二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

弓塚さつきの奮闘記録外伝 「午後12:00」上

2014-07-13 11:22:54 | 連載中SS


国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
と、有名な文学作品のフレーズがあるが――――ドアを抜けるとカオスであった。

「あは、オバサンなかなかやるね」
「あ゛!?この糞餓鬼がぁーーー!!」

金髪の少年と、
桃色の髪を持つ少女が互いに宝具と魔術をぶつけ合う。
流れ弾が喫茶店の床や机を破壊し、破片があたりに散乱する。
おっかしいなぁ、ボクはヒロインの座を狙う化け猫退治を依頼されたはずだけど。

というか、桃色の少女はもしかしてキャス狐か?
うぉおおお、リアルキャス狐キタコレ!

なんだ!あのけしからんスタイルは!!
アルクェイドさんやシオン、秋葉さんとか美少女は見慣れているけど、
流石かつて帝に魅入られた絶世の美女、キャス狐マジ美少女。

そして、隣にいる学生服の少年はそのマスター、ザビエルだな。
エクストラエンドならば4畳半アパートであんな美少女と同居してるんだよな……爆せリア充。

「あ、あのー喧嘩はその、本当によくニャイから辞めませんか―――って今掠ったニャーー!!?」

なんか足元から声が聞こえるから視線を向けると、いた。
本当にそれは奇妙な生き物であった、なぜなら見た目は動物の属するにも関わらず人語を解していた。

それだけなら、魔術の世界ならばさほど珍しくないが、問題はその造形だ。
2速歩行で人間の服を着て、頭にこれまた人間のような髪を生やしていた上に、その顔が実に奇妙であった。
神の造形ミスを疑いたくなるようなアンバランスな配置、特にその瞳は宇宙人グレイのごとく顔の面積の多くを占めていた。

早い話美少女マンガの大きな瞳をしたヒロインがそのまま三次元に登場したらどうなるか?
そんな思考実験的代物がボクの視線の先に存在しており――――ネコアルクはグロイというよりクリーチャーだった。
それこそ、クトゥルク神話で出てくるようなクリーチャー並に見るに耐えられるものではなく、ボクのSAN値が一瞬急降下した。

体温が一気に低下し、ガチガチと恐怖で歯が鳴る。
心臓もまた恐怖と極度の緊張で暴発寸前で今にも暴発し、その動きを止めてしまいそうだ。

また、冷や汗も流れる。
息もひゅーひゅーと吐くだけでうまく呼吸することが出来ずにいる。

化け物、血を吸う鬼になってもなんて様だ。
今は奴は自分を見ていないがもしもこちらを向いた時、ボクは正気でいられるだろうか?
あの、大きな瞳が自分の姿を捉えた時、果たしてボクは――――。

「弓塚さん、どうかしましたか?」
「…………っ、あ、い、いや何でもない!」

ヤバイ、琥珀さんが呼びかけていなかったら本気であのままSAN値直葬しそうになった。
というか、何でこいつだけ二次元的描写に忠実なんだ!!?

今まで見たことなかったグロイ、
キモイと皆が口を揃えていたけどその気持ちが分かるよ……。
で、リーズバイフェはこれをキモ可愛いと申すとか、訳が分からないよ。
少なくてもシオンよりも芸術のセンスはあるというのに、どうしてアレを好むのか理解不能だ……。

「さて、弓塚さん。あのお二方を止めましょう!」

なんて考えていたら琥珀さんが両手に注射器を挟みそう言った。
……え゛冗談ですよね琥珀さん、あれをボクが止めろと?

「当然じゃありませんか、アーネンエルベを守るために弓塚さんを雇ったんですから」

何を言っている?と言わんばかりに返された。
あ、あのー琥珀さん相手はどちらも神話世界の住民ですよ?
片や古代メソポタの英雄、片や国を傾けた傾国の美女にして最強の魔、勝てるわけないでよー。
リアルに二次元的表現を再現したせいでクトゥルフ生物みたくなったネコアルクを相手にするよりましかも知れないけど。

「まあ、確かに元悪神とはいえ今は正義の味方症候群の肉体を借りているだけの抜け殻。
 弱体化しているよーだが、マジモンの神の類を相手にするのは少しどころかオレの自滅技でもキツイぜ」

気だるげにアヴェンジャーが呟いた。
どうやら、この全身刺繡男は意外とまとものようである。
よし、このままアヴェンジャーと共同戦線を張り逃げてしまおう。

「ケケ、だがオレは別にかまわないぜ」

あ、アヴェンジャー、この戦闘狂がぁー!!

「アハ、大丈夫ですよ弓塚さん、
 赤信号、皆で渡れば怖くない、という言葉があるじゃないですか」

色々一杯な自分に対して、
琥珀さんは向日葵のような笑顔を浮かつつそう励ました。
だけど、琥珀さん赤信号を渡ったら普通に車に轢かれますがな……。

「覚悟を決めろ、吸血鬼。
 アーネンエルベで素敵なパーティーをしようぜ」

某ソロモンの悪魔のような言い回しでアヴェンジャーがニヤニヤと話しかける。
逃げようにもさり気無く琥珀さんが退路を絶っており、前方は子ギルとキャス狐が絶賛戦闘中だ。

あー分かった、分かりましたよ畜生!
英霊2人を張り倒すだけの簡単なお仕事をこなせばいいのですね!

「あーもう、分かりましたよ琥珀さん、行きますよ。
 ええ、行きますからその怪しいお薬を準備しないでください」

「おやおや、違法じゃなないお薬ですから大丈夫ですよ?」

注射器を自分に刺す素振りを見せていた琥珀さんは、
何のことかしら?と人懐っこい表情と共に惚けて見せた。
…………一体どういう薬を注射する気だったんだ?

「カカ、話しは纏まったようだな、んじゃ一番乗りはオレだ」

「ちょ、アヴェンジャー」

隣のコンビニに行って来るのノリで、
ボクが止めるより先にアヴェンジャーが突撃した。
何の考えなしにカチコミするなんて何時も皮肉っている正義の味方同様正気じゃないな!!

「オレにも混ぜさせ…」
「あ゛何ですか?」
「君、邪魔だから」

そして案の定というべきか、
アヴェンジャーが2人に飛び込んだ瞬間、
キャス狐の魔術に子ギルの宝具が飛来し、アヴァンジャーの周囲は粉塵に包まれる。

ボクは粉塵にむせるる。
そして粉塵が晴れた先にいたはずのアヴェンジャーはいなかった。

いや、視線を天井に向けるといた。
アヴェンジャーはカニファンのランサーと同じく天井に突き刺さっていた。

アヴェンジャーが死んだぁあぁぁああ!
というか全身刺繡で無くなっているから衛宮士郎に戻っている……衛宮士郎も死んだ!この人でなし!

「あー何ですかそこの方々、私の喧嘩を邪魔するつもりですかー?」

アヴェンジャーが突撃したせいで、
最悪なことに今度はボクの方にタゲられた。
子ギルも興味津々といった感じで宝具がこちらに向いている。

逃げようにも狭い喫茶店。
ゆえに、前に進む以外道はないのだ――――畜生、やってやる!







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