二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

ヴァルハラの乙女 第13話「ロンドンの休日」上

2014-07-12 18:33:15 | 連載中SS


「ねえ、トゥルーデ。
 宮藤さんとロンドンまで行ってみたら?」

たっぷり朝食を頂き、午前に任務を終え。
ミーナの執務室まで書類を届けに行った際にこんなことを言われた。
というより、何故にそこにあの主人公、宮藤芳佳の名前が出るのだろうか?
しかも、ロンドンまで行くなんて【原作】で何かイベントでもあったか……?

待て、あれか?
郵送できない重要書類。
さらにロンドンまで行かないと出来ない打ち合わせがが幾つかあったはず。
戦う以外の軍隊の仕事を経験させるため、宮藤はわたしの仕事の手伝いでロンドンまで着いて来るのか。

「ああ、宮藤に仕事を教える、という認識でいいのだな?」

「トゥルーデ、貴女ね……働くものいいけど休暇が必要よ。
 貴女と宮藤さんは軍の福利厚生制度で休暇を取らなくてはいけないのよ」

思わずあっ、と声を漏らし気づいたが遅い。
わたしの返答に、ミーナは呆れつつも苦笑した。
そういえば、意外と福利厚生に気を使う軍隊は制度として一定期間勤めたら必ず休暇が出たな。
戦線が安定しているブリタニアではこうして休暇が出るのだが最近は【原作】の事ばかり考えていたから忘れていた。

だが、何故にわたしと宮藤なんだ?
出来れば彼女にもっと親しい人、坂本少佐やリネットで組み合わせ方がいい気がする。

「わたしは別に良いのだが、
 宮藤には出来ればここで親しい人。
 少佐やリネットで行かせた方がいいのじゃないか?」

「私も始めそう考えたけど……少佐やリネットさんは時期がずれているし、シフトの都合上無理なのよ」

む、休暇の日程にシフトの都合か……なら仕方がないな。
休暇、休暇か、そうだな、久しぶりに羽を伸ばすのも悪くない。

「なら仕方がないな。
 で、何時から休暇を取ればいいのだ?」

「出来れば今週中、それも明日からでもいいから取ってほしいの」

ミーナは少し困った顔で御免なさいね、と言いつつ急な予定を伝えた。
しかし明日からでもいいからとは本当に急だな、まあ配置のシフトの都合もあるからやむ得ないな。

「了解した、では明日から宮藤とデートをしてくるよ」

「あらあら、宮藤さんをちゃんとエスコートしてね、トゥルーデ。
 あと、これは休暇申請に必要な書類だから直ぐに書いて私に渡してね」

了承の意を込めて敬礼する。
そして、ミーナから必要な書類を受け取り執務室を後にした。
さて、また書類、書類と、休暇一つにしろ書類を作るのは今では慣れたけど面倒だ。

だけど、それが規則だからやむ得ないな。
さてさて、どう過ごそうかロンドンの休日を……ん、人影?

「おう、バルクホルン大尉、休暇だってな?」

廊下の曲がり角からシャーリーが現れた。
その際相変わらずでかい胸部が揺れたものだから、
一瞬そっちに眼が行ってしまったけど君が何故わたしの休暇を知っているのですかね?

「ああ、そうだがそれが?」
「あーいや、こういって何だが買出しを頼めるかな?」

手短に用件を尋ねると、彼女は手を合わせて頼んできた。
何の用かと思えば買出しか、たしかに基地内にも売店の類はあるけど、
それも限られているから、手に入らないものもあるから仕方ないな。

「別にその程度ならかまわない」

「マジか、いやあ、ありがたい!
 おーい、みんなーいいってさー」

その程度の頼みごとなら、と即答したが……みんなとは?
あ、あれ?廊下の曲がり角からぞろぞろと501の隊員が来るのだが?

「バルクホルン大尉ーお菓子買ってきてー!」
「あの、大尉。その、申し訳ないですが買ってきてほしい書籍が…」
「大尉ー、少し頼みがあるんダ」

一体全体どこから聞きつけたのか、
シャーリー、ルッキーニ、ペリーヌ、エイラといった501の隊員が押し寄せ、口々にお願いを口にしている。

どうやら少なくても、買出しという予定が一つ埋まったようだ。



※  ※  ※



そして週末。
太陽が水平線から出たばかりの早朝に、
基地の入り口で坂本少佐、シャーリー、ルッキーニが
ロンドンに出かけるバルクホルン、芳佳を見送るため基地の入り口に集まっていた。

「いいか、宮藤。
 この間まで民間人だったとはいえ、今は扶桑皇国海軍の軍曹だ。
 その事を忘れず、扶桑皇国の恥とならないように行動するのだぞ」

「はい、坂本さん!」

坂本少佐は休暇だと言うのに芳佳に対して軍人の心構えを説いていた。
しかし、これは自分が付き添い出来ず、アドバイスするしかない坂本少佐なりの心配が現れたのだろう。

「おう、宮藤。楽しんでこいよ!」
「芳佳!お菓子お願い!」
「はい、シャーリーさん。それにお菓子の事は忘れないからルッキーニちゃん!」

シャーリーが芳佳に休暇を楽しむように激励し、
ルッキーニは購入を頼んだお菓子を改めて懇願し、芳佳はハキハキとこれに答える。

これから、初めての海外旅行とも言える経験を、それも同郷の坂本少佐とではなく、
彼女から見てガイジンさんであるバルクホルン大尉と行くのにあまり緊張感は見られなかった。

「バルクホルン、宮藤の事を頼む」
「分かっています、少佐。どうかご安心を」

これなら大丈夫だなと、坂本少佐が内心思いつつ、
今回の足であるキューベルワーゲンの傍に立つバルクホルンに対して改めて芳佳を頼む。
バルクホルンは至極真面目な態度と言葉で、坂本少佐に芳佳をエスコートすることを誓う。

「さて、そろそろだな。
 宮藤、バルクホルンの車に乗れ」

「はい、坂本さん」

坂本少佐に促され、芳佳がワーゲンの助手席に乗る。
車を運転するバルクホルンも運転席に座り、慣れた手つきでエンジンを始動させる。
バルクホルンは坂本少佐と目線を合わせ、芳佳は任せたとの意を込めて軽く会釈した後に、車を発進させた。

「芳佳ー!頼んだよー!」
「楽しめよー」
「宮藤、気をつけるんだぞ!」

ルッキーニ、シャーリー、
坂本少佐が手を振り、声を出して見送る。

「みんなー、行って来まーす!」

対する芳佳も身を乗り出して、後ろを振り返り手を振る。
しばらく芳佳は手を振っていたがやがて基地から遠ざかり、バルクホルンと芳佳は基地を後にした。





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