風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

天本英世

2016-04-29 05:51:30 | 名バイプレーヤー









いわゆる「アナーキスト」だったことで有名な天本さん。

旧制7高(現・鹿児島大学)時代に学徒出陣で招集され、軍の上官に反発していつも殴られていたらしい。そのころから、軍や国家というものに対する反発心をもつようになったようです。

戦後、東京大学法学部に入学し、外交官を志すも、政府の外交姿勢に幻滅、大学を中退し俳優を志す。

「国家などいらない」など、過激なことを口にする方でしたが、一方では大変優しい一面をもっており、子供たちにサインをねだられると気さくに応じ、「死神博士」と書き添えていたとか。


国の世話にはならぬと、健康保険にも年金にも加入せず、また、生涯ただ一度の初恋を胸に、独身を貫き通した。


己の思いをどこまでも貫きとおす、真っ直ぐで強情なくらいに強い意志を持った方でした。



他人様の人生に正否をつけるつもりはないし、どうこう言うつもりもありませんが、ただもう少し、ラクに生きられなかったものか、とは思ってしまいますねえ。


ある意味、純粋すぎた方だったのかも知れません。





スペインを大変愛した方で、日頃より「日本にはいたくない、スペインに住みたい」と公言しておりました。戦後の高度経済成長期とともに変わっていく日本や日本人に、耐えられなかった面もあったのでしょう。



本当は日本が、故郷が、

大好きだったろうに……。




俳優としては、その類まれなる風貌から、インテリの殺し屋など、特殊な悪役の多い方でした。

若いころから老け役の多い方でもあり、しかもおじいさんだけではなく、お婆さんの役も演じました。それもお婆さんの殺し屋とか、妖怪婆さんとか、やはり特殊な老け役が多かった。

我々の世代ではやはり、仮面ライダーに登場したショッカー大幹部「死神博士」でしょう。あのインパクトは強烈でしたね。


その強烈なインパクトを残したまま、2003年、故郷福岡県にて逝去。享年77歳。







その孤高に生きた魂の、安らかであることを。

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