映画の「音」というのは凄く重要で、映画の印象の大部分は、映像よりも音で決まる、と言っても過言ではないです。
映画『シン・ゴジラ』で、昭和時代に主に使われていた効果音が復活されていたのに、誰もその点について言及していないことに、強い不満を感じた私でありました。そう、あれこそが東宝特撮映画の「音」。そこに着目した庵野秀明監督は流石だなと。
なのに何故、誰もその点に触れないのだ?
映画の「音」とは、一つのシーンや一人のキャラクターのイメージは勿論、その映画全体のイメージをも決定付けるほどに、重要なもの。
『地獄の黙示録』や『プライベート・ライアン』の戦闘シーンの「音」は、いかに演出され、構築されたか、『スター・ウォーズ』のR2-D2の声が完成するまでの苦労。そうしたドキュメントを通して、この作品は映画における「音」の魅力、その楽しさを語っていく。
音響スタッフというのは、世間的には地味な仕事で、ほとんど注目されることがない。しかしそうした方々の影の苦労、影の努力無しには、面白い映画はできないのだということを、
改めて知っていただきたい。
ホント、映画はチームワークだね。いや映画に限らず、世の中のことは何事も
一人では成り立たないのだな、ということを、
強く感じましたね。
黒澤明監督による映画『椿三十郎』のクライマックス、三船敏郎と仲代達矢との決闘シーンでは、最初、二人が対峙している背景で、鳥の囀りとか、虫の声などが微かになっています。
両名が声を交わしている間、その自然の音はずっと鳴っています。しかし2人が黙り、睨み会いに入った途端、その音がピタリ、と止むんです。
しばしの静寂、そしてやにわの抜刀、斬撃音、血が激しく噴き出る音、そしてピアノによる効果音が「ドォーン!」と入る。
闘いは終り、再び虫の音が、静かに鳴り始める…。
映像も凄いですが、音の演出も見事です。
事程左様に、優れた映画はほぼ例外なく「音」の演出も優れている。
「音」という観点から、映画を観てみるのも
面白いですよ。
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