おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「銀河ヒッチハイクガイド」 ダグラス・アダムス

2012年02月09日 | た行の作家

「銀河ヒッチハイクガイド」 ダグラス・アダムス著 河出文庫

 

 最近は、基本的に日本人作家の本しか読まない。フランソワとかリチャードとかいう小洒落た名前の登場人物に感情移入できないし、故に、登場人物の名前をなかなか覚えられない。それに、やっばり、翻訳の限界があるような気がします(原文で読むことができない私自身の限界は、とりあえず棚上げ♪)

 

 というわけで、とっても久し振りの海外作品。友人のススメで、あんまり面白そうだったので、話を聞いたその日のうちにネットで注文しました。

 

 もともとは1978年にBBCが放送したラジオドラマのノベライズ版。ラジオドラマも書籍も大ヒットしてその後シリーズ化されたようですが、この第1作が一番面白いようです。「ナンセンスSFの金字塔」「ブリティッシュジョーク満載で抱腹絶倒」―らしいのですが、抱腹絶倒というよりも、シュールすぎて引きつる笑いかも。

 

イギリスの郊外に住む一人暮らしの男の物語。朝、歯磨きしながら、鏡に映る窓の外の黄色のブルドーザーが目に入る。いったい、なぜ、家にブルドーザーがやってくるのか? そう、その男の家は、バイパス建設のために取り壊されることになっていたのだ。 男は「そんな話は聞いていない! 横暴だ!」と怒るものの、立ち退き地域は何年も前から役場で縦覧されていた。(簡単にはたどりつけない役場の地下の、カギのかかったキャビネットの中だけど

 

 男はブルドーザーの進路に身を投げ出し、必死に、取り壊し阻止をしようとするのだが… そんなことは全くの無駄。なにしろ、12分後には地球が銀河バイパスの建設のために取り壊しされることに決まっていたのだから。(男が自宅の立ち退きを知らなかったように、地球人のほとんどは地球消滅を知らない)

 

 タイトルの「銀河ヒッチハイクガイド」は、物語に登場する書籍の名前。電子書籍スタイルの「地球の歩き方」の宇宙バージョンみたいなもの。私は、ここに、一番、感銘を受けました。今の時代なら、電子書籍の旅行ガイドと聞いても全く驚くこともないけれど、1978年の作品なのだから、まだ、パソコンはほとんど普及していない時代。90年代のノートパソコンだって、今と比べると、相当に分厚く重たかったことを思えば、70年代のコンピューターはコンパクトからはほど遠いいし、もちろん、ネットにも繋がっていないわけで、そういう時代に電子本を発想しているのはすごい。しかも、その形状が、ちょっとiPadを野暮ったくしたみたいに表現されている。

 

ちなみに、その電子ブックの中で地球に関する記述は、たった一言「無害」だけ!その後、宇宙船ヒッチハイクに失敗して15年も地球に滞在することになった宇宙人によって「ほとんど無害」に改訂される。いいなぁ。宇宙の中でずっと「ほとんど無害」の存在でありたい。

 

確かに面白かったけれど…でも、やっぱり、「翻訳の限界」を感じました。原文で読めたら、さらに面白いのかものしれないけれど、そこが私の限界です



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