温泉クンの旅日記

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峩々温泉(4)

2019-02-24 | 温泉エッセイ
  <峩々温泉(4)>

 朝、目覚めるとすぐにタオルを持って貸切露天風呂に向かった。
 浴衣を脱ぎすてる前に、手を湯に差し入れて温度をみる。よし、だいじょうぶそうだ。今回は昨日みたいに足湯だけで強制終了することはないぞ。

 

 目にもとまらぬ速さで脱ぐと、掛け湯をして熱い湯に身体をゆっくり滑り込ませる。
 標高八百メートルの朝の冷たい外気温のせいか、それともわたしの前の入浴客のせいで湯が練れたのだろうか。なんとも丁度いい熱さで、満悦感がいま顔中いっぱいに浮かんでいることだろう。

 

 眼下に濁川が見える。
 久しぶりに夢すらみずにゆっくり眠れたのは、深酒のせいではなくて、たぶん絶え間なく聞こえた川のせせらぎのせいだろう。静謐だけの、無音の夜は途方もない圧力をわたしは感じてしまうほうだ。

 

 昨日、気がつかなかったが廊下に「ご金言」の額がいくつかあった。

 

 曰く「登り道は迷わない 降り道に気をつけよ」、「まっすぐな木まっすぐ使え 曲がった木曲がったまま生かせ」、「失敗だったなんて思うんじゃないよ その時はそれしかなかったのだから 人生に失敗なんてないんだよ」、「迷っているのがわからないから 迷いというんだよ」、「どんな深い悲しみにもそれにふさわしい深い幸せがきっとある」。
 どれも・・・深い。

 朝食は和食と洋食が選べる。
 昨夜のご飯がおいしかったので、和食を選んであった。

 

 思った通りの味で満足できた。夜のソーセージもおいしかったが、朝のハムも旨かった。きっと拘りがあるのだろう。そういえば野菜も佐藤さんという農家のものを使っていると聞いた。

 談話室で宿自慢の、山の清水を使った水出し珈琲を喫する。
 水出し珈琲だが、一晩かけて、三秒に二滴の水を落とすらしい。

 

 

 部屋の鍵だが、変哲もない鍵に付いているキーホルダーがなんとも重厚で宝箱の鍵みたいだなあと思ってしまう。

 

 

 部屋で一服してから、最後の入浴に向かった。
 まずは、内湯に軽く入って身体を温めると、出てすぐの露天風呂へ。

 

 そうして、もう一度じっくり内湯で締めくくる。この峩々温泉てえヤツは「ぬるま湯人生」にはおよそ無縁だなあ・・・と妙に納得してしまうのだった。

 

 昔から「湯治は、七日一回り、三回りを要す」というが、峩々温泉で三回り滞在するのなら相当な資金力が必要だ。残念ながらわたしには無理。一泊しただけでも「恩の字だ」と思うことにする。
 峩々温泉の「峩」の字の入ったTシャツ、悩んだ末購入をあきらめたのをすこしだけ後悔している。

 


   →「峩々温泉(1)」の記事はこちら
   →「峩々温泉(2)」の記事はこちら
   →「峩々温泉(3)」の記事はこちら


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