おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「格闘するものに○」 三浦しをん

2008年05月21日 | ま行の作家
「格闘するものに○(マル)」 三浦しをん著 新潮文庫(08/05/21読了)

 三浦しをんのデビュー作。タイトルとはうらはらに、あんまり格闘しているとは思えないユルキャラの可南子ちゃんの就職活動模様(といっても、ろくに活動していないが…)を軸に、友人や家族との交流を描いた作品。肩こらず、頭固くせず、気楽にウフフと笑いながら読めます。だから、気分転換にピッタリ!でも、かといって、フワフワのマシュマロのように何も残らないわけではなくて、読み終わっても、ちょっと心に引っ掛かるものがある感じです。

恐らくは、三浦しをん自身を反映させていると思しき可南子ちゃんの脱力&ゴーイング・マイ・ウェイぶりが何とも気持ちがよろしいのです。潔いまでに「人は人、我は我」と割り切れる強さが、彼女の文筆家としてのバックボーンになっているのだと思います。 で、どうにも珍妙なタイトルは、ストーリーの中で出版社「K談社」の社員の発言として紹介されています。どう考えても「K談社」って、あの「K談社」以外に考えられないですよね。もしも、このエピソードが実話であるとすれば、これから、K談社の本を買うのをちょっと躊躇してしまいそうです。「いくらなんでも、出版社の社員としてはマズいでしょ」と突っ込みを入れたくなります。

大変、楽しかった。でも、私的には、やっぱり「仏果を得ず」の方が断然、好きです。


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