ああ、くそ。
失敗したなぁ…。
あの時、これから遊びに行くという時に、
墓参りなんて宮藤には見せたくなかったけど、
こちらの言いつけを破って本人が着いてきてしまったのは、仕方がないといえばそうかもしれないけど。
できればあの子にそうした所を見せたくなかった。
とはいえ、それは既に終わった過去の話であり今はブリタニア首都、ロンドンにいる。
あの後、
動揺している宮藤を手を引っ張り、
有無を言わずキューベルワーゲンに乗り込むとロンドンまで直行。
しかし、途中で兵士を満載した軍用トラックの群れに引っかかる。
渋滞で速度が低下した上に、ウィッチがいることを知った兵士の一部がナンパして来た。
この姿になって以来。
美少女なせいでこの手の輩には多少慣れているとはいえ、不愉快なものであり無視を決めたが、
宮藤にちょっかいを出して来たので、こちらの将校としての階級を出すと相手の上官、小隊長が慌てて謝罪に来た。
小隊長は少尉、そしてこちらの大尉といえば約250名を指揮する中隊長クラスの階級なのだから、向こうが青くなるのは当然だ。
とまあ、トラブルはあったが無事ロンドンに到着。
そのまま車でロンドン塔、バッキンガム宮殿、時計塔といったロンドンの名所を回る。
わたしにとってはもう見飽きた場所であるが、
初めての海外旅行なためか、宮藤は楽しんでくれたので、
こちらとしても、ガイドに思わず熱が入り、久々の休暇を楽しめた。
「……ふむ」
そして、現在はかのネルソン提督を記念したトラファルガー広場にいる。
ここもまた観光名所ゆえに、トラファルガー広場は休日ということもあり少し混雑している。
それだけなら、観光地ではありふれた光景だがその観光客の大半が軍人であった。
見たところリベリオン、扶桑、ブリタニアそして我がカールスラントの兵士と実に国際色豊かである。
自分と同じ休暇でロンドンに来たのは想像できるが、少し多すぎる気がする。
以前兵站将校と話しをしたが、作戦開始前に英気を養うべく、こうして休暇を与える事があるらしい。
と、なると恐らくだが、大陸反攻作戦。
史実で言うところのノルマンディー上陸が近いのは本当なのだろう。
「バルクホルンさん!」
っと、宮藤に呼ばれた。