温泉クンの旅日記

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阿寒湖温泉、朝の風景(2)

2020-04-12 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <阿寒湖温泉、朝の風景(2)>

 阿寒湖は釧路市にある北海道で五番目に大きい淡水湖で、全域が阿寒摩周国立公園に含まれ、道東を代表する観光拠点となっている。湖には、マリモやベニザケの湖沼残留型(陸封型)であるヒメマスが生息する。

 

 雄阿寒岳の西にあり、山の北にあるパンケトー、東にあるペンケトーとともに雄阿寒岳の裾野を三方から円形に囲む地勢だ。雄阿寒岳と対をなす雌阿寒岳は、阿寒湖の南西約九キロメートルのところにあり、カルデラ湖としては傾斜も深さも穏やかである。

 

 冬は全面結氷し、ワカサギ釣り、スケート、スノーモービルなどのウィンタースポーツが盛んで、阿寒湖氷上フェスティバル・冬華火などのイベントも開催される。周囲はエゾマツ・トドマツなどの亜高山帯針葉樹林、および広葉樹を交えた針広混交林の深い森に覆われている。

 

「すみませんねー、こんな遠くの駐車場をお願いして。今日はなぜか一番混むお盆なみのトクビ(特日)みたいで、もうてんてこ舞いですよ」
 離れた駐車場から宿へ向かうマイクロバスのなかで年配の運転手がいった。いかにも申し訳なさそうな口調だが、商売繁盛でどこか嬉しげでもある。

 

 昨日、宿に到着すると駐車場が満杯で入れない。係の人に訊くと、別な場所へ駐車して欲しいという。案内の地図をたよりに離れたところにあるだだ広い駐車場に車を置くと、やってきたマイクロバスが宿までピストン輸送していたのだった。

 

 業界用語のトクビ(特日)というだけあって、たしかに凄かった。
 湖畔に建つ「ニュー阿寒ホテル」は客室数三百七十室の大型リゾートホテルである。
 この日、フロントのチェックインに並ぶ行列は給料日の銀行ATMなみであった。中国人観光客も結構な割合を占めていた。

 

 最上階にある展望大浴場もいついっても芋の子を洗うといった夏の海岸状態の賑わいで、ゆっくり温泉を楽しむことはできず、屋上にある水着着用の天空ガーデンスパもあきらめてしまった。
 夜と朝の食事会場もまったく同じこと。浴場にも食事にもカメラを持って行ったが、どうしても人が映り込むので出番なしの有様だった。

 

 

 旅とはそうそう旅人の予定通りにはうまくいかないものだ。
 それでもこの宿、値ごろ感はあった。温泉は、大型ホテルなので薄い塩素臭の循環くるくるだったがこれは想定内、あの悶着ばかりの知床の宿よりは二千円も安く二食付きであったので文句はない。

 

 阿寒湖といえば、誰もがすぐに思い浮かぶのはマリモ(毬藻)である。

 

 湖に浮かぶ島のひとつであるチュウルイ島に「マリモ展示観察センター」があり、遊覧船でいける。
 しかし、マリモがあるのは阿寒湖だけではない。日本では十七ヶ所(2002年時点)、世界では北半球に五十ヶ所、生育が確認されている。ただその殆どは岩に付着した糸状のものや綿くずのような塊状のものだ。
 阿寒湖の、わたしたちが良く知るマリモは、糸のような藻が集って塊となり、風や波の力により水底で回転して丸くなったものだ。直径三十センチになるのに十年かかるという。丸いマリモは阿寒湖とアイスランドのミーヴァトン湖の二ヶ所だけというから貴重で、特別天然記念物というのも頷ける。

 

 マリモが丸く育つには塩分を含んだ温泉や冷泉も必要、というから面白い。
 開湯百四十年という温泉が、動物や人間だけでなくマリモにも役だっているのがなんとも素晴らしい。



  →「阿寒湖温泉、朝の風景(1)」の記事はこちら
  →「摩周ブルー、そんでもってカットメロン」の記事はこちら


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