風の向くまま薫るまま

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映画 『パシフィック・リム アップライジング』2018

2018-10-17 09:53:22 | 映画












稀代のオタク監督、ギレルモ・デル・トロが2013年に制作した怪獣映画『パシフック・リム』の続編。ギレルモ・デル・トロといえば本年度のアカデミー賞最優秀作品賞を受賞した映画『シェイプ・オブ・ウォーター』の監督です。ただのオタクではありません(笑)




デル・トロは本作ではプロデューサーに周り、監督はスティーヴン・S・デナイトが担当。前作が夜のシーンばかりだったのに対し、本作では真昼の陽光の下での怪獣対「イェーガー」の戦いが見られ、この点は満足。ドラマ部分もまあまあ良くできており、映画としてはうまくいった方ではないかと思う。



主演のジョン・ボイエガの演技はストーリーに深みを与えていて良かったし、クリント・イーストウッドの息子、スコット・イーストウッドはその演技の端々に父親からの影響が伺えて、なんとも微笑ましい。前作ではイェーガーのパイロットだった、菊地凛子演じる森マコは今回は事務総長に出世して登場。非常に重要な役割を果たしています。

概ね演技陣もよかったのではないかな。真剣祐くんは正直チョイ役といった感じであまり出てない。まあ、これは仕方ないね。これから実績を積まなきゃね。


全体的に前作に比べて見ごたえのある仕上がりで、映画として十分及第点を付けられると思います。



イマドキだなあと思ったのは、中国資本の影響が如実に見られることで、特に制作会社のレジェンダリーが中国企業に買収されているということもあって、その点は実に露骨でした。

イェーガーを生産しているのが中国企業という設定になっており、そこの社長が中国人の若い美人女性で、映画の後半では実戦にも参加する活躍ぶり。中国語があちこちで飛び交い、どこの国の映画だよ、これ?といった感じ。ここまで露骨だと笑ってしまいますね。

はてさてこの状況、いつまで続くことやら。






特撮はほとんどがCGでつくられております。怪獣もこれすべてCGによる表現。私としては個人的には、CGによる怪獣表現の「限界」を感じてしまいましたね。


都市破壊シーン、ビル倒壊シーンにしても、CGによる表現は今一つ面白みに欠ける。例えば『シン・ゴジラ』や『進撃の巨人』などでは、ビルの破壊、倒壊シーンはまずミニチュアを使って撮影し、そこへさらにCGによる効果を加えることで、重量感やリアリティを表現している。こちらの方がよほど面白い。


怪獣表現にしても、『シン・ゴジラ』ではオールCGでありながら着ぐるみ感を出した演出で、ただの生物ではない「怪獣」というものの異質さというものを見事に表しており、日本の伝統的特撮手法である着ぐるみ特撮が、決して無意味なものではないことを逆に証明して見せた。

これに比べて本作における怪獣は、いかにもなんというか、一言で云うと「軽い」んだよねえ。今一つ面白くないんだ。



人間の手による「職人芸」とでもいうべきものを馬鹿にしてはいけませんね。ドラマ『下町ロケット』でも、部品の最終工程は機械任せではなく、手作業による職人技で仕上げてたでしょ?あれですよ、あれ。映画だって、特撮だって同じなんだ。

なんでもかんでもCG、なんでもかんでもコンピュータ使えばいいってもんじゃない。そんなことをしたり顔で云う奴は、何もわかっちゃいないアホだね。


人間の手による「職人技」を、舐めちゃいけないよ。




映画のラスト。若干のネタバレになりますが、敢えて言うなら


【怪獣は富士山を目指す】



怪獣と富士山とが「合流」したとき、富士山は大噴火を起こし、環太平洋火山帯が一斉に誘爆を起こし、大気中に有毒ガスが蔓延し人類は滅びる。




なにかやはり、怪獣とは「大自然の怒れる精霊」であり、この映画でも結果的ではあれ、そのような位置づけになっているところに




面白さを感じましたねえ。

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4 コメント

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Unknown (チャメゴン)
2018-10-19 08:11:34
やはり人間の手による職人技!というのがなんだかホッとします。人間いる意味ないもんね〜笑。
怪獣も"自然の精霊"というところを外さないところがいいですね! 色々忙しくて結局前作も観れていなくって…。今度も観れるんかなあ〜。
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Unknown (トキトキ)
2018-10-19 13:28:01
博士。こんにちは。

私も鑑賞しました。
怪獣に街を破壊されると、「縁起が良いな〜」と感じてしまいます。怪獣も、ちょっと背面ゴジラに似せてますよね。
ガンダムがそのまま出てきましたし(ハリウッド2作目!)、イェーガーでしたか、ロボットは、パトレイバーみたいな頭でした。日本好きね〜。
住民用避難施設が地下に潜っていくのも、ガンダム00第1話のオマージュですよね。エヴァンゲリオンの匂いもそこかしこに。
富士山の火口がグツグツしているのが興味深かったです。
声優さんも、オールスターでした。
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Unknown (薫風亭奥大道)
2018-10-19 15:12:23
チャメさん、時間があるときでいいから、観てね~。
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Unknown (薫風亭奥大道)
2018-10-19 15:26:12
おトキさん、シドニーでの謎のイェーガーとの戦闘シーンは、機動警察パトレイバーにあった、イングラム対グリフォンをもろに彷彿とさせてて、「日本好きだね~」と思いましたね~。富士山と怪獣というと、私は昭和39年の映画『ゴジラ モスラ キングギドラ 三大怪獣地球最大の決戦』を思い出します。背景のホリゾントいっぱいに描かれた巨大な富士山をバックに戦う怪獣たちの、パノラマ的な映像が強烈に印象に残っています。そこで描かれた富士山は、巨大で雄大で、尚且つ神々しい。あれが日本人が思い描く富士山なんですよね。それに比べてこちらの富士山は、ただの大きい山といった感じだし、なんだか東京からやけに近いし(笑)、分かってないなあという感じ。やっぱり外人さんが撮った映画だなと思いましたね。
でも富士山をラストの場面に持ってきた発想は、素晴らしいですね。やはり日本へのリスペクトなのでしょうね。
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