戻るように、
私は祖国を誇りに思う、しかし多くの優しさを込めて
 そして私はそこに尽きることのない魅力を見い出す
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ベルギーの歴史を詩や散文と多くの挿絵を交えながら書いている本のようだ。このような本を日本で出すと国威発揚の本ということになるだろう。表紙の裏には1915年7月14日創立のブリュッセルの公立図書館所蔵の紙が張り付けられ、本を読む時の事細かな注意書きが載っていて興味深い。こんな具合である。

「まず、読む前には、本の傷みを図書の人に伝え、衛生的な配慮と保存のために紙の表紙で覆うように。本を読む時には、本が汚れないように周りのものをすべて除けてから始めるように。製本が乱れるので本を開いて重ねたりしないように。本に跡が残るので濡れた指でページを捲ることのないように。本に書き込みをするなどはもってのほかである。"C'est le profaner." (神を冒涜するものである)。ページの端を折って読み進む人がいるが、それは紙を挟めば充分である。本を読み終わったら破損を避けるために家具に入れて保存するように。それから家で感染症が出た時には図書館の人に通報すること。」


さらに別のテーブルに足を進めると、1935年4月7日に出版された "Rouen" (初版本) という本に目を引かれる。ルーアンの Henri Defontaine という出版社からのもので、文章にはこの町に誇りを持っている様子が伺え、しかも詩情に溢れている。宗教的な過去と大聖堂 (クロード・モネが連作を物した) のことを紹介しながら、工業化が進みつつある当時の状況を憂る気持ちも強く滲み出ている。それはフランスのみならずアメリカも意識して書かれていて、いつの時代も変わりないのか、という思いで読んでいた。丁度店主が寄ってきたのでこのことを話すと、これは永遠の問題だね、"C'est perpétuel !" という相槌が帰ってきた。店主との話で、この町でジャンヌ・ダルクが火炙りの刑で散ったことを思い出していた。こちらの本にもデッサンが多数入っていて、なかなか味わい深い。

コメント
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