おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「ダチョウ力」 塚本康浩

2009年06月20日 | た行の作家
「ダチョウ力」 塚本康浩著 朝日新聞出版 (09/06/20)

 ダチョウに魅せられてしまった研究者のダチョウ三昧な日々。ダチョウなんて、動物園で一度か二度見たことがある程度で、ほとんど、予備知識ナシなのですが、その、おバカ加減に結構、なごみます。
 
 身長2.5メートルを超える巨体なのに、脳は猫並みの大きさ。しかも、ツルンとしてほとんど皴がない。本当に、バカなんだそうです。だから、人の顔もほとんど覚えない=なつかない。考えも無しに唐突に走りだし、側溝に落ちてヘロヘロになっている。カラスに襲われても痛みに鈍感で血肉がむき出しになっているのに平気で餌をバクバク食べ続ける。綺麗好きじゃない。肉はまずい。

 ダチョウに馴染みが無いのは、もしかして、人間から見てダチョウに取り柄がないからなのかもしれません。それでも、ダチョウを愛してしまった後藤先生の「やっぱりダチョウが好きだ!」という純粋さが、なんとも、また、笑えるのです。

 そして、「好き」こそ最大のエネルギー源。塚本先生の研究は、ダチョウ抗体を活用した新型インフルエンザの予防技術に行きつくのです。後藤先生が開発した抗体を利用したマスクは既に商品化されており、もしかしたら、この秋冬のインフルエンザシーズンには大注目されるかもしれません。

 なのに「ダチョウの卵の殻はアロマキャンドルにピッタリ」と、病理学の研究とは何の関係もないことまで熱く語る塚本先生。ちょっとおバカなダチョウ同様、愛すべき方なのだろうなぁと思いました。



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