昨日の夜、帰宅前に本屋に寄る。そこに置かれていた丸山健二の「生きるなんて」を開く。若者向けの人生論なのだろうが、大人にとっても参考になる。日本の現状も含め、あらゆることに再検討を促し、批判のメスを入れる。以前に一度だけ彼の本を読んだことがある。「生者へ」。疲れて途中で止めてしまったが。
前回もそうだったが、とにかく体を張って書いているという印象を受ける。過去の人の意見を引くこともなく、自分で消化したものだけから書いているので、一気に読める。言いたいことは自立せよ。あらゆる面で自立せよ。今の日本の問題、過去の日本の問題の根っこには、この問題があると看破する。個人の自立のなさがすべての元凶と激しく説く。よくわかる。ものごとに対するスタンスは意外に近いのかもしれない。
そして勇気が出てくる本でもある。
『 おのれが果たしてどんな人間であったのかわかるようになるのは、それも薄々わかるといった程度ですが、六十歳を過ぎた頃からでしょう。それとても、最終的な答えではないかもしれないのです。八十歳、九十歳、百歳と生きるにつれて、思いも寄らなかった自分に変わっているのかもしれません。もちろん、社会や時代もです。
あなたは、そうした変化のあれこれを寿命が尽きるまで見届けたいと思いませんか。
あなたは、それを見るだけでも生きる意味と価値があると思いませんか。
あなたは、その変化がこの上なく悲惨なものであっても、よしんば地球最後の日を迎えるような大事件であっても、奇跡的な確率で生じるそんな機会に巡り合えただけで幸運だったと思いませんか。 』