稀代のオタク監督、ギレルモ・デル・トロが2013年に制作した怪獣映画『パシフック・リム』の続編。ギレルモ・デル・トロといえば本年度のアカデミー賞最優秀作品賞を受賞した映画『シェイプ・オブ・ウォーター』の監督です。ただのオタクではありません(笑)
デル・トロは本作ではプロデューサーに周り、監督はスティーヴン・S・デナイトが担当。前作が夜のシーンばかりだったのに対し、本作では真昼の陽光の下での怪獣対「イェーガー」の戦いが見られ、この点は満足。ドラマ部分もまあまあ良くできており、映画としてはうまくいった方ではないかと思う。
主演のジョン・ボイエガの演技はストーリーに深みを与えていて良かったし、クリント・イーストウッドの息子、スコット・イーストウッドはその演技の端々に父親からの影響が伺えて、なんとも微笑ましい。前作ではイェーガーのパイロットだった、菊地凛子演じる森マコは今回は事務総長に出世して登場。非常に重要な役割を果たしています。
概ね演技陣もよかったのではないかな。真剣祐くんは正直チョイ役といった感じであまり出てない。まあ、これは仕方ないね。これから実績を積まなきゃね。
全体的に前作に比べて見ごたえのある仕上がりで、映画として十分及第点を付けられると思います。
イマドキだなあと思ったのは、中国資本の影響が如実に見られることで、特に制作会社のレジェンダリーが中国企業に買収されているということもあって、その点は実に露骨でした。
イェーガーを生産しているのが中国企業という設定になっており、そこの社長が中国人の若い美人女性で、映画の後半では実戦にも参加する活躍ぶり。中国語があちこちで飛び交い、どこの国の映画だよ、これ?といった感じ。ここまで露骨だと笑ってしまいますね。
はてさてこの状況、いつまで続くことやら。
特撮はほとんどがCGでつくられております。怪獣もこれすべてCGによる表現。私としては個人的には、CGによる怪獣表現の「限界」を感じてしまいましたね。
都市破壊シーン、ビル倒壊シーンにしても、CGによる表現は今一つ面白みに欠ける。例えば『シン・ゴジラ』や『進撃の巨人』などでは、ビルの破壊、倒壊シーンはまずミニチュアを使って撮影し、そこへさらにCGによる効果を加えることで、重量感やリアリティを表現している。こちらの方がよほど面白い。
怪獣表現にしても、『シン・ゴジラ』ではオールCGでありながら着ぐるみ感を出した演出で、ただの生物ではない「怪獣」というものの異質さというものを見事に表しており、日本の伝統的特撮手法である着ぐるみ特撮が、決して無意味なものではないことを逆に証明して見せた。
これに比べて本作における怪獣は、いかにもなんというか、一言で云うと「軽い」んだよねえ。今一つ面白くないんだ。
人間の手による「職人芸」とでもいうべきものを馬鹿にしてはいけませんね。ドラマ『下町ロケット』でも、部品の最終工程は機械任せではなく、手作業による職人技で仕上げてたでしょ?あれですよ、あれ。映画だって、特撮だって同じなんだ。
なんでもかんでもCG、なんでもかんでもコンピュータ使えばいいってもんじゃない。そんなことをしたり顔で云う奴は、何もわかっちゃいないアホだね。
人間の手による「職人技」を、舐めちゃいけないよ。
映画のラスト。若干のネタバレになりますが、敢えて言うなら
【怪獣は富士山を目指す】
怪獣と富士山とが「合流」したとき、富士山は大噴火を起こし、環太平洋火山帯が一斉に誘爆を起こし、大気中に有毒ガスが蔓延し人類は滅びる。
なにかやはり、怪獣とは「大自然の怒れる精霊」であり、この映画でも結果的ではあれ、そのような位置づけになっているところに
面白さを感じましたねえ。
怪獣も"自然の精霊"というところを外さないところがいいですね! 色々忙しくて結局前作も観れていなくって…。今度も観れるんかなあ〜。
私も鑑賞しました。
怪獣に街を破壊されると、「縁起が良いな〜」と感じてしまいます。怪獣も、ちょっと背面ゴジラに似せてますよね。
ガンダムがそのまま出てきましたし(ハリウッド2作目!)、イェーガーでしたか、ロボットは、パトレイバーみたいな頭でした。日本好きね〜。
住民用避難施設が地下に潜っていくのも、ガンダム00第1話のオマージュですよね。エヴァンゲリオンの匂いもそこかしこに。
富士山の火口がグツグツしているのが興味深かったです。
声優さんも、オールスターでした。
でも富士山をラストの場面に持ってきた発想は、素晴らしいですね。やはり日本へのリスペクトなのでしょうね。