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ブレンド日記

世の中の出来事・木馬での出来事・映画の感想・本の感想・観るスポーツ等々ブレンドして書いてみました。

「図地反転」を読む・・曽根圭介著(講談社)・・9/30日読了

2009年10月07日 | 本の事
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 ブックレビューが少し続きますけど、本の嫌いな方は許して下さいね。
何しろ 後から後から追いかけてくるので、そのうちどれがどれだか忘れてしまいそうで。

 というわけで、
久々にわくわくして一気に、寝る間も惜しんで読み終えた。
過ってはミス・サスペンスと言われた私。その私が言うのだから、間違いない。
早くこのトリックを忘れないうちに書き留めておかなくてはと思いつつ、今日になってしまった。
トンボが選出したのにしては上出来、いやぁ・・面白かった。久々に本格的なサスペンスに出会ったという感じですかね。

ある地方都市で幼女殺害事件が発生。複数の目撃証言から、いわくつきの男が容疑者として浮上する。決定的な物証はないが、状況証拠は十分。ベテラン刑事の取り調べで“自白”も得られ、事件は解決したかに見えたのだが…。

ところでこの本の装丁何か感じませんか?
タイトルになっている図地反転をどういう意味か知らべてみて わかったのだけど、「ルビンの盃」という絵 昔みた事があるような・・

白黒の絵で、2人の人が横向きに向かい合っている。
中央に注目すると、盃が見える。
人が見えているときは、盃は見えず、盃が見えているときは、人は見えないという事。
「ふたつの図」を同時に見ることはできない。
ひとたび反転してしまったら、もう「元の図」を見ることはできない。
思い込みにより、違う見方が出来なくなる…。
このタイトルを選び、作者が描きたかったことはとても面白いと思う。ずーっと温めていたんだろうね。そしてこれを冤罪という重いテーマに結びつけた。(つい最近も足利事件の 菅谷さんの件が問題を提起したばかり・・。)

ある地方都市で幼女殺害事件が発生。複数の目撃証言から、いわくつきの男が容疑者として浮上する。 決定的な物証はないが、状況証拠は十分。ベテラン刑事の取り調べで“自白”も得られ、事件は解決したかに見えたのだが…。
「無実の人を犯人にするだけでなく真犯人を逃してしまう。冤罪にはそんな二重の怖さがある。
少しの間違いで、悪意のない人間が事件に巻き込まれる様子を描きたかった」と作者は語っていたのだけど。確かに、ただあなたの人生不運だったでは到底済まされるものではない。

そしてこの物語は捜査の進展に違和感を抱く若手刑事、主人公一杉研志の行動を軸に展開する。
心理学の研究成果を引用しながら人間の記憶のあいまいさを告発するくだりは、ミステリーというより、 ドキュメンタリーの様相を帯びる。タイトルに使われ「図地反転図形」が示すのは、 目にする人物や出来事も意識の向け方次第でメーンの「図」にも背景の「地」にもなるという現実。
「地」に沈んだ情報はいくら重要でも顧みられない。これこそが冤罪を生む構図、というわけなのだ。

ただ、どの本にも言えることだけど、偶然が多すぎるという感はあるけど、でも
う~~ん、面白かった、久々にこの作者の本を続けて読んでみたくなった。


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雲り 21℃

「デパートへ行こう」を読む。・・真保裕一著(新潮社)・・9/28日読了

2009年10月04日 | 本の事
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 本の装丁から 童話を連想するけど、どうしてどうして、これは、家族の絆の話なんで、夜のデパートに集まった登場人物一人一人に思わぬドラマがあり、大団円を迎える。うーん サスペンス風人情物語かな。

所持金が143円の全てを失った男性、早番で帰宅したはずのデパート社員、15,6歳のカップル、やくざ風のわけありの男など外部(正確には社員は内部の人間)達が最初は自分以外の存在を知らずに夜のデパートに居すわる。
さらに百貨店の社長や個性あふれる警備員数名が店内を動き回り、どたばた劇に拍車をかける。
そこに様々な人間関係が元々絡み合っており、また中盤に向けてはさらにこんがらがり、終盤に向けてその糸が少しずつほぐれ、それぞれにうまく収まっていくという展開なのだけど。
各章で、それぞれの登場人物の間で視点が切り替わることで、いないはずの他の人間に、「えっ」、「まさか」と驚いたり。
その反面、登場人物が多く、名前の一覧表がないので こりゃどの階の話?と最初は混乱する。それでも各省でそれぞれが主役になり、オムニバス風で繋がっていくのだ。

最後は自殺しようと屋上から飛び降りた143円の所持金の中年男性が警備員が手配したトラックの幌にひっかかり、危うく一命を取り留め、かけつけた娘さんと涙の再会を果たし、「一緒にデパートに行こうね」と父親に声をかけるところ。
一方、助けた警備員が実は64年前の東京空襲の際にデパートに逃げ込んで、迷い子となっていたのをテレビで見つけた母親が息子と知り、こちらも劇的な再会となり、めでたしめでたし、となる。

暇つぶしにはなる、値段の価値ありっていうところですかね。

この本も旬の本らしく、すぐに売れたんですって。
今まで購入した本、一冊も手元になく全部売れたとよろこんでました。

この前お客さんが「江津で一番たくさん本読んでる女性ですね。」と言ってたけど、そんなもん、自慢にも何にもならん。ただ暇だからということなのですよね。


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晴れ 25℃

「切羽へ」を読む・・井上荒野著(新潮社)・・9/23日読了

2009年09月29日 | 本の事
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 この本は ブログ友達で本が大好きな慧ーstyeさんのお勧めもあり、アマゾンで購入していたのだけど、読まなければならない本がたくさんあり、やっと読み始めたらグイグイ引き込まれていき あっという間に読んでしまった本です。久々に良い本に巡り合えたと思える内容でした。

この物語は絶対に「何も起こらない」ことから恋愛の本質を突き詰める恋愛小説だと思う。こういう綺麗で人間の理性がまさる恋愛小説は、本当に心がほのぼのとする。私の好きな分野です。
舞台は、父で作家の井上光晴が故郷と語った長崎県の炭鉱の島・崎戸町なのだ。

この町は(島は)勿論行ったことはないのだけど、お客さんの下ちゃんの故郷の佐世保の近くで、小学校の頃臨海学校でよくいったところだということを聞いていたのと、以前、太平洋で37日間漂流していて奇跡的に助かった漁船の船長の町でもあったのだ。このときこの船長が彷徨っていた体験本を出版されて感想文を募集していたので応募したら 読書感想文が本人にとどき 電話をもらったこともあり、なんとなく何時か行ってみたいなぁと思っていたのだ。そんなわけで少し予備知識があり、余計に本の中にはいりこんでしまった。

 また前置きが長くなってしまったけれど、格調高い内容と文章で読後感がとっても爽やかでした。

物語は、画家の夫と仲むつまじく暮らす島の小学校養護教諭セイが主人公。ある日、東京から石和という若い男性教師がやってくる。得体のしれないところがある石和に、セイはひかれていく。
実際井上荒野が結婚したばかりのころ、最愛の男性と暮らす幸福感と安心感の中で、「いつかこんなに好きな夫を愛せなくなる日がくるかもしれない。ふとそう思ってこわくなった」。その思いが作品の根底にあるという事を調べているうちに知り、やはり私も結婚するとき、もしかしてこの先もっと好きな人が表れたらどうしよう、そう思ったことを思い出してしまった。

しかし井上荒野は特に意識したのは、「二人にキスもさせない、何も起こらない小説にする」こと。島の病院や映画館の廃虚跡で、海辺で、炭鉱跡で――セイと石和はひかれあいながらも、決して一線を越えることはない。「たいていの恋愛小説は、男女が出会い、何かが起こる。けれど、表面上は何も起こらない中で、心の中のことを描きたかった」とのこと。

静かにたんたんと美しい文章で進んでいくとの印象が強い作品なのだけど、その中で自由奔放に生きる月江の存在がとても強烈で印象的だった。
そしてセイが世話をしていた老女・しずかさんに対する石和との対応の違いが、セイを切羽へと導かなかったのかなと思う。
表題になっている切羽とは、トンネルを貫通してしまったら「切羽」が無くなるという事かららしいので・・。

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雲り時々雨 25℃

「逃亡者」を読む・・折原一著(文芸春秋社)・・9/20読了

2009年09月27日 | 本の事
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 早くブックレビュー書かないと、本当に頭の中から消えてしまう。
最近、新聞ですでに読んでいる本の書評を読んでも、「ええ!!これ読んだっけ?」と思ってしまう私です。
これって すでにアルツに突入しているんだろうか・・・

 この物語は新聞評によると、あの実際に起こった、殺人犯福田和子の逃亡事件をモチーフにしているのだろうと書いてある。その通り、主人公の友竹智恵子は、持ちかけられた交換殺人に乗って、知人の夫を殺してしまうが、警察の不手際で脱走し、殺人事件の時効である15年をひたすら逃亡するという物語なのだ。

分厚い本だけど、読み出したらやめられない、かっぱえびせん風本だった。
しかし内容の大部分は彼女の逃亡者としての読み応えのあるストーリーが展開される。身分を偽り、顔を変え、出会う人々に支えられながら、ひたすら日本全国を逃げまわる智恵子。必要に追いかける夫の洋司から逃げるけど、途中何度もニアミスあり、読みながらはらはらドキドキする。

このまま 逃亡物語で終わるのかと思いきや、時々意識を失う老刑事安岡、智恵子に激しい憎悪を抱く洋司、交換殺人を履行せず悲劇のヒロインを演じる亮子、逃亡中の智恵子が服を盗んだ戸村由佳、由佳の不気味な隣人など様々な視点で時効までの時間がたんたんと語られる。
それは、接客業で鍛えたトーク術で夜の仕事をし、そこで認められて昼の仕事に移ったり、気に入られて部屋を貸してもいらったりしながら生活費を稼いで行く。 時効までの残り時間を勘定しながら・・
しかし思い出したように放映されるテレビの指名手配犯を探す番組で,繰り返し報道される主人公。
懸賞がかけられることで,金に目がくらんだ周囲の誰かが密告し、すれすれのところで逃げる主人公。

作中で智恵子のインタビューが逃亡後ではなく、逃亡中に監禁された状態でのものとは意外だったし、殺人でとどめをさしたのが、智恵子ではなく夫だったというのは何となく察しがついたものの、戸村由香が智恵子を監禁し、通り魔でもあったのは意外で驚いた。プロローグの裁判シーンが智恵子ではなく由香のものだったというのが、読み終えてからわかる仕掛けになっている。

流石の過ってはミス・ミステリー(ミステイクじゃありませんよ。)と言われた私も 最後の数ページは3回も読み返して やっと事の真相を理解したというあたり、やはり年なんですかねぇ・・

ということで まぁまぁ面白かったです。暇つぶしにはなります。

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雲り時々薄晴れ 27℃

オイアウエ漂流記・・荻原浩著 (新潮社)・・9/14日読了

2009年09月20日 | 本の事
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 飛行機が不時着して無人島に取り残されたら・・・
このテーマは古くからあり、子供の頃わくわくしながら読んだ「十五少年漂流記」や「ロビンソン・クルーソの冒険」、小説の世界だけではなく、映画にもたくさんなっている。トムハンクスの「キャストアウエイ」や、ハリソンフォードの「6ディズ/7ナイツ」等々・・
冒険ものは私の大好きな分野でもある。
要は、いかにして生き抜いていくか、という究極のサバイバルであり、人間が 持つ本性が現れる、という過酷なシチュエーションなのだけど・・。
うん、まぁまぁ 面白かったかな。 
  
 で、この物語は
リゾート開発会社に勤務する塚本賢治。賢治をこき使う上司の菅原主任、安田課長、河原部長。スポンサー企業の御曹司、野々村。何やら距離感が微妙な昌人と早織のカップル。小学生の仁太とそのじっちゃん。謎の白人サイモン。10人が乗り合わせた飛行機が遭難する。機長を除く10人と犬1匹が流れ付いたのは、ポリネシアの孤島だった…。
簡単に言ってしまうと、無人島での暮らしを通じた10人と1匹の交流記である。序盤こそ険悪になるものの、徐々に無人島の環境に適応していく。小さな衝突はあるものの、物語の大部分ではゆったりと日々が流れていく。カレンダーなど意味がない。

こういう本は絶対に椎名誠に沢野ひとしの挿絵で楽しみたいと思った私ですが、この本のいいところは メンバーが暗くない。ユーモアがたっぷりなのだ。
そしてサバイバル冒険小説としても一級品だと思う。島をめぐり、火を熾す方法を模索し、水を求め、食物を獲得する。その様が細部まで丁寧に描かれていく。なるほど、火を熾すにはそうすればいいのか、などという驚きと発見がいっぱい。特に食物を獲得する過程は読ませてくれる。果物、魚介類、そして動物……。
ヤシガニのツメ一本で いいだしが出て、鍋もの、その鍋がヘルメットだったり、課長の超高級ゴルフバックが 椰子の実を持ち帰る袋に変身したり、ゴルフクラブのアイアンが魚を突く銛になったりと、持ち物が大活躍するのだ。ウミガメ料理だけは勘弁願いたいと思ったけど、椰子のジュースは美味しそうだった。

自分たちが生きていくために、人は一体どんなことをするのか。それが、ユーモアたっぷりの筆運びの合間合間に、時には残酷なくらい生々しく描写されていて、最終的に助かるのだけど、仁太の日記(鉛筆もあとわずかになるのだけど・・)によると、夏休みに遭難して 新学期が始まっている頃助けが来るということは、9ヶ月か10ヶ月無人島で暮らしていたのだ。
あまり難しく考えなければ、暇つぶしにはなる。

さぁ 次を読まなくちゃ・・・



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「楠の実が熟すまで」・・諸田玲子著( 角川書店)を読む9/10読了

2009年09月16日 | 本の事
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今日もブックレビューです。読んだ端から書かなくちゃすぐ忘れてしまうのです。なんせ頭がスカンスカンですから、そんなわけで 本嫌いの方も少しお付き合いくださいね。
      
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  「少し本の購入頻度を落としてくれん?お陰で 夜まで本読まんにゃならんで、寝る間が減る。二言目には、売る、売るというんだけ。」そういったら「俺は、女衒かね、売る、売る言って。ゆっくり読めばいいよ、俺も鬼や蛇じゃないんだけ、読むまで売るのを待つよ。」
そういいながら、はよ読め、はよ読めと急かせる。
別にただで読ましてもらってるわけじゃないのにね。甘納豆を与えているのに。
しかしナンですね、本も読みだすと癖になりますね。困ったものです。

そんなわけですが、久々の時代もの、女忍びもの、結論から言うと、面白かったです。

将軍家治の安永年間、帝がおわす京の禁裏では、出費が異常に膨らんでいた。経費を負担する幕府は頭を痛め、公家たちの不正を疑う。が、確証はなく、探索に送り込んだ者たちも次々に命を落とす。
御徒目付の中井清太夫は、最後の切り札として、姪の利津に隠密御用を命じる。御取次衆の下級公家、高屋康昆のもとに嫁ぎ、証拠を押さえるのだ。期限は秋、楠の実が熟すまで。利津はひとり、敵方に乗り込む…。女隠密、利津の運命は。

というストーリーなのだけど、嫁いだ早々利津は、高屋家が何か秘密を隠していることを感じる。その一方、夫となった康昆は気さくな好人物であるうえに、継子となった幼い千代丸からはすっかり慕われるという按配。
次第に夫へ惹かれていく心と、隠密の役目を果たすことによっていずれ夫と愛し子を裏切らねばならないという心の板ばさみとなって苦悩する利津。

でも、夫康昆が、本当は心やさしい、男らしい人だということが最後にわかるのだけど、それが切なくて・・・
物語はサスペンスタッチなのだけど、ラブストリーで時代と境遇に翻弄される哀れさを描いている。

忍びでありながら、その前に女であるからして、調べる相手に感情を移入してはいけない、わかっているけど、その相手が、極悪人ならまだしも、男らしくて、思いやりがあり、しかし自分の生い立ちからどうすることもできない状況だったら、私はダメですね。すぐ好きになってしまう。
そんな思いで読み終えました。

「この本意外に拾いものだったね。」とトンボに言ったら「それは失礼だよ、俺はえっちゃんに喜んでもらおうと思って、吟味して購入しているんだから。」と言ってましたが、その割には相変わらずくだらないのが多い。

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晴れ 26℃ 

身の上話・・佐藤正午著(光文社)を読む。9/2日読了

2009年09月09日 | 本の事
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  「この本はね、すでに売れ口決まっているんだけ、早く読みんさい。」
まだ読んでる最中に、新聞読んでいたら、そんなもん読む暇があったら本読め、テレビみてたら本読めと、愚かなトンボが偉そうにせかせる。
そんなわけで斜め読みした本ですが、たいして面白くないなぁ、軽い本だなぁと思いながら、なんとなく入りこんでしまう、そんな本です。(装丁が面白いから 写真をクリックしてみてくださいね。)
ブックレビューが続いていますが、読んだ端から忘れてしまいますので、記録に留どめておかなくちゃです。勘弁して読んでくださいね。

 で、物語はというと・・
主人公は、海に近い地方の街の書店に勤めるミチル。
商店街の宝石店の息子と交際すると同時に、月に一度、出張してくる大手出版社の販売部に勤める男と交際している。
そしてあるとき、彼が東京に帰る際、バスターミナルまで見送りに出たミチルは、歯医者と同僚の宝くじを買ってきますねといったまま 空港へ向かうバスに衝動的に乗ってしまい、東京へと向かっていた……。
一時の衝動をきっかけとして思わぬ方向へ転換していくミチルの物語を、彼女の夫と名乗る人物が語るところから物語は始まる。

最初は平凡に過ぎなかったミチルのキャラクターは、わけわからないうちに どんどん立体的になり、さらには彼女を取り巻く人々の意外な一面なども、あらわになってくる。
人生はまさしく一寸先は闇だということ。そして、その闇を手探りで考えながら進みゆくことの苦さと、まれに、奇跡のように目の前に現れる至福。(宝くじが当たるのですが・・)
そういうことの繰り返しが、人生そのものだという普遍的な事実を、極端な状況を設定したうえで作者は、エンタテインメント性を加えて提示しているように思える。
ありえないかのように見えて、それでももしかしたら身近なところにもそんな話はあるかもしれないと感じさせるリアリティに、思わず読みながら 溜息。

身の上話でありながらこれはミステリー。
凶器がフライパンというところも、なんか普通っぽいしね。
読みながら語り手の夫はいつどこで知合うのか、最後のどんでん返しが意外に面白い。

ところで この主人公宝くじが当たるんです。
友達のも含めてバラで買った宝くじの数十枚の中の一枚が、なんと・・ 
二〇〇〇〇〇〇〇〇円当たるのです。それをネコばばする、とうか、自分のが当たったように細工してしまう、のだけど。
怖かったでしょうね。読みながら震えました。

ううむ、あなたならどうする?というシチュエーション。
私ならどうするだろう、しばし考えさせて下さい。

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夜半雨、昼間雲り、時々薄晴れ  26℃

骸骨ビルの庭・・宮本輝著 (講談社)・・8/27読了

2009年09月03日 | 本の事
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 次から次から未読本が貯まる。
選挙もあり 曲がりなりにも一応仕事しているし、そうそう読めなくて、貯まりに貯まった。(今の時点で、4冊、オイアウエ漂流記、同期、楠の木が熟すまで、切羽へ。)あぁ 忙しい・・
そんなわけで読んだはしから早くブックレビュー書かなくちゃ 忘れてしまう。
 
 というわけで、骸骨ビルの庭です。
どうしても読みたい本だったので、トンボにも薦めて そして希望がかなって読んだ本なのだ。
「あんたはいいね、タダで本が読めて、俺が今の医療関係の仕事辞めたら こんなに本は読めんけぇねぇ、今の仕事が夜 暇だから本買っているんだけぇ。」という嫌みつきですが、そんなの無視です。
「いつまでも体が動くうちは働いたほうがいいよ。そうしないと頭が呆ける。」と言っておきましたけど・・・。

 また、枕が長くなったけど・・
宮本輝は好きな作家のうちに入る。というか大好き。
それは私ごときが偉そうだけど、文章の構成がしっかりしていて、そして読む者を決して裏切らないと思えるからだ。
この本も読後感が温かく、爽やかで、久々に心にガーンとくる物語だった。

で、ストーリーは、主人公が骸骨ビルと呼ばれるビルに住み着いた元戦災孤児たちを、立ち退かせるために大阪・十三にやってくるところから始まがまり、そこで出会う人たちとの交流、顛末を描いている。
いつまでも立ち退かないビルの籠城者たちは、欲に目がくらんで動かないのではなく、自分たちの過去を守るために譲らないのである。

そしてこれらの登場人物がこれがまた、いずれも分別をわきまえた中年男女なので、成熟した意見が飛び交い、それぞれが個性的で素晴らしいのだ。
なので、当然いろいろと深い問題を含んでいるのだが、それがみーんないい人。心根が優しいので、恩着せがましくなくさりげなく助け合っていくのだ。

そしてそれより何よりいいのは、 中に出てくる実に美味しそうな料理の数々である。
みなと食堂の15時間煮るという鯖の味噌煮や豚肉のポトフやオムレツもおいしそう。私は牡蠣のしぐれ煮 これを絶対に作るぞ、、読みながら思った。
他にも丸鶏からつくるスープやとろろ汁など 美味しそうなのがゾロゾロ出てくる。
宮本輝は糖尿病だと聞いたけど、食事制限しているのだろうか?
それでこんな美味しそうな料理を 料理本でもないのに書いているのだろうか?

物語の結末は、トンボも読んだのでネタばれもいいらしい。
戦争のどさくさで親と離れたり、孤児になった子供たちを親代わりとして、このビルで献身的に面倒をみてくれた二人の青年の、無私の愛に育まれ、身の幸せを改めてかみしめるながら、ビルから円満に巣立っていく今は40代半ばの子供たちの物語・・。
ハッピーエンドでしみじみと終わる。

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雲り時々薄晴れ 28℃

「悪党」・薬丸岳著(角川書店)を読む。 (8/17読了)

2009年08月23日 | 本の事
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 「あんたにぴったりの題名の本見つけたよ。」
といいながらトンボが見せてくれた本。ったく!!

あらすじは・・
自らが犯した不祥事で職を追われた元警官の佐伯修一は、今は埼玉の探偵事務所に籍を置いている。決して繁盛しているとはいえない事務所に、ある老夫婦から人捜しの依頼が舞い込んだ。自分たちの息子を殺し、刑期を終え社会復帰しているはずの男を捜し出し、さらに、その男を赦すべきか、赦すべきでないのか、その判断材料を見つけて欲しいというのだ。この仕事に後ろ向きだった佐伯は、所長の命令で渋々調査を開始する。実は、佐伯自身も、かつて身内を殺された犯罪被害者遺族なのだった……。(書評より)
ということなのだけど、罪は社会的には刑務所に入ることで償われるけれど、被害者家族にとっては、そんなことでは到底心の傷は癒えない。
刑務所を出て加害者がのうのうと生きているなんてことは、あまりにも不公平だと思うけれど、それだからといって復讐していいのかといわれると それはそれで難しい。昔のように仇打ちがあるわけでもないしね。

犯罪者は何をもって罪を償ったといえるのか? 犯罪被害者遺族は何をもって罪を赦すべきなのか?
凄く難しくて、おいそれと素人が答えを口に出せないような気がする。

裁判員制度が発令されてこういう小説が多くなったのか、それとも裁判員制度がすでに始まったから、今まで何の気なしに流し読みしていた内容に興味が出てきたのかよくわからないが、最近読んだ本は、私ならどうするというようなシチュエーションが多いような気がしてならない。

 話はすごく飛躍するのだけど、陪審員制度が始まり、昔からあるアメリカの陪審員制度とよく比較されるのだけど、私は陪審員制度といえば、映画の「十二人の怒れる男」を思い出すのだ。あまりにも有名な映画だから内容等は書かないけど、私がこの制度は怖いなぁと思う理由の一つに、思想的な問題があると思う。

この映画でも作中の12人のうち、最後まで有罪を唱える人が2人いた。一人は人種差別的な思想を持つ人間。そしてもう一人は、自分が持つ家族関係のトラウマから、歪んだ考えしかできない人間。

日本の裁判員制度でも、法律関係の職に就いている者は裁判員にはなれない、けど思想的なことは本人が黙っていればチェックしようがないし、誰にもわからないものね。

感想文とはずいぶん話が飛躍してしまったけど、そんなわけでなにか、今の世の中、被害者の気持ちがないがしろにされているような、被害者のプライバシーのほうがあからさまにされているような、そんな不安が、そのまま書かれたような本でした。



「終の棲家」・・磯崎憲一郎著(文芸春秋)を読む。(8/13日読了)

2009年08月17日 | 本の事
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 いつものように、芥川賞は文芸春秋で読むことにしている。
書評とか、審査員の目の付けどころとか書いてあり、それも読めるので、二度徳したような気になるからというのもある。

結構辛口の石原信太郎が、作家の登竜門とも言われている芥川賞の候補作品なるものが、年ごとに駄作の羅列に終わっているような気がする。
彼らは彼らなりに、こちらは命がけで書いているのだというかもしれないが、作品が自らの人生に裏打ちされて絞り出された言葉たちという気が一向にしない。と書いていたが、偉そうに素人の私もそのような気がする。
たとえば第一回の受賞作品が石川達三でそれに敗れたのが太宰治 そう考えると随分質の高さを印象付けるのだが、それもこれも我々が年を取ったからだと思う。感性や、感受性、外界からの刺激を受け止める感覚的能力などが、ずれてきて、今の若者の感覚が、いいか悪いかは別にいして、心にガーンと響かなくなったのではないかと私は分析します。

 前置きが長くなったけど、私はこの作品は、スムーズに入り込めないように感じた。
それは、この物語は「人間の人格」など生きる上で何の役にも立たないということで、なーんか心にゆとりがない、まさしく心の闇とはこういうことなんだ、人と人の生きるうえでの繋がりとは、そんなものじゃないと、思えたからなのだけど・・。

製薬会社に勤める主人公は三十歳を過ぎて妻と結婚する。特に燃え上がるような恋愛感情があったわけではなく、すでに二人には「疲れたような、あきらめたような」表情があらわれている。どうでもよかった、だれでもよかった、そういう感じ。だからこそ、二人にとりたてて事件が起こるわけではなく、彼の観念的な精神風景がつづく。
 主人公の女性関係にしても、家庭を壊すほどの熱情はない。子供もできた。一見平和な家庭が営まれているにもかかわらず、突然「妻は彼と口を利かなくな」り、その後十一年もの間、二人は会話のない生活をおくる。彼にもその理由はわからない。
 果たして、この妻というのは人格をもった、主人公にとっての他人であるのか。あるいは漠然と「家庭」を暗喩するものだろうか。
やがて、建てられる彼らの「終の住処」。その時、妻はふたたび話しはじめるのだが、十一年間一言も話さなかったのだ。
しかし失った十一年間を彼らは取り返そうとするのでもなく、淡々に受け入れるだけである。五十を過ぎた主人公が「彼も妻も、ふたつの顔はむかしと何ら変わっておらず、そのうえ鏡に映したように似ている」ことに気づくところで物語はおわる。

仮面夫婦というのだろうか、それとも違うのかな。
私は嫌だなぁ こんな生活、絶対に嫌、そう思いながら読んだのだけど・・

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