風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

日本人は神の子か

2018-01-13 11:27:27 | 歴史・民俗





皇室の御先祖様は天照大神とされています。神の子孫であられるから、特別に尊いのでしょうか?



「古事記」や「日本書紀」には、皇室以外にも、数多くの氏族の祖先を遡っていけば、そのほとんどがなんらかの神様に繋がっているのが記載されています。


皇室以外にも天照大神の子孫はおられる。例えば第二代綏靖天皇の兄、カムヤイミミノミコトから分かれた氏族などは、これやはり天照大神の子孫に当たります。


その他、スサノオノミコトや大国主命など、日本の氏族のほとんどは様々な神を始祖としています。これら氏族は我々日本人の御先祖といってよく、自分自身の系譜を遡っていけば、どこかでこれら氏族にぶつかるだろうし、そういう意味では、私もあなたも、ほとんどの日本人は神の子ということになります。



ところで、人と神の違いはなんでしょうか。それはどうやら、寿命があるかないか、ということらしい。


人はいつか必ず死ぬけれども、神は基本的に死にません。大火傷を負ったりなど不測の事故にでも遭わない限り、基本的に神は死なないことになっていますね。


日本神話には人間がどのようにして生まれたかという記述は特に見当たりません。イザナギ、イザナミの国生み、神生みの過程で、極自然に大地に満ちたものでしょう。そして人間に寿命が与えられるキッカケとなったのが、イザナギとイザナミによる、黄泉の国での「騒動」なんです。


イザナミが「あなたの国の人々を毎日千人縊り殺す」と宣言したのに対し、イザナギが「ならば毎日千五百人の人を誕生させよう」と返した。この時以来、人は必ず死ぬようになった。



また、天照大神は孫神であられる邇邇芸命に、葦原の中つ国(日本列島)を統治するように命じ、天下らせます。邇邇芸命は国津神であられる大山祇神の娘であるコノハナサクヤヒメ(桜の精霊)に一目ぼれし、これを妻とします。大山祇神はこれに姉であるイワナガヒメ(岩の精霊)も一緒に嫁がせようとしますが、イワナガヒメはあまりルックスがよろしくなく、邇邇芸命はこれを追い返してしまう。



戻ってきたイワナガヒメを見た大山祇神は嘆きました。「イワナガヒメを妻とすれば、命は岩の如くに永遠の生命を得られたであろうに、これで桜の如くに儚く散る運命となってしまった」



この時以来、皇室の方々もまた寿命を得、人となった。




これらの神話を見ておりますと、どうも「自我」というものの発達が、神と人とを分けた、、としているように思えて仕方がないのですが、それはともかく。




これを見ても分かるように、天皇や皇室の方々は決して神ではありません。「人」なんです。



帝国憲法や教育勅語などには「皇祖皇宗」という表現が使われますが、この場合の「皇祖」とは天照大神ではありません。神武天皇なんです。そして「皇宗」とは歴代天皇のことです。天皇は代々、人皇初代であられる神武天皇と歴代天皇の御心を心として、国を、民を慈しんできた。


そして民は、そんな天皇を、皇室を敬い、守ってきた。



これが日本の歴史です。だから我々もまた、これを後世に伝えて行かなければならない。








さて、日本神話における神とはなんでしょう。それは要するに



この宇宙、大自然、神羅万象そのものです。



生命というものは抑々が大自然から生まれたもの。その大自然を神とする日本人の発想からすれば、人の先祖を神とするのも、極めて普通であるといえるのではないでしょうか。


人と神の間に断絶はない。それが日本的な発想です。断絶を想定するのはキリスト教などの海外の神観念です。


それと日本の神観念とを一緒にしてはいけない。





だから、神の子孫だからといって、なにも特別なことなどないんです。この世のすべての生命が神である大自然から生まれたのであるなら



命あるものはすべて、



神の子だ。



ですから、日本人は神の子だから他の民族より特別優れているだの、上等だの、そのような驕り高ぶることは明らかな間違い。



驕りは八百万の神々がもっとも嫌うものかもしれません。だからこの国には、専制君主が根付かない。




もしも日本人が他の民族より優れていると思うなら、それは驕り高ぶるためでなく、むしろ世界のために尽くすという使命を帯びているのだと受け止めるべきでしょう。


これは大変な責任を負わされていると思うべきです。それはそれは大変な。



驕ってなどいる暇はもうない。このこと、



肝に命じておくべきかも、知れませんね。

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (たま♪)
2018-01-13 13:33:58
キリストさんの名言(?)の中に
”悪魔も神も自分の心の中にある”ていうのがあります。あれ?旧約聖書だったかな?
どちらにしても、欧米にも、神様との一体化という真実の伝承がありますし。
アイルランド等自然崇拝をする国も地域もたくさんあると思います。

ただ、国のトップの方(と言ってよいかわかりませんが^^;)が、【神様の寄り代】となって神事を行うという制度。
いや、神様の寄り代となって神事を行う方を国の代表として持つことに国民が同意している国が日本だけ なのだろうな、と思うのでした。
やっぱり、神様の寄り代となっての神事を行う方は日々大変だと思います。
平成天皇を皆が愛して大事に思っているように、代々の天皇が愛されて守られていってほしいな、と思うのでした。
聖書でも、言い伝えでも、神様の概念は全世界共通する真実が存在しているけれど。
時を経て伝承できていないことが増えてきてるのかな、と思います。
日本だって、御蔭信仰になってしまってる面もありますもんね。
天皇制度を守っていかなければ~と思います☆
返信する
Unknown (薫風亭奥大道)
2018-01-14 12:19:45
たま♪さん、「平成天皇」はダメです。これは崩御されてからの諡号です。現役の時は「今上天皇」「今上陛下」などとお呼びしなければなりません。伊勢神宮が本当は「神宮」とのみ申し上げるように、現役の天皇陛下は「天皇」以外のなにものでもない、ということなのでしょうね。
真理は一つなんです。ただそれが現代までうまく伝えられていないということはあるでしょうね。だからこそ、日本の皇室はとても貴重だし、守っていかなきゃならないと思います。
返信する
Unknown (たま♪)
2018-01-14 13:30:50
そうですね。
書いた後に、今生陛下の間違いでした~と入れようかどうか迷っていました。
平成の天皇という意味でOKかな?難しい事書くのもやらしいかな?と思いましたが、
若い子が 天ちゃん とか呼んでると、それって違うんだけどな、とか思ってしまいますもんね。(言いませんけど)
返信する
Unknown (玲玲)
2018-01-15 08:48:40
神様や命の源が宇宙だとして、そこから誰もが生まれたなら、全世界の人が神様の子供なわけなんですよね。
どんな環境でも生まれたい、そう願って生まれて他国で生まれる方が大変だと思ったりします。

日本人と生まれられたから、それだけでラッキーで恵まれてるんだから、自分、頑張れ!って思う。
そうそ、龍馬の暗殺される5日前の手紙が公開されましたね。
私はたまたま、3b junior、奥澤村の中村優ちゃんが世界ふしぎ発見!に出て分かったのですが(甚だ説明的な文章)春嶽公との繋がりなどがあったのだなぁと。
薫風亭さんの以前の記事を思い出したり。

あと龍馬は今でも熱烈なファンがやっぱりいるんだな、ま、でも龍馬に憧れて本人が元気で明るく生活出来るなら、それはそれで、と思ったりもしますが。
皆んな生まれてから環境で流されたり、誰もそうだし、驕りが無い人が少ないし、恵まれてることに襟を正して頑張ります。
返信する

コメントを投稿