<湯田川温泉(3) 山形・鶴岡>
この宿の大浴場も最近多い男女交代制である。
ただ、たいていのところで夜中近くが交代時間だが、八時と早い。となれば夕食時間があまりにも短かったため殺到しそうである。一刻も早くいきたいのを堪えて九時過ぎにいってみた。
(やっぱり、女風呂だったこっちの石風呂のほうがメインの浴場だったんだ・・・)
男風呂だった檜風呂のほうに比べて広いし、外には露天風呂もある。入れ違いに出ていった男性客も、質素な夕食で下がったテンションを幾分か回復できたようだった。
バックに老舗宿がいる、とあとで知ってみると、どうしても豪華な夕食をという客はたぶん高いプランも用意されていると思う。
朝食時間になるまで暇潰しに温泉街を散歩することにした。
山頭火や夢二など文人墨客が逗留した湯田川温泉は、藤沢周平が教師として最初で最後の赴任地であり、藤沢作品「花のあと」にも湯治場としても登場する。
共同浴場「正面の湯」である。
さすがに、出羽三山参りをする参拝者の「精進落とし」といわれる温泉場らしい雰囲気がたしかにある。
加水・加温・循環をしていない純粋な掛け流し温泉で、利用するには近所の商店で入湯料を払ってドアを開けてもらう。わたしは宿の浴場でまあまあ満足したので利用しなかったが、宿泊客であれば旅館の鍵を借りられるそうだ。
正面の湯の前には最近できた風情のある足湯「しらさぎの湯」があった。
脇道の奥には湯田川温泉鎮護の「由豆佐売神社(ゆずさめじんじゃ)」があり、ここは藤沢周平原作の映画「たそがれ清兵衛」のロケ地にも使われ、祭りのシーンが撮られた。
朝食は、夕食からの連想を見事に裏切る、なかなかのメニューである。詳細を略すが、なんと湯野浜温泉の「亀や」とまったく同じなのだ。
それもその筈で、この宿のバックにはメインとして湯野浜温泉「亀や」、加えて天童温泉「滝の湯」と、かみのやま温泉「葉山館」という老舗宿も控えているのである。
豪華な朝餉を猛烈な速度で平らげると、湯野浜、温海と並び庄内三名湯のひとつである湯田川温泉の、最後のひと風呂だ。
散歩前の、未明の時間にも入ったから三度目である。
温泉だが源泉温度が低いので加温していること、四時間ごとに塩素系消毒剤を投入しているので完全掛け流しとはいいがたいが、共同浴場で口直しせずに済む、まあ許容範囲ぎりぎりだろう。
「何もしない。ただ、宿へ旅をする」
日常の地平から隔たった静謐の空間で
穏やかな忘我の刻を過ごす
宿のHPより
「とても素晴らしい文章をお書きになりますね」
駄文しか書けないわたしは、庵主と、どうみても思われる方にチェックアウトのとき靴を履きながら尋ねてみると、「いやぁー、なに、アレすべて東京の業者にお任せしたのです」との正拳直突きな返事に一撃され、思い切りずっこけてしまった。
質素な夕食をヘルシーと好意的に思ってくれる女子を本気でリピーターに獲りこみたいのなら、ここは寡黙と曖昧な微笑くらいで応じたほうが無難だろう。身も蓋もない返事は論外のタブーである。
→「湯田川温泉(1) 山形・鶴岡」の記事はこちら
→「湯田川温泉(2) 山形・鶴岡」の記事はこちら
→「山形・湯野浜温泉の老舗宿(1)」の記事はこちら
→「山形・湯野浜温泉の老舗宿(2)」の記事はこちら
→「山形・湯野浜温泉の老舗宿(3)」の記事はこちら
この宿の大浴場も最近多い男女交代制である。
ただ、たいていのところで夜中近くが交代時間だが、八時と早い。となれば夕食時間があまりにも短かったため殺到しそうである。一刻も早くいきたいのを堪えて九時過ぎにいってみた。
(やっぱり、女風呂だったこっちの石風呂のほうがメインの浴場だったんだ・・・)
男風呂だった檜風呂のほうに比べて広いし、外には露天風呂もある。入れ違いに出ていった男性客も、質素な夕食で下がったテンションを幾分か回復できたようだった。
バックに老舗宿がいる、とあとで知ってみると、どうしても豪華な夕食をという客はたぶん高いプランも用意されていると思う。
朝食時間になるまで暇潰しに温泉街を散歩することにした。
山頭火や夢二など文人墨客が逗留した湯田川温泉は、藤沢周平が教師として最初で最後の赴任地であり、藤沢作品「花のあと」にも湯治場としても登場する。
共同浴場「正面の湯」である。
さすがに、出羽三山参りをする参拝者の「精進落とし」といわれる温泉場らしい雰囲気がたしかにある。
加水・加温・循環をしていない純粋な掛け流し温泉で、利用するには近所の商店で入湯料を払ってドアを開けてもらう。わたしは宿の浴場でまあまあ満足したので利用しなかったが、宿泊客であれば旅館の鍵を借りられるそうだ。
正面の湯の前には最近できた風情のある足湯「しらさぎの湯」があった。
脇道の奥には湯田川温泉鎮護の「由豆佐売神社(ゆずさめじんじゃ)」があり、ここは藤沢周平原作の映画「たそがれ清兵衛」のロケ地にも使われ、祭りのシーンが撮られた。
朝食は、夕食からの連想を見事に裏切る、なかなかのメニューである。詳細を略すが、なんと湯野浜温泉の「亀や」とまったく同じなのだ。
それもその筈で、この宿のバックにはメインとして湯野浜温泉「亀や」、加えて天童温泉「滝の湯」と、かみのやま温泉「葉山館」という老舗宿も控えているのである。
豪華な朝餉を猛烈な速度で平らげると、湯野浜、温海と並び庄内三名湯のひとつである湯田川温泉の、最後のひと風呂だ。
散歩前の、未明の時間にも入ったから三度目である。
温泉だが源泉温度が低いので加温していること、四時間ごとに塩素系消毒剤を投入しているので完全掛け流しとはいいがたいが、共同浴場で口直しせずに済む、まあ許容範囲ぎりぎりだろう。
「何もしない。ただ、宿へ旅をする」
日常の地平から隔たった静謐の空間で
穏やかな忘我の刻を過ごす
宿のHPより
「とても素晴らしい文章をお書きになりますね」
駄文しか書けないわたしは、庵主と、どうみても思われる方にチェックアウトのとき靴を履きながら尋ねてみると、「いやぁー、なに、アレすべて東京の業者にお任せしたのです」との正拳直突きな返事に一撃され、思い切りずっこけてしまった。
質素な夕食をヘルシーと好意的に思ってくれる女子を本気でリピーターに獲りこみたいのなら、ここは寡黙と曖昧な微笑くらいで応じたほうが無難だろう。身も蓋もない返事は論外のタブーである。
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→「山形・湯野浜温泉の老舗宿(1)」の記事はこちら
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