温泉クンの旅日記

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龍泉洞 岩手・岩泉

2010-11-10 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <龍泉洞>

「閉館までもうあまり時間がありませんので、両方いくのであれば先に新洞のほうからいってください」
 切符を購入するときに係りのひとに急きたてられた。
「あーと、いいです。こちらだけで」



 もう、そんな時間になっていたのか。
 時計をみると午後四時四十分である。浄土ヶ浜から五十キロ、一時間ちょっとだからまずまずの所要時間だが、陽が落ちるのが早いのでもう夕方だ。

 龍泉洞は山口県の秋芳洞、高知県の龍河洞とともに日本三大鍾乳洞に数えられる。全長は二キロ半以上とも五キロ以上とも言われている。

 百間廊下と呼ばれる洞内の廊下のような狭い道を歩む。わたしには閉所恐怖も多少あるが案外と天井が高いので平気だ。




 暗い周囲と足元を気にしながら歩き始めると、すぐ頭上を蝙蝠が羽ばたいて掠めていき吃驚する。蝙蝠は不規則な飛翔をしながら闇のなかに消えていった。
 おいおい、脅かすなよ。誰もいなくなり暗くなってから出てこいよ。

 龍泉洞にはキクガシラコウモリ、コキクガシラコウモリ、モモジロコウモリ、ウサギコウモリ、テングコウモリの五種類ものコウモリが生息している。



 照明があちこちにあるので、それほど怖くはない。



 洞内を歩くのは幅も高さもあるので苦労しないのだが、滴り落ちる湧水で濡れているため に滑らないように注意が必要だ。



 途中にある玉響の滝。



 轟音をあげて滝が流れていた。岩の間に呑みこまれていくが、新洞のほうに流れこんでいくのだろうか。

 奥のほうには第一地底湖から第三地底湖まで三つある。
 第一と第二地底湖は、どちらかというとエメラルドグリーンの透明な水で満たされていた。



 最後の第三地底湖が一番深くて、九十八メートルの深さだ。



 そのドラゴンブルーと呼ばれる透明すぎる水の、はるか底を覗き込むと吸いこまれそうだ。地底湖の上に、たよりない鉄柱に張られたそれほど厚くもない濡れた板の上からみているので、もしも板が抜けて落ちたら、と思うとかなりゾクっとする。

 水という物質が満たされていなければ、べらぼうな高所、百メートルの高みに立って真下をみているわけで、自分が高所恐怖症だったことを突然思いだす。
 突然、板が割れて冷たく青い水の底に、音もなく吸いこまれるように呑まれていく自分を想像して腰が引ける。落ちた瞬間に、そのあまりの冷たさに一瞬で心臓は停止し悲鳴もあげることはないだろうな。

 これくらいで、戻るとするか。
 閉館は五時だが、客がいる以上は「時間がきたからね」と照明をいきなり落とすこともあるまいが、ここでだけはご免である。

 公開されていない第四地底湖というのがいまのところ一番深くて、百二十メートルの深さだそうだ。



 この龍泉洞に湧く水は、世界でも有数の透明度を誇っている。
 これは、地下深くに潜り込んだ沢の水が、地底湖で湧出するためである。腐葉土によって濾過されており、石灰質を多く溶かし込んでいるので味がよく、名水百選に選定されている。

 水割り用に買っていくことにしようか。


    →「浄土ヶ浜」の記事はこちら

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