「架空の球を追う」 森絵都著 文春文庫
「ほろ苦く、最後にちょっと救いのあるいい話を集めました」的な短篇集。 機内誌とか、銀行の待合スペースにおいてある機関誌とかにちょこっと載っていそうなストーリー。
私はこういうのが一番苦手だ。どこにでもありそうな日常の光景を切り取って、こざっぱりと小品に仕立てあげているのは、「巧いなぁ」と思うところもある。一篇一篇は短かく、気楽に読める。でも、読み終わって最後のページを閉じた瞬間、「もう、どんな話が書いてあったか忘れちゃいました!」って感じ。
「プチフール」と呼ばれる小さなケーキの詰め合わせみたいだ。箱を開けた瞬間は、色とりどりで、可愛らしくて、嬉しくなる。でも、実際には、大した食べごたえもなく、一口でお仕舞い。「あれ、今、食べたのは何の味だっけ?」と考えてもなかなか思い出せないような…。
美味しいものを食べるなら、ゆっくり味わって食べたいのです!
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